246話 重大な天啓
昨夜はごめんなさい、、
力尽きて寝ちゃいました、、、
さてさて。
領地の方は安定しているので、そろそろミソラさんからの課題をクリアしなければならない。
「ふふふ……【歯車の古巣】の技術力は高いからなぁ。持ちだせる実験器具とか実験器具とか……俺の研究所に……ふふ」
おっと、止まらないロマンがついつい本音を口に出させたか。
しかし『星々の光を集める装置』以外の設備や、機械などが眠っていそうなのは確かだ。
結局は研究所が絡んでくるのか、ってみんなは呆れるかもしれない。
でもそれは当然の帰結。なぜなら俺は錬金術士であり領主。自領を発展させ、現実での仏神宮家の発言力をもっと高める狙いがある。しかも今となっては、三人の研究員を抱える立派な所長なのだ。
『錬金術の研究所』所長……いい響きだ。
研究員には今後、俺のことは伯爵さまではなく所長と呼ばせよう。
というわけで、再び【歯車の古巣】を探索するメンバーをフレンドリストから募ってみる。
すると一番に反応を示したのは、義妹のミィだった。
『お兄ちゃん、わたし、行く!』
『でも、ミ……エルには危険な場所かもしれ、』
『わたし、Lv6! お兄ちゃんの2つ下!』
『レベル上がるの早ッッッ!』
聞けば姉による鬼畜特訓で、あれからずーっとレベル上げをしていたらしい。
それにしても二時間そこらでLv6に上がるとか……どんな方法でパワーレベリングをしたんだ?
姉は最強の妹を創り上げてしまったのかもしれない。エルは普通の傭兵と比べ、ステータスの伸び値が3倍。つまりLv18相当のステータスを誇っているのだ。
『エル、戦力、なる!』
『ぜひともお願いします』
◇
「みんな集まってくれてありがとう。今回、【歯車の古巣】での目的は二つ」
【歯車の古巣】攻略のために集まってくれたメンバーへ、お礼と説明をする。
「【星々の光を集束する装置】の発見と回収。そして化石堀り!」
夕輝と晃夜は無言で頷いてくれる。
前回一緒に来てくれたミナとリリィさんも笑顔で把握してくれた。
そしてジュンヤ君にいたっては興奮が最高潮に達したのか、ぶんぶんと首を縦に激しく振っている。しかも鉱山夫みたいな恰好で、背中に大きなリュックとピッケルを背負っていた。完全に化石を掘る気満々だ。
「タロ、目的はわかったよ」
「んじゃ、そろそろみんなを代表して質問しますかね」
夕輝と晃夜は互いに目配せして、俺へと詰め寄る。
「そこの、卵型の携帯ゲーム? みたいなのをいじってる子」
「たまごっちょに似てるな。あの娘は誰だ?」
あぁ、そういえばこいつらは義妹であるミィの存在は知っていたけど、会った事はなかったっけ。
親友たちが折よく話を振ってくれたので、ピコピコと夢中になっているエルを手招きする。
「んー、ん。お兄ちゃん、今、いいところ、調整大事」
「お前、集まってからそればっかりじゃん。みんなに挨拶しなさい」
「わたし、エル。お兄ちゃん、妹」
そっけなすぎる!
