5話 騎士さんマジでリスペクトっす
『それが定番ってものでしょ?』
俺はフレイヤのその言葉に疑問を感じていたがフレイヤについてはバンパイアだしとりあえずこれ以上の詮索するのもフレイヤに悪いだろう。
「定番・・・か」
俺は寝室から出てフレイヤの部屋へと向かうと棺桶の中ですやすやと眠っていた。
「まあ普通の女の子だよな・・・こいつもデータなのか」
フレイヤを含む街の住人は本当はデータで、まあ例えばリンリベールの住人が1万人居ると仮定しようか、1万人がファイルになると膨大な量の容量が必要になるため
街の中の一般住民と店員でファイルは別になっているのだ。
「可愛い寝顔だな、さすが異世界だ」
俺はフレイヤの顔をつついた後、自分の部屋に戻り再びベットに横になる。
「あいつもデータだから消されたら・・・いいや!ここで生きていくと決めたんだマイナス思考はやめたやめた!」
俺はこの前ここで生きてくと決めたのにもう弱音を吐いていたので俺はそのまま眠りについた。
「・・・きて」
俺は耳元で囁かれた声で一度目を覚ましたが気のせいだろうと思い再び寝ることにした。
翌朝、フレイヤが1階に降りていく音で起きた俺もそのあとに続いて1階に降りる。
「おはよ、フレイヤ」
俺は欠伸をして「んー!」と言いながら背伸びをしているフレイヤに朝のご挨拶をした。
「あれ?おはよ!そう言えば名前聞いてなかった!」
フレイヤはボサボサの髪を触りながらキッチンへと行くと置いてあった櫛でボサボサの髪を整え始めた。
「ああ、すまんな俺はルグネスだ」
そう言うとフレイヤは手を止めて俺の方に走ってきた。
「ルグネス?聞いたことある名前だぁ!」
俺はよくわからないし最近会ったばかりで俺は前にあった覚えはない。
「え?俺は知らんぞ」
俺に会ったという記憶は間違いだろうと言うような感じで首を左右に振ると、フレイヤは
「うっそ~そっかぁ~」と言ってキッチンへとまた戻っていた。
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「今日は天気がいいし散歩するか」
フレイヤも行きたいと言っていたが、俺はバンパイアがバレると騒ぎになるからフレイヤに留守番していろと指示してリンリベールの商店街の八百屋へと行くと・・・
「あれ?あの人は・・・」
八百屋でおじさんと話していたのは1日目で出会った騎士さんだ。
「へぇ・・・珍しいね」
俺は騎士さんの買い物を遠くから眺めていると騎士さんは俺を睨んでこっちに来た。
「なぁ~に人のプライベート覗いてんのぉ?」
騎士さんはそれはものすごーく怒っておりました・・・・
「いやぁ・・・いい天気だなーーー(棒)」
俺は目を一切合わせず会話を終了させようとしたが騎士さんはそう簡単に終わらせてくれなかった。
「なに棒読みで終わらせようとしてんのよ!!!」
騎士さんは怒りながら顔を俺の顔に押し付けてくる、シツコイ女は苦手な俺はここで騒ぎになるのも嫌なので家に誘って話すことにした。
「どうぞ」
「おかえり~ルグネス」
俺は騎士さんを連れて家に帰るとフレイヤがリビングから走ってきた。
「おう、ただいまフレイヤ」
フレイヤは俺の胸に飛び込んできて顔を俺の胸にスリスリさせたあと騎士さんを見て
「誰?」と言った。
「おい!バカ・・・」
俺はワナワナしている騎士さんを見て顔を隠した、このままだとフレイヤは殺されてしまう。
「なっ・・・私を誰と思っているぅぅぅぅ!」
パーン!という平手打ちの痛ーい音が家の中に響き渡る。
「む~~~」
機嫌を損ねたフレイヤの顔には手の痕が出来ているが、仕返しをしないフレイヤは大人だなと感じていた。
そして本題は騎士さんの機嫌だが何とか機嫌を直してくれた騎士さんはフレイヤが注いだお茶を飲みながらフレイヤを見て一言。
「この子はなんだ?子供か」
フレイヤはこの家にいた人で子供でもない、だがこいつ(騎士さん)にバンパイアとバレたらヤバイことになる。
(ここはどうにかしないと・・・)
そう考えていると騎士さんは何故か周りをキョロキョロして何かに気付いたみたいだ、俺はまさか・・・と思い背筋が凍った。
「何故トマトが沢山あるんだ?」
予想通りの言葉に俺はいつもの所でトマトを齧り付いているフレイヤを見るとフレイヤもチラチラこっちを見てくる、これじゃあバレるのも時間の問題だがこの危機を超えない限り明日はないので適当な理由で説得を試みた。
「いやぁ、食費が・・・」
「建設業だろう?普通に食べれるほどもらえるはずだが」
騎士さんは何故何回しか見ていないくせにわかるのか意味が分からなかった。
「いや、でも俺たちはトマト愛好家だ」
それも騎士さんは俺を睨みつけるや
「ルグネス、お前は逆だろ」
『なんでこいつは俺の嫌いなものを知っているんだぁぁぁぁ!』と心で叫んでいると後ろで涎を垂らしているフレイヤが居た。
(バカっ!血を吸うな!)
俺はフレイヤの行動を止めるため手でやめるように指示するが・・・
「いただきまーす!」
「ん?きゃぁぁぁぁぁぁ!」
フレイヤは騎士さんの首を噛んで騎士さんは悲鳴を上げた。