53話 空から見下ろして
更新が遅れてしまい、申し訳ありません。
「フンッ、わざわざ訂正してくれるとはありがたい。ならば、こちらも一つ訂正するとしようか」
俺の挑発に『一匹狼』の団長は、HPを全快した晃夜にサーベルを突き立てたまま、至極平静な様子で告げてくる。
「ヴァイキン、あいつは死んでも俺の役に立っている」
ヴォルフは片膝をついた体勢のまま、澄んだ瞳をこちらに向け、俺がヴァイキンに放った言を否定してきた。
「考えを改めるのはお前のほうだぜ……タロの錬金術を侮るのも大概にしておけ」
「フンッ、地に這いずる虫は黙っていろ」
HPは回復したはずなのに、晃夜は相変わらずヴォルフのサーベルによって地面へと縫い付けられている。
さっきのヴァイキン同様、麻痺の状態異常を付与されているのか?
ちょこちょこ出てくる状態異常。そしてその出現頻度の多さから、麻痺の有用性と人気は高そうだ。
その効果は、やはり厄介。
だけれども、突き刺したサーベルをヴォルフが手離してないところを見るに、剣に接していなければ麻痺は解除されるかもしれない。
あのサーベルの効果なのか、ヴォルフ自身のアビリティなのか定かではないが一つだけ確かな事がある。
それは、この分析の合間にも、晃夜のHPがガリガリと減ってきているということだ。
『翡翠の涙』はけっこう作り貯めているとはいえ、晃夜をキルさせないために使い続けていたらあっという間に残量が底をつく。
俺は小太刀を握り、妖精達に頷く。
「タロ、いくの?」
「またあそぶのー?」
「タロんっ、ふわふわん♪」
となりのミナをチラリと見れば、俺お手製のMP回復アイテム、『森のおクスリ』を飲んでいた。
「ミナ、先にいくね!」
「フンッ。温室育ちのお前に何ができるか、見せてみろ」
ヴォルフの啖呵とともに、俺は晃夜の許へと走り、いや前方へと直進した。
風妖精さんたちの風が俺の背中を打ち、爆進させてくれる。
俺の接近にヴォルフはというと、中腰で膝を地についたまま何も構えを取ろうとしない。
その余裕の態度に少し腹が立った俺は、小太刀を思いっきり振りかぶった。
「フンッ。お前が囮しかできない、役立たずだと先ほどのヴァイキン相手の戦闘で把握している」
小太刀を握る俺の腕ごと、ヴォルフは素手で真横から打ち払った。
俺への攻撃に合わせるタイミングは完璧で、いとも容易く迎撃された俺。その結果、風の突進力を抑えきれずにヴォルフを通りぬけるようにして激しく転んでしまった。
タロ HP60 → 16。
だが、これでいい。
ヴォルフの言う通り、俺は囮兼時間稼ぎにすぎない。
「大球よ、大仇を焼き焦がせ――」
ミナの詠唱が響く。
それに応じて、俺は『翡翠の涙』を自分と晃夜に使い、ヴォルフの次の動きに備える。
しかし、彼は微動だにしなかった。
その代わり、口から強烈な獣の鳴き声を突如として吐き出した。
ソレはウォンッと狼と犬とも捉える事のできるような叫び。
一瞬、ヴォルフの顔周辺の空気が揺れたかと思うと、ミナの髪がたなびき何かに気圧されたかのように、彼女は一歩後ずさったのが見えた。
「ミナ! どうした!?」
「て、天士さま! 問題がいつもより難しくて解けません!」
ミナの悔しそうな叫びがこだます。
魔法詠唱後に出てくる、問題文を解けないと魔法は発動しない。
その出題問題の難易度が上がった?