視線すらみんなに合わせず、たまごっちょばかりを見ているエル。
「エルよ。ここにいるのは俺の大事な友達なんだ。しっかり挨拶しなさい」
ちょっとだけ厳しい口調でエルを咎める。するとエルの目は画面から俺の顔へと移り、みんなの方へと向いていった。
「ん、んん……ごめんなさい」
「俺の自慢の妹らしく、挨拶できるな?」
「うんっ!」
エルはにっこりと笑い、元気のいい返事をした。
「わたし、タロ兄の妹。エル。よろしくお願いします」
エルがぺこりとお辞儀をすると、少しばかりの動揺がみんなに走る。
「この子が噂の……」
「キャラはリアルモジュールなのか?」
親友たちはまじまじとエルを眺める。
「妹さんは金に近い、銀髪……確かに天士さまに似てますね」
「姉妹そろって美しいですわ……エルさんがお姉さんかしら?」
「タロ先輩の妹さん?」
エルに関しては少しばかり説明がいるだろう。俺はこのメンバーなら問題ないと判断し、現実の事情をかいつまんで話しておく。
「エルの見た目はリアルモジュール。俺の方が幼く見えるけど、事情があってエルは現実で俺の妹なんだ。海外暮らしが長かったから日本語が少し苦手だけど、みんなよろしく」
俺の紹介が終われば、各々は自己紹介へと入った。
エルはあまり興味なさげな雰囲気だったけど、俺の手前、出来る限りの愛想を尽くしてくれていたと思う。
こうして俺達は互いのことを知り終えると、【歯車の古巣】へと向かったのだった。
◇
「お兄ちゃん、次、いく」
「任せたぞ、エル!」
【機甲獣】がうごめく、滅びた魔導機甲都市【歯車の古巣】。そこに一つの小さな影が風を切るようにして跳躍する。
俺の義妹であるエルだ。
四足歩行で素早い攻撃を仕掛けてくる『甲殻大狼』を相手に、エルは見事な動きで牽制している。体長三メートルと大きな【機甲獣】である『甲殻大狼』は、防御面では優れた硬さを持ち、攻撃面では鋭い牙と爪、そして機械とは思えないほどの敏捷性を誇っていた。
さらにいうと獣にあるまじき知性も窺えるので厄介なのだ。
「エルちゃん、そっちの陽動は任せた!」
夕輝が叫びながら、もう一匹の『甲殻大狼』の狙いを防ぐ。詠唱中のミナにむしゃぶりつこうと飛びかかったのを、盾でなんとか受けとめたのだ。
「よし、こっちは俺らで抑えるぞ!」
横合いからすぐさま拳を放ち、『甲殻大狼』の顔面を殴り飛ばす晃夜。俺もそれに続き、【燈幻刀・鏡花】で『零戦』をお見舞いしておく。
更にはブルーホワイトたんも召喚し、『氷花』などで足止め妨害をしてもらう。もちろん彼女が時折放つ拳は晃夜よりも重く、敵の機体部分をゴリッと削ってくれる。
「こちらは長く持ちませんわ! 『雨音したたる荒矢』!」
リリィさんはさらに迫って来る別のニ匹の上空に向けて、一本の太い矢を放つ。それは一本から数十本へと変わり、真下へと雨のように容赦なく降り注ぐ。
しかし堅い装甲をもつ『甲殻大狼』は、多少身動きが鈍るだけでその突進は止まらない。
「……『七曜に芽吹く爆葉』……完成です!」
ミナが詠唱問題を解いたようだ。彼女の文言に揺られて、葉っぱみたいにヒラヒラした小型爆弾が宙を舞う。様々な色を帯びるそれら七枚の葉は、今にも飛びかからんとする『甲殻大狼』の体表へと張り付いた。
数瞬後には断裂的な爆発音が響き、『甲殻大狼』たちの身体が大きく揺れる。
それでも奴らが伸ばした頑強な腕は止まらず、爪がミナの顔に届きそうになる。
「『剛速球』!」
そこへジュンヤ君がピンポイントで鉱石を投げつけることに成功。
間一髪のところで『甲殻大狼』の腕にブチ当たり、軌道がわずかにずれて爪の脅威は空振りに終わった。
