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月の使徒の提案

【港町ポート・オブ・エリア 沖合】



【マリア・アズーラ号甲板(夕方)】



玉砂利を2個ならべるベルタの手

ベルタ:「これは?」

子供:「ふたつ」

ベルタ:「じゃあ、これは?」

玉砂利をひとつ増やすベルタ

子供:「うーんと、うーんと」

指を3本出すことができない

小さな指をとって、『3』を作ってやるベルタ

ベルタ:「みっつっていうのよ」



グレイス:「相手してもらって悪いねベルタ」

乳飲み子をだっこしているグレイス

ベルタ:「いいのよ姉さん」

相手していた子供をだっこするベルタ



アリア:「ごはんでーす」

おたまでナベを叩くアリア

給仕するアリアと船員

ナベから魚の切り身が見える

食事の時間

甥っ子をひざに乗せて食事をするベルタ

ファロスにジェスも食事を摂る

乳飲み子に授乳するグレイス

マストを張るロープに洗濯物がかかっている



ジェス:「別に不満があるわけじゃねえが、肉が食いてえ」

グレイス:「あんた贅沢いわないの」

ジェス:「そりゃ、わかっているけどさ。どうも肉食わないと力が出ないんだよ」

皿の音:「ガシャ!」

皿を激しく置くベルタ

ベルタ:「アリア、この子をお願い」

ひざに乗せていた甥っ子をアリアに託す

ジェス:「おいベルタ、冗談だよ。そんなに怒らなくても・・・」

ファロスも同じように立ち上がる

ジェス:「ええっファロスさんも?」

        

太陽の子と清流の聖女は後部甲板へと走る




【港町ポート・オブ・エリア】


夕暮れの桟橋

手を振るヒューマとサーラ、それにフレイ

3人の後ろにムキムキ男を従えたセレンがいる


【マリア・アズーラ号 後部甲板】


ベルタ:「なぜ月が・・・」

ファロス:「どうする、この船にあげるか?」

ベルタ:「正直、上げたくはありませんが」

ジェス:「おっ、ヒューマだ。おーいヒューマ!」

アリア:「サーラさまー!」

グレイス:「みんな元気そうね」

ジェス:「あの、後ろの派手で、デカいヤツは誰だ?」

険しい表情のファロスとベルタ




【港町ポート・オブ・エリア 桟橋】

桟橋を離れる小舟



【マリア・アズーラ号 甲板】


険しい表情で、近づく小舟を見ているベルタとファロス

ベルタ:「力を貸してくれますか」

ファロス:「貸す?利子は取らんよ」

真剣に見つめ合うファロスとベルタ

ベルタ:「お願いします」

ファロスに身を寄せるベルタ

ファロス:「まかせておけ」

ジェス:「えっ?」


【港町ポート・オブ・エリア 小舟】


寄り添っているベルタとファロス

ヒューマ:「父さん!」

サーラ:「なになになに?」

ヒューマ:「父さん、そりゃマズイよ。いくら母さんがいないからって」

サーラ:「ベルタがキレイなのはわかるけど・・・」

小舟はマリア・アズーラ号に近づく



【マリア・アズーラ号甲板】

        

ベルタの肩を抱くファロス

ファロス:「ジェス」

ベルタ:「油断しないで」

ジェス:「油断?」

グレイスを見るジェス

ジェス:(ってことは、次はオマエ?)

グレイス:(そんなまさか!)