俺達のやり取りを見たのか、ヴォルフのせせら笑いが耳朶を打つ。
「フンッ、どうした。お得意の錬金術とやらで、何回も失敗する魔法使いの無駄なMPでも回復してやったらどうだ? 何度でも続けてやるがな」
なるほど。
どうやら、ミナの魔法失敗はヴォルフのアビリティによるものか。
あんな鳴き声を発しただけで、効果の出るアビリティもあるのか。
近接で俺の攻撃力が皆無だと悟ったヴォルフは、俺への対策は素手で十分。
脅威たる晃夜の動きを縛りつつ、持続的にダメージを与え続ける。
唯一の高火力を誇るミナへは、魔法を発動する際に発生する問題文の難易度を上げるアビリティを使って封殺。
これがヴォルフの取った戦術、といえるかどうかわからないモノだが、俺達の攻撃から身を防ぐには十分といったところか。
まだ各アイテムの残量に余裕があるとはいえ、ミナの最大MPを増やす『蒼の琥珀種』は残り2つしかない。
「これも残り五本しかないから……今の時点で使いたくなかったけど」
俺が次なる一手を打とうとして『狙い打ち花火(小)』を握り、起き上ろうとしたその時、背後を突くようにヴォルフへと突貫する傭兵が現れた。
鉄製の鎧と兜に身を包みだ傭兵の、盾を前面に構えてのタックルがヴォルフに襲いかかる。
「『矛盾!』」
夕輝が混戦の中、こちらに駆けつけてくれたのだ。
「フンッ」
しかし、ヴォルフは更に身を低くし、左足を軸にして回転しながら右足で見事に夕輝の足元を蹴り払った。
夕輝は足をすくわれ、転倒してしまう。
「フンッ。次から次へと、群れるのが好きな奴らだな……」
『一匹狼』の団長は、地面へと横たわる夕輝、晃夜、俺へと順々に見渡していく。
「……興冷めだ。ちまたで天使ともてはやされているから、どんなものかと思ってみたら。ザコにおんぶにだっこか。同じ15歳以下傭兵として、修羅場をくぐってきたウチの団員とは程遠いな」
ヴォルフは呆れるような視線を俺に寄越すと、晃夜に刺していた剣を引き抜いて立ち上がった。
「フンッ。時間の無駄だったようだな。お前たちの出方を見るのは終わりだ。獲物としての末路を辿ってもらう」
「ユウ! こいつの剣は触れると微弱の麻痺が発生するぞ!」
晃夜は自由の身になったとたん、後方へバク転をかましながら夕輝へと警告をする。
「オーケー! 触れさえしなければこっちのものだね! 武器に盾がこちらにはある!」
「フンッ、お前らはぬるま湯に浸りすぎだろ」
ヴォルフは『ウォン!』と、また一吠えしてミナがひそかに詠唱していた魔法の発動を阻止しつつ、俺へと急接近してきた。
「み、右!」
とっさに妖精さんたちにお願いして、右へと飛ばしてもらう。
「フンッ。右か」
なんと急な突風による素早い移動に、ヴォルフはしっかりとついて来てサーベルを俺へと振りおろしてきた。
「!」
妖精たちが施してくれた、このスピードと同等の動きができるなんて。
その予想外の素早さに驚きつつも、俺はとっさに地を蹴り身をひねる。
先ほど激突した腕の威力を鑑みても、ヴォルフの力ステータスは俺を遥かに上回っていると予測できる。右斜めから来る剣撃を小太刀で受けきるという選択は捨て、身をかわすことに専念。
「フンッ、無防備にも程がある」
間一髪でヴォルフのサーベルをかわしきった俺だが、装備しているドレス『空踊る円舞曲』の能力で、ふわりと空中へと浮いてしまう。
ヴォルフはニヤリと笑い、追撃すべくその手に握ったサーベルを再度振り上げた。
「吹雪け! 『二連桜花』!」
しかし、サーベルの剣先を俺へと伸ばすヴォルフに、素早い奇襲をかけたのは晃夜だ。姿勢を低くして、ヴォルフのすぐ傍、右斜め後方からアビリティを発動したのだ。同時に前へと突きだされた二つの拳は、ヴォルフの攻撃を阻止したかに思えた。