ここまで迫った『甲殻大狼』だったが、エルが『甲殻大狼』の背中に飛び乗るようにして降り立ったことで、その進撃は止まる。何かがひしゃげる音が響き、『甲殻大狼』は沈黙してしまった。どうやらエルがパンチでキルしたようだ。
最初こそエルの怪力にみんな驚愕していたけど、今となっては頼みの綱だ。
「お兄ちゃん、そっち、狼、仲間!」
「わかった!」
エルが片手で卵型のゲームをピコピコいじれば、彼女の意志を反映するように一匹の『甲殻大狼』が別の『甲殻大狼』へと襲いかかる。
さっきまでエルが牽制を担当していた個体は、どうやら特殊スキル『生み親の乱智気騒ぎ』で操っているようだ。
このように、フィニッシャーは最大火力のエルとブルーホワイトたん。俺達はエルの処理が間に合うまで時間稼ぎをして持ちこたえる、といった役割分担になっている。
善戦はしている。
が、いつ切れてもおかしくない吊り橋を渡るようなギリギリの攻防だ。おそらくこの『甲殻大狼』は俺達よりレベルの高いモンスターだろう。
どうして俺達がそんな相手に真っ向から戦っているのか。
それは思ったよりもエルが好戦的だったのと、予想外に『甲殻大狼』たちの知能が高かったからだ。
最初に俺達が交戦したのは一体だけだった。驚異的なステータスを持つエルがワンパンすると、脚部の肩パーツが派手に弾け飛び、俺達は容易く勝てると確信した。しかし、あろうことか『甲殻大狼』はわき目もふらずに逃げ出したのだ。
これにはエルも悔しかったのか、即座に追いかけてしまう。俺達もなんとなく惜しいと思い『甲殻大狼』を追跡したのだが、それが罠だった。
逃げ込んだ先はやつらの集合場だったのか、三匹の『甲殻大狼』が待ち構えていたのだ。
それから順番に屠っていくも、次から次へと『甲殻大狼』は定期的にここへと集まってくる。
見事に連携の取れた動きや、波状攻撃などを浴びせてきてはこちらを消耗させるのが上手い。
妙に戦い方に知性を感じるのだ。
常に集団性を意識し、不利なら退散までする。
まぁこんなピンチもエルがいるから切り抜けられている。敵を倒しまくっているおかげで、俺も含めて全員のLvが1上がってるし結果オーライ。
「だんだん奴ら、増援が少なくなってきてる!」
「これならいけるぞ!」
夕輝と晃夜の分析は正しい。
「エル、頑張る」
善戦するブルーホワイトたんと競うようにしてエルは駆け抜けてゆく。
こうして俺達は永遠に続くかに思われた死闘の末、ニ十匹以上もの『甲殻大狼』を倒し終えた。
全てが終わる頃には更に1Lv上昇していて10Lvに到達。ついに俺は夢の2ケタ傭兵になったのだ。
「エル……一段落したし、ここらで休憩を」
「お姉ちゃん、修行、もっとすごい。まだまだ戦う」
姉よ……エルを戦闘狂に仕立て上げないでくれ。
「エル、みんなを見て。けっこう疲れてるよ。それにクラン・クランの楽しさは戦いだけじゃないんだ」
「そうなの? どんなの?」
俺はチラっとジュンヤ君を見る。
「いろんな素材を集めてコレクションしたりもできるぞ」
「ふーん。他には?」
「俺みたいに素材を採取しては研究し、新しいアイテムを作ったりするのも楽しいぞ?」
「いま、できる?」
採取、か。
採取といえば……倒した【甲殻獣】の数体の死体がまだ残っているのに目が行く。
俺はスキル『悠久なる植物学者』で【屍の花姫】という常時発動型のアビリティを所有している。そのせいで死体が一分間残るのは自然だ。
しかし機械である【甲殻大狼】の死体があるのは不思議だった。
ふと思ったのだが、機械でも血液は採取できるのか?
