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隠される太陽

【マリア・アズーラ号甲板】



セレン:「終わりました」

セレンに続いてサーラが出てくる

サーラ:「どう?ワタシキレイ?」

あまりの美しさに息をのむ一同

ヘン顔ではないが、造形美の極致(きょくち)がサーラの顔にメイクとして施されている。

健康的なサーラの印象はどこにもない。『作られた美しさが』サーラを彩っている



ヒューマ:「・・・・」

ベルタ:「女は化けるものね」

サーラ:「どうヒューマ?キレイになった?」

ヒューマ:「・・・・」

今まで見たことのない『色気ムンムンのサーラ』に圧倒されるヒューマ

サーラ:「失礼ね!何か言ったらどうなの?」

ベルタ:「キレイすぎて何もいえないのよ、ヒューマは」

セレン:「さて、準備は整いました」

ヒューマ:「次はどうするの?」

セレン:「もう用意しております。足下をご覧ください」

一行は三日月と満月が組み合わさった円陣の上に立っている

その隣には太陽の円陣がある



セレン:「フレア様。そちらの太陽の円陣の方へとお歩きください」

フレア:「こっち?」

太陽の円陣へ移動するフレア

セレン:「他の方は円陣の外に出てください」

ファロス:「私は、フレアのそばにいても良いだろう」

セレン:「まあ、いいでしょう」

渋々承知するセレン



セレン:「冥府(めいふ)に行かれるかたは、月の円陣の上に立ってください」

月の円陣に立つ、おかしなメイクをしているヒューマとサーラ、そしてフレイ

ファロス:「ちょっと待ってくれ」

セレン:「何か・・・?」

ファロス:「母さん、家から持ってきてくれたアレを、ヒューマに渡してくれないか?」

フレア:「はいヒューマ」

ヒューマ:「おっと!」

簡単な作りのコンパスを受け取るヒューマ

ヒューマ:「父さん、これは?」

ファロス:「オレも良くわからんが、冥府である人にもらったコンパスだ」

ヒューマ:「コンパス?」

ファロス:「それがあったからオレは冥府から帰ってくることができた。どんな仕組みなのかはさっぱり解らんが、オレを助けてくれたのは、そのコンパスだ」

ヒューマ:「冥府のコンパス?」

ファロス:「今度はお前たちを(みちび)いてくれるかもしれん。持って行け」




ファロス:「では、続けてくれ」

セレンは太陽に向かって大きく両手を広げ、低くうなるような声で不気味な呪文を唱え始める

セレン:「黒い月よ。全天より太陽をかき消し、支配せよ」

一同:「(どよめく)」

太陽が丸い黒い影に浸食されていく

皆既日食が目の前で起こっている

ファロス:「フレア!」

フレアの体が着ているものごと足下から黒く変色していく

フレア:「なにこれ・・・」

うろたえるファロス

ヒューマ:「やめろ!」

フレア:「続けなさい!」

ヒューマ:「母さん」

フレア:「私は、また眠っていれば父さんとヒューマが助けてくれるのでしょう」

ファロス:「フレア・・・」

フレア:「ちょっと眠くなってきちゃった。また起こしてね、あなた」

真っ黒になったフレアは、横たわって眠りについた




月の円陣はいよいよ光り出す

セレン:「さあ冥府に参ります」

ヒューマ:「父さん、母さん」

ファロス:「頼んだぞヒューマ」

月の円陣の4人が消えた



黒バック:「(落下音)」



【冥府の果て】



ヒューマ :「うう・・・」

セレン以外の3人は倒れている

ゆっくりと起き上がるセレン以外の3人        

サーラ:「ここが、冥府?」

        


どこまでも広がっている平野のようでもあり、狭い空間のようでもあり、先が見えるようでもあり、曇って見えないようでもある。一寸先に幾重にも鏡があるようにも見える。

サーラ:「あ、いつものヒューマだ」

ヒューマ:「そういえば」

セレン:「メイクを施すことによって、生者も冥府で迷わないようになれるのです」

サーラ:「お化粧って不思議ね」




セレン:「では先を急ぐことにいたしましょう」

サーラ:「先?」

セレン:「冥府の王が住まう城に行きましょう」

フレイ:「城?」

ヒューマ:「ちょっと待ってくれ」

セレン:「どうしたのです?」

ヒューマ:「セレン、あんた全部知っているんだろ?ここに何があって、ここに誰がいるって」

セレン:「もちろん知っています。知ることこそ我が月の使命。知性を司るのが月の使命ですから」 

ヒューマ:「なぜそれを、俺たちに教えない?」

セレン:「自分が理解できないことを教えられても、そのものは永久に理解できないからです。それに知識を知らせることは月の使命ではありません」

黙り込むヒューマ

フレイ:「行こうヒューマ。良くわからないけど、仲違いしていても先にすすまない。ここは行こう」

ヒューマ:「わかった」

読了ありがとうございました。

まだ続きます

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