「フンッ、甘いな」
顔と腹部を狙った拳はむなしく空を切った。
と、いうのもヴォルフが俺を切り込む姿勢から急転したのだ。晃夜の攻撃に反応し、地を蹴って宙を舞い、棒高跳びの背面跳びのよろしくといった体勢で、地面と平行になるようなジャンプをしたのだ。
それは晃夜が放った上下に位置する両拳の丁度、間に身を置くことに他ならない。華麗に避けるとともに、跳躍に回転を加えていたのか、グルンっと空中で晃夜へと向き直り、振り向きざまに一閃、サーベルで反撃までするという非常にアクロバティックな芸当をこなしてみせた。
「グッ」
肩から腰あたりまで盛大に縦へと斬り裂かれた晃夜は、呻き声を上げ、その場でしびれの残る身体をなんとか奮起しようと後方へとよろめいた。
コウ HP260/270 → 195/270
ここでようやく、夕輝が盾を前面にしながらヴォルフへと接近。
ヴォルフは見事に足から地面に着地して、夕輝へとサーベルを構える。
「光の剣!」
夕輝がアビリティ名を高らかに叫び、ヴォルフへと直進していく。騎士の盾がアビリティの恩恵を受けて、急に眩く光り、俺は思わず目を細めてしまう。
それこそが光の剣の真骨頂だったのだろうか。
相手の視界をくらまし、その盾の後ろに隠れた剣がヴォルフめがけて突き放たれた。
だが、それすらもヴォルフは易々と見切っていた。
夕輝は剣を突き出したと同時に横へと盾を開く、その所作に合わせてヴォルフはその身を盾と同方向に動かしていた。しかも軽く跳躍して、夕輝の死角をつくように盾へと左手を置き、右手で握ったサーベルで夕輝の左肩へと上方から深々と突き刺した。
「うッッ!」
ユウ HP340/450 → 220/450
ヴォルフは夕輝の攻撃を難なくやり過ごし、通りぬけざまにカウンターを決めたのだ。
微妙に痺れている夕輝の身体から、ヴォルフは着地と同時に剣を抜き、後ろ回し蹴りを放つ。
背中を強打された親友は、その勢いを堪える事ができずに未だに宙空をふわりと漂う俺へと激突してきた。
「た、タロッ。ゴメン!」
「そんなことより、ヴォルフが!」
持ちなおした晃夜が、ヴォルフに殴りかかっていくが、それをあっさり避けながら、彼は俺達へとトドメをささんばかりに冷酷な表情で近づいてくる。
「フンッ。自分の役立たずさを呪え、錬金術師野郎」
まずいと思った俺はとっさに、とあるアイテムを地面に投げつけた。
苦し紛れの目くらまし。
だが次の一手に繋がる回避のアイテム。
『ふんわり綿草色』と『ケムリ玉』を合成して作り出した代物。黄緑色の球っころ、『フワモク玉』だ。
『フワモク玉』
【綿毛のように風に漂うモフウサの特性を受け継いだ『ふんわり綿草色』と、視界を奪う『ケムリ玉』の力が合わさって生まれた範囲アイテム。使用すると薄緑色のケムリが爆散して、視覚を遮る。しかも、煙の範囲内ではモフウサのように身が軽くなり、重さが20分の1へと減少する。さらに傭兵に限り、その身にかかる重力が2分の1になる】
重さが減るということは、それだけ移動速度が速くなる事に他ならない。ただ、ソレに加えて重力が半分になった場合、踏ん張りづらくなる。攻撃した方も、された側もふっ飛ばされやすくなり、一撃一撃を連続して繰り出すことが難しくなるのだ。
そして視界を薄緑色の煙が覆うのだから、混乱すること間違いない。
まさに、今のこの状況がそうだ。
周囲は薄緑一色に染まり、1メートル先も窺えない。
晃夜やミナ、夕輝はもちろんのこと周りで戦闘を広げていた傭兵たちからどよめきの声が上がる。
そしてヴォルフもソレは同じはずだ。
すぐそこまで追撃をかまそうとしていたヴォルフは一旦動きを止めるか、構わず突っ込んでくるか。その判断は計り知れないが、俺は危機から離脱するために体勢を崩した夕輝に頷く。
