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邂逅(かいこう)

【カナン大地 仮設病室 入り口】


フレイが入ってくる 重々しい雰囲気

フレイ:「あの、どうかなさいましたか?」

ファロス:「どうやったら、この娘の心を取り戻せるか、考えているんだが」

フレイ:「ご家族とかはいらっしゃらないんですか?」

一同:「家族?」

フレイ:「その、我が騎士団の医師がいうには、こういった病の場合には家族の呼びかけが一番だと言ってましたので」

ヒューマ:「そういえばお母さんのことは言っていたな。『私がみんなの役に立つことをすれば、お母さんが私のことを誇りに思ってくれるだろう』って」

サーラ:「じゃあ、お母さんに呼びかけてもらうってことね」

ファロス:「なるほど、それは名案だ。サーラちゃんの言うとおり、この娘の母親を探して、何とかするしかないな」

ヒューマ:「どこにいるんだろ?」

ファロス:「俺に聞くなヒューマ」



フレイ:「あの、申し訳ありませんが、移動しなくてはなりません」

一同:「移動?」

フレイ:「はい、もはや会議どころではないですし、陸上だけならまだしも空からの襲撃に対しては、ここはあまりにも無防備なので」

ファロス:「なるほど、もっともだ。で、どちらへ?」

フレイ:「ひとまずポート・オブ・エリアに移ります。それから我が聖都スクードへまいります」

ヒューマ:「ミランは、どうするんで?」

フレイ:「残念ながら身元引受人がいないので、我々の屯所(とんしょ)で安静にしていただけます。何せこの中でたった1人で、私たちを守った方ですので」

サーラ:「守った?」

フレイ:「そうです。最高の守備力を持った聖女様だと、騎士団では話が持ちきりなのです」

ファロス:「なるほど、でヒューマ、お前はどうする?」


ヒューマ:「どうするったって?」

正直、いろいろなことがありすぎて、まともに考えられずに困惑しているヒューマ

ファロス:「まあ、お前がこの娘の家族を探しに行くのが、スジだと私は思う」

ヒューマ:「父さん?」

ファロス:「これも試練だと思え。というより自分でまいた種は自分で刈り取りなさい。サーラちゃんはどうする?」



サーラ:「わたし?」

正直、ヒューマのしていることがわからないサーラ。

サーラ:「色々心配はあります。でも、私自身の立場もありますし」

ファロス:「ポート・オブ・エリアまで来なさい。メンヒルまでは通り道だろう。ちょっとくらい寄り道したって罰は当たらんよ」

サーラ:「はあ・・・」

ファロス:「ちょっと司祭どもと話をつけてくる」

テントを出るファロス

フレイ:「私は外で準備をしてまいります」

テントを出るフレイ



ヒューマ:「サーラ」

サーラ:「・・・・」

ヒューマ:「あの、なんて言っていいのかな・・・」

サーラ:「ヒューマ、この人は、ヒューマの試練よりも大切な人なの?」

ヒューマ:「サーラ、そんなんじゃないんだ。ミランはこの世界にとって大事な人なんだ。それはサーラも同じだよ」

サーラ:「私は、ヒューマが試練を無事に終えるのをいつもいつも祈っていたんだよ。それよりこの人が大事なの?」

ヒューマ:「そんなの今はどっちが大事とかいっている場合じゃないんだ。世界がまたおかしくなりかけているんだ。だから、止めないと」

サーラ:「ヒューマが試練サボっているからおかしくなるんじゃないの!」

ヒューマ:「サボったって!」

アリア:「止めてください!」

小さなアリアを見るヒューマとサーラ



サーラ:「アリア・・・」

アリア:「ヒューマ様ですね。大地の乙女サーラ様の侍女のアリアです」

お辞儀をするアリア つりこまれてお辞儀をするヒューマ

アリア:「いつもサーラ様からヒューマ様のことは聞いています。勇気があって優しくて暖かくて、太陽みたいな男の人だって。私の命を助けてくれたのはヒューマ様だって」

サーラ:「ちょっとアリア」

アリア:「今のヒューマ様はぜんぜん太陽みたいに暖かくありません。太陽が冷たいと大地も暖かくなれません。

 お忘れですか?

 太陽が一番最初に照らしたのは大地なんですよ。ヒューマ様が笑顔じゃないと、サーラ様も笑ってくれません。お二人がケンカしていたら、世界はどうなっちゃうんですか!」

バツが悪くなるヒューマとサーラ

フレイが入ってくる

フレイ:「そろそろ出立いたします」




【港町ポート・オブ・エリアに向かう街道】


10台ほどの馬車とおびただしい数の騎士が移動している。その中のひとつに、ヒューマ、ファロス、フレイ、オリバーが護衛する馬車がある。



【馬車の中】


寝たきりのミラン

特に何もすることがないサーラとアリア

サーラ:「ありがとうアリア」

アリア:「何がですかサーラ様」

サーラ:「さっき仲裁に入ってくれて」

アリア:「ただ私はサーラ様とヒューマ様にいつまでも仲良くしてほしいだけなんです」

サーラ:「本当は仲いいのよ。でも、久しぶりに会ったの。そしたらなんかヘンなことになっていたから動揺しちゃってね」

アリア:「そうなんですか」

サーラ:「それにしても、この子ずいぶん大きくなったわね」

相変わらず虚空を見ているミラン

アリア:「もっと小さかったんですか?」

サーラ:「あなたと同じくらいだったんだけど、こんなにキレイになるなんてね」

アリア:「私も、もう少し経てば、サーラ様のようにキレイになれますか?」



サーラ:「私?私よりもベルタのほうがキレイよ」

アリア:「流水の聖女ベルタ様ですか」

サーラ:「ベルタもジェスもグレイスもみんな元気なのかな・・・」

抱えたヒザの中に顔をうずめるサーラ

「カッ」と目を見開くミラン

ミラン:「来る!」

顔を見合わせるサーラとアリア

サーラ:「何か言った?」

首を横に振るアリア

起き上がるミラン

ミラン:「来る!」

サーラとアリア「ひぃっ!」

読了ありがとうございました。

まだ続きます

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