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魔法使いと科学技術

【火の民の村 ビル内】



 コンクリート造りの建物に案内される。

 一行の目の前で自動ドアが開く。

 その仕組みが解らなくて、ドアの辺りをしげしげと見るヒューマとサーラ、それにフレイ



族長:「さて、女子は右手の部屋で着替えていただこう。男子は左だ」

それぞれ案内される一行

案内する火の民は、一言も口を聞かず、無表情

族長:「さて」

セレンのほうに向き直る族長

族長:「どちらに案内すればよろしいですかね?」




【ビル内 男子の控え室】


素っ裸になるヒューマとフレイ

手渡された服の着方がいまいち解らない

ヒューマ:「あの、これどうやって着ればいいんですか?」

工場長:「合わせは背中にあるのだ」

着てみせる工場長 慣れた手つきでチャックを上げる

それぞれチャックを上げあうヒューマとフレイ

ヒューマ「おもしろい合わせだね」

男子の着替えを艶っぽい目でみているセレン



ヒューマ達が着ているのは火の民が一般的に用いる作業服。正面に留め具がないので作業しやすい

フレイ:「変わった服だね」

じっとセレンを見ている工場長

その視線に気がつくセレン

セレン:「なにか?」

工場長:「あなたは魔法使いだな」

セレン:「だとしたら、何か?」

工場長:「魔法は禁忌(きんき)の学問のはずだ。それをなぜあなたは使うことができる」

セレン:「それは愚かな先人達のことの話。私はその(てつ)を踏まずに、狂気に(おちい)ることなく自在に使うことができるのです」

工場長:「狂気に陥るが故に禁忌とした先人の教えにあなたは背いている」

工場長とセレンの間に緊張が走る



フレイ:「そういえば、お礼を言っていませんでした。助かりました危ないところを助けていただいて」

セレン:「オーッホッホッホッ。当たり前のことをしただけのこですよ。魔法使いの私にかかれば、あの程度のことは造作もないこと」

左の男:「このお方をどなたと、心得る!」

右の男:「全天地の知識を得る者にして、知の伝道師、魔法使いセレン様であられるぞ」

セレン:「魔法使いの使命に従い、世界を救う旅をしています」



ポカンとするヒューマとフレイ

フレイ:「すごいぞ、ヒューマ!魔法使いが助けに来てくれたぞ」

ヒューマ:「魔法使いだってよフレイ」

勝手に盛り上がるヒューマとフレイ

ヒューマ:「で、魔法使いってなんだ?」




【ビル内 女子の控え室】



10人くらいの火の民の女子がサーラを取り囲み、濡れている法衣を脱がし、体をふいていく

黙って無表情で機械的に作業をする火の民の女子

やや戸惑いながらも、任せるサーラ

サーラ:「すごい気持ちいい肌触り」

サーラが着せられたのは、チャイナドレス風のシルエットのロングドレス 法衣とはまったく逆にサーラの女らしいボディーラインがハッキリ出る

髪をシニョンに仕上げている



サーラ:「開きすぎでじゃない」

スリットから健康的な脚が見え隠れする

女子:「あの、決まりで多くは言えませんがミランを助けてあげてください」

サーラ:「・・・・」

良く見るとミランと同年代の女子ばかり

サーラ:「大丈夫よ。私やヒューマ、太陽の子がちゃんと助けるわ。だって彼女はこの世界にとってとても大切なひとなんだから」

女子:「お願いします」

また無言、無表情になる女子達

サーラ:(私たちとなにもかわらないんだ・・・)




【ビル内 控え室前】



着替え終わり待っている男子チーム

サーラが出てくる

ヒューマとフレイ「・・・・」

初めて見る「レディのサーラ」の美しさと色っぽさに目を見張るヒューマとフレイ

サーラ:「ちょっと、あまりジロジロ見ないでよ」

健康的な脚を隠そうとするサーラ

族長:「どうぞ、ご案内します」


◆異民族の衣装を着て、ビル内を案内される一行



【ビル内 人工農場】



部屋の中にある農場

麦が植えられていて、天井には照明が光っている

ヒューマ:「なんだ?この部屋?」

サーラ:「部屋の中に麦畑が・・・」

フレイ:「まぶしい」

族長:「ここは、そうだな。何から何まで人の手でつくった農場とでも言おうか。

 別の土地から土を持ってきて、我々が作った太陽の光りで麦を育てている」

照明に手をかざすヒューマ

ヒューマ:「確かに、太陽の光りそっくりだ」

少しだけ土をすくってみるサーラ

サーラ:「これは、火山近くの土を持ってきたのね。でも、ものすごい古いわ」

フレイ:「そんなことまで解るんだ」

族長:「ここは、私の何代も前の父の時代から、このような農場になっている。私たちの糧を作ってくれている。水はリサイクルしている」

サーラ:「リサイクル?」

族長:「再利用という意味だ。

 あなたたちも煮炊きや暮らしの中で水を使われるだろうが、私たちはそれらの水を流してしまうことなく作物を育てるのに使っている。

 限られた水、限られた資源を有効に使っているのだよ」




サーラ:「じゃあ、空の下で畑を作ったりはしてこなかったんですか?」

族長:「それができたら良かったのだが、そうも言っていられなかったのだよ。心優しき大地の乙女よ」

ヒューマ:「なぜです?」

工場長は手のひらを見せると、火を発生させた

驚くヒューマとサーラ、それにフレイ

工場長:「火の民ならば、誰でもこれくらいのことはできる。火を司るわけだからな。

 だが一方で、この力は皆におそれられた。山火事、突然の出火。まず疑われるのは私たちだ」

族長:「金属の加工、煮炊き、暖を取る、人は様々な場面で火を使う。

 だが一方で制御ができない物をおそれるのも人だ。

 私たちは火の力をある程度残して世俗とは距離をとった。我々もパンを食べないといけない。だから不自然ではあるが、このようなものを作った」

工場長:「私たちの一族は星の騎士団から施しを受けているから、このような施設は持っていない。だが私たちもここの麦と同じように、ほとんど空を見ない」

ヒューマ:「じゃあ、世界が目覚める時も?」

サーラ:「胸一杯になるくらいの草の匂いも?」

フレイ:「満天の星空も?」

3人の問いに、全部首を横に振る工場長と族長




サーラ:「そんなのおかしいわ。空も大地も太陽も星空も、みんなの物だし、誰の物でもないのに」

ヒューマ:「みんなが太陽の下で、大地の上で暮らせるような世界にしようサーラ」

サーラ:「うん」

族長:「水を差すようで悪いが、私は遠い将来、このような暮らしが訪れると思っている」

サーラ:「(絶句)」

族長:「今は違うが、平和な世界が続けば人間は増えてゆき、空も大地も海も足りなくなる。

 大地や海が作り出す食べ物だけでは足りなくなる。そうなった時に私たちの技術が役に立つ」



ヒューマ:「そんなの間違ってる」

族長:「これは正しい正しくない、といった問題ではないのだ、太陽の子よ。必要か必要でないかという問題なのだ」

ヒューマ:「必要?これが?」

工場長:「火の民は、この施設を必要としている。

 耕せる畑も太陽が降り注ぐ空も持っていないからだ。君たちは今はこの技術を必要としていない。そういうことだ」

工場長のたとえに返す言葉がない、しょげかえるヒューマとサーラ

フレイ:「お二人とも、ともかく今はミラン様のために前に進みましょう」

読了ありがとうございました。

まだ続きます

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