「地上は任せた」
「おーけー。PTチャットで状況を報告してよ」
次いで、風妖精たちに語りかける。
「上へ」
体重が20分の1× 重力6分の1×2分の1、重力240分の1は伊達ではなかった。
今までにない勢いであっという間に煙を突き抜け、上空へと一気に上昇する。
その高さは予想以上で、15メートル以上はある。
空という程の高度に達したわけではないが、高い場所へとこの身を飛翔させた感想は至って単純。
空を飛ぶとは自由の象徴に最も近い感覚だと、飛行機を発明したかの有名な兄弟は常日頃からのたまっていたそうだが、なるほど。
これは爽快の一言に尽きる。
自身の意志で自在に宙を舞うとは程遠い飛行能力だが、吹き抜ける風、青い大空。その全てが清々しい気分にさせてくれる。
思わぬ高さに若干の恐怖を抱かないわけではないが、傍らにいる妖精さんたちへと思わず微笑んだ。
「妖精さんたち、ありがとね」
「タロ、風になる」
「タロ~タロ~風の気持ち~」
「自由におどるん♪」
この身を風妖精の力を借りて、上昇させた理由はただ一つ。
上から戦場を見下ろした方が状況把握を逸早くしやすいからだ。それに加え、奇襲をかけるなら意表をついた上方からの攻撃がヒットしやすい。ヴォルフはたたでさえ、回避能力が高いので悔しくはあるがこういった戦法を取る他ない。
地上には夕輝、晃夜、ミナがいるのだ。この身を無防備にさらそうとも、そこらへんのカバーはしてくれるだろう。
『狙い打ち花火(小)』を構え、下方の煙一帯を注意深く観察する。いかにあのヴォルフといえど、自分の身体がふわつくところを範囲遠距離攻撃を可能とするこのアイテムで狙撃されたら、確実にダメージを負うだろう。花火の被害が周囲の仲間たちに、どれほどのダメージを与えるかは未知数だ。だが、少なくともアンノウンさんと戦闘を共にしたとき、ミナや俺が花火の範囲圏にあってもそれほどダメージを受けなかったように、直撃さえしなければさほど心配する必要もない。
さて、ヴォルフよ。
どこから出てくる。
煙のどの部分から灰髪の少年が姿を現すか、今か今かと身がまえていると、上から不意に聞きなれた声が響いた。
「あるれ、あれれ。下ばかり見てないで上を見ないと美空は見えないよ? 見えないさ、タロちゃん」
ローブ姿の蒼き空の魔女。
「え、あ……ミソラさん」
彼女の突然な登場に動揺しつつも、俺はやはりこの戦場にミソラさんもいたのかと半ば予想していたことが当たった事に嬉しさと、言い知れぬ安堵感を覚えた。
ふよふよと、不格好な姿勢でゆっくりと下降していく俺と違って、ミソラさんはどこかの仙人よろしく小さな雲の上に立っていた。
「んんーー、誰の雲かと思ったら、あの緑色のはタロちゃんのだったの。そうだったのか」
ミソラさんは俺の高度に合わせて、ゆったりと降りてきて、俺の『フワモク玉』の煙へと興味深げに視線を注いでいる。
「あ、えっと、ミソラさんはやっぱりここに来てたのですか? というか、神兵は?」
灰王、カグヤ・モーフィアスの命を受けて、俺とは違って自分の意志で自由自在に空中を飛んでいた超人よろしくな、魔法ぶっ放な神兵たちはどうしたのだろうか。
俺の予測が正しければ、彼らの攻撃を受けていたのはやはりミソラさんだろう。
「神の真似ごとしかできない者の手駒風情が、偉大なる蒼穹の雄大さに気付けるとは思えないわ。だから私が相手をしなくても、地へと落ちるわ、堕ちるよ」
にっこりと微笑んだミソラさんは、陽気そうに杖を遥か上空へと指す。
そこには4人の神兵と、王の傍らにいた老人らしきローブ姿の魔法使いが必死になって空を舞い飛んでいた。否、あれは逃げ惑っている。
何から、と問われたら。それは大きすぎる白い塊。
巨大な雲からだ。
無体なはずの雲は様々な形に姿を変え、神兵たちを蹂躙していた。