ヒューマ:「戻りました父さん、ベルタ、ジェス」

サーラ:「わあーグレイス、久しぶり」

グレイス:「すっかりレディになったじゃないサーラ」

サーラ:「グレイス、すっかりお母さんね」

グレイスの子供を覗き込むサーラ 

キャッキャ笑うグレイスの子供



マリア・アズーラ号に降り立つセレン

対峙するベルタとファロス

尋常でない緊張感につつまれるマリア・アズーラ号

ベルタ:「ようこそ清流の聖女ベルタの船、マリア・アズーラ号へ」

あくまでもエレガントに応対するベルタ

セレン:「丁重なお迎え痛み入ります」

エレガントに礼を述べるセレン

ベルタ:「月の使徒」

ヒューマ:「なんだって!」

サーラ:「月の使徒?」

レフタ(左):「このお方をどなたと、心得る!」

ライタ(右):「全天地の知識を得る者にして、知の伝道師、魔法使いセレン様であられるぞ」

セレン:「魔法使いの使命に従い、世界を救う助けに参りました」

フレイ:「毎回、アレやるのかな?」

ヒューマ:「さあ・・・」

ひそひそ話をするヒューマとフレイ

ファロス:「で、どうだった?ミランの騎士?」

フレイ:「それが・・・」


◆時間経過 

夕凪の波間



重苦しい空気に包まれるマリア・アズーラ号

セレン:「手詰まり、という所ですかホホ」

ファロス:「目覚めても、目覚めなくても地獄か。なぜあの娘だけ苦しみを背負う?」

ベルタ:「力が強すぎるからなのかしら・・・」

ヒューマ:「地獄なんてことはないよ父さん」

フレイ:「そうです。生きていれば、必ずいいことがあります。キレイな花を見たり、星空を見たり、地獄ばっかりじゃないはずです」

ベルタ:「生きていると、死ぬよりもつらいことがあるのよ坊や」

サーラ:「だからって、このままなんてミランがかわいそうよ」

ヒューマ:「なんとかしよう。みんなで!」

セレン:「だから、言っておりますでしょう。冥府に行くのです」

        


セレンを一瞥してから目を閉じて腕組みするファロス

全員の視線がファロスに集中する

目を開けるファロス

ファロス:「なんだ、お前達?オレの指示に期待しているのか?」

頷く一同

ファロス:「あんたもか?」

ギクリとするセレン

今度はセレンに視線が集まる

セレン:「も、もちろんです。三天の主神、太陽に従うのは月のさだめです。太陽の言うことに月は黙って従うまでです」

ファロス:「なるほど」

納得するファロス




ファロス:「で、君はどうすればいいと思う?」

セレン:「だから何度も申し上げています。冥府に行き、火の探求者の母の魂を持ち帰るのだと」

ファロス:「お前は、どう思うヒューマ」

ヒューマ:「オレは、ミランの心を甦らせるためなら、できることは何でもした方がいいと思う。

 もし、ミランがいなかったら、俺たちは全員死んでいた。

 ミランは全ての力を使って俺たちを守ってくれた。俺たちもミランのために全力を尽くすのが正しいと思う」

フレイ:「私は、冥府でも、どこでも行きますし、何でもします」

ファロス:「サーラちゃんは?」

サーラ:「ヒューマが大切だと思う人は、私たちにとっても大切な人です」

ベルタ:「このままだと、もっと危険になるわね、多分」

ジェス:「今まで危険なことは山ほどあったさ。冥府くらい大したことじゃないだろファロスの旦那」

ファロス:「ちょっと時間をくれないか・・・ベルタ」




ベルタを手招きするファロス

やや離れたところで内緒話をするファロスとベルタ

ジェス:「何の話をしているんだ」

ヒューマ:「ねえジェス?父さんとベルタ、何があったの?」

ジェス:「しらねえよ、オレに聞くな。でもよ・・・」

サーラ:「でも?」

ジェス:「なんか2人だけの秘密を持っている感じだな」

ヒューマとサーラ「2人だけのヒミツ?」

ヒューマ:「ベルタと父さんが?」

重々しく頷くジェス




内緒話が終わり、もどってくるベルタとファロス

ファロス:「ヒューマ、使いをやって母さんを呼んでくれ」

ヒューマ:「母さんを?」

ファロス:「それと君、冥府に行く準備をしてくれ、ここでだ」

セレン:「ここで?」

ベルタ:「そう、私の船の上で」

セレン:「オーッホッホッホッ。それは無理というもの。このような武骨な板張りの上などでは論外です。ここはやはり大理石の床が美しい私の研究室でないと」

ファロス:「ここでやれと言ったんだ!」

セレン:「私に命令する気ですか?」

ベルタ:「あなたは言ったわ。月は太陽に従うと・・・」

ファロス:「男児なら二言はないはずだ。それとも君は男ではないのか?」



ファロス、ベルタのペア対セレンの図式

ハラハラするジェス、グレイス、ヒューマとサーラ

歯がみするセレン

セレン:「解りました。一旦、塔に、研究室に戻って準備してまいります」

ファロス:「なるべく早く頼む。月の力だけでは冥府には行けないのだからな」

ファロスを睨みつけるセレン

読了ありがとうございました。

まだ続きます

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