時に竜のようなアギトで噛み砕こうとし、時に巨人が放つ拳を形成して殴りつける。
その総量は小城ほどのサイズを誇り、あれら全てに質量が備わっているとしたらとんでもない化け物だ。
しかも神兵たちが発動させている強力としか言いようのない魔法の数々が、空の青さに呑まれていくかのように、発生してからすぐさまどこかへと吸い込まれていく。残る空には、水面のような波紋の響きのみ。
「下を見てばかりでは確かに美空は見えない。けれど、見る者が見れば、俯いていても地に這いずる人間達の危機ぐらいは悟れるというもの」
ミソラさんは、さも神兵たちとの戦いはどうでもいいと言った様子で、下を見下ろし始めた。
俺も釣られて、下を見る。
よくよく戦場を見渡せば傭兵たちの数が大幅に激減していることに気付く。
城に近い王周辺は、神兵たちがガッチリと傭兵達の攻撃を受けきっており、さらに傭兵同士の戦いが苛烈を極めている。
会場の外周側は、包囲していた神兵達がジワジワとその輪を狭めている。
一部、傭兵が協力しながら神兵を迎撃している箇所もあるが、どこも傭兵VS傭兵と神兵の猛攻に板挟みにされ、脆くも命を落としていっている。
……なんだか、傭兵同士で争っている場合ではない気がしてきた。
「さてさて、風妖精たちはタロちゃんの手助けをできてるかな?」
「そ、それはもちろんです! この子たちがいなければ、今頃俺は……」
「タロはいいやつ」
「タロ~は風の子~元気な子~」
「タロんっ♪ 風らと飛ぶんっ♪ ブンブンッ♪」
「わわっ」
何も指示していないのに、妖精たちは風を発生させ、更に俺の身体を上へと飛ばしてしまった。
そんな俺達の様子を、微笑ましく身守るミソラさん。
慈母のごとく落ち着いた口調で、語りかけてくる。
「あ、そうだ。タロちゃんは魔力が少ないから、妖精たちと力を合わせるときは気をつけるのよ? 気をつけるといいよ」
「え、えっと?」
そう言われて初めて気付いた。
俺のMPが残り2しかないことに。
「もしかして……」
「この子たちの風を使うと魔力が減るわ、減るよ。でも妖精は3人もいるのだから、通常よりも魔力の消費量は3分の1ぐらいかしら? だよね?」
「力を合わせてる」
「タロの力、おいしいよ~」
「ボクらもんっタロんっ♪」
「じゃあ、なんだか騒がしい舞踏会になっちゃったけれど、お互い楽しみましょうね? 楽しもう。もし、タロちゃんや妖精たちが危なくなったら、大空の守護者、賢者ミソラが地へと降り立つのもやぶさかではないわ、ないよ」
そんな言葉を残し、賢者ミソラさんは更なる高みへと上がっていった。
小さくなるその姿をしばらく眺める。
なんだか、遠い人のように思えた。
一抹の寂しさを覚えた俺だが、俺は俺の戦場へと戻らなければ。
ぶれそうになった心の揺らぎを抑え、眼下を見渡す。
やはり、どんどん傭兵たちは死に喰い蹴散らされている。
その牙は、同じ傭兵からのもあれば、蒼き鎧をまとう神兵見習いの武器によるものもある。
この戦場を生き残る術。
それは協力しかない。
晃夜や夕輝、ミナやジョージ、それにグレン君が身を以って俺に教えてくれた。
だが、ヴォルフのように。
相手にその意志がない場合は、やはり殲滅しかないのだろうか。
『森のおクスリ』を飲み、MPを回復させながら俺はゆっくりと空を降りて行く。
◇
キャラクター名 ヴォルフ
レベル 13
HP300 MP? 力? 魔力? 防御? 魔防? 素早さ? 知力?
装備品:???
スキル:???
称号:群れの長
PT中にPTリーダーを務めている場合、全ステータスが1.1倍になる。
PTメンバーがキルされても、PTを組んでいる状態であれば、効果は持続する。
お読みいただき、ありがとうございます。