「召喚生成――――【血濡れた永久瓶】」
なので俺はMP10を消費して『血濡れた永久瓶』を召喚生成する。【屍の花姫】が死体を残す理由は『血液採取』を行うためだ。
そしてその血液を元に【彩菌】を作る。
「お兄ちゃん、何?」
「これで死体から血を吸い取るんだ」
「うぇぇー」
「なんだ、エルは血が苦手なのか?」
「うん」
「でも、これはすごい【彩菌】が作れるかもだぞ?」
「病気、嫌い」
義妹の正論に顔を背け、俺は『甲殻大狼』へと【血濡れた永久瓶】を傾ける。すると機体から粘液? 青黒い油みたいな物がみるみる瓶の中へと吸い込まれていく。
果たして血液採取は成功するのか否か――――
:『甲殻大狼』から【錆びぬ賢狼の血】を採取できました:
ビンゴ!
さっそく半永久的に鮮度を保てる瓶に入った血液を調べる。
【錆びぬ賢狼の血】
『戦闘を優位に進めるために、獣の本能を抑え理性を失わせない成分がふくまれた特殊な血液。また『歯車の古巣』に住む人々が、『機甲獣』に誰が主人かを把握させるために、従順性を植え付けた油も混じっている。金属の酸化を防ぎ、錆対策にもなる』
ほう。
巨人の理性に続き、今度は獣の理性か。
しかし、説明文を見るとウィルス生成というよりは、ワクチン作りに適した素材のように見えるけど……ふむ、【錬菌術】で色々な素材を混ぜ込んで試す他ないな。
俺はそそくさと他の二体の死体からもどんどん血液を採取していく。
「お兄ちゃん……不気味……」
血眼で俺がドロドロの液体を採取する姿を見て、エルがぼやいた。
すると晃夜や夕輝が『いつものことだ』と苦笑し始める。
「タロさんは色々と不思議な方ですから」
「そんなところが天士さまの魅力なのです」
呆れる親友たちの態度に代わって、俺をフォローしてくれるのはリリィさんとミナだ。
「タロ先輩! 血液採取もいいけど、そろそろ化石堀りがしたいです!」
俺に負けない情熱でジュンヤ君がそう叫べば、その場のみんなは一層と苦笑いを深めたのだった。
◇
「みゃー、ここがいい場所ニャ」
【案内機甲獣】のネコ・フェア・レディに案内されたのは【魔導機甲都市】の外れも外れ、俺達は天にも届かんばかりの断崖絶壁を目の前にしていた。
「だいたいは巨獣クラスばっかりニャけど、稀に【神属性】持ちとか、神そのものを掘りあてられるかもニャ!」
山の上にある山、と表現すればいいのだろうか。
とにかくおっきい。
そしてよくよく見れば、骨っぽいものが崖に埋まっている。
「みなさんもどうぞ!」
ジュンヤ君は顔を輝かせながら、ピッケルを各々に手渡してくれる。
どうやら彼は余分にピッケルを持ってきてくれていたらしく、PTメンバー全員へと配り終えると、神速で崖へとピッケルを打ち付け始めた。
「ボクは掘ります! 掘って掘って、古代の生物をっ! 骨を! 鉱石を! 化石を手に入れます!」
一心不乱に化石採掘をするジュンヤ君に釣られ、俺達も崖をカツーンとやってみる。しかし、ジュンヤ君のようにはガリガリと削れはしない。
「この日のために! 磨きましたとも、スキル『堀師』!」
……俺もスキル『堀師』を習得しようか悩む。
いいなぁ、あれは便利そうだ。
と、他人をうらやむ暇があるなら、全力で掘り尽くさなければ!
だけどこれがなかなかに骨が折れる。
ガツガツし過ぎても、浮き彫りになった骨にダメージを与えてしまいそうだし……。
ジュンヤくんが何かの巨大生物の化石をいくつも掘り起こしていくのを隣で見つつ、俺もようやく一個目の化石をゲットする。
『地殻の巨獣アースガルド【化石】【一本角】』
【大地に眠る巨獣の頭部に生えた角。直径2メートルの長さから、その巨体が推し測れる。その角には土壌を自由に操る魔力が備わっていたと判明している。アースガルドの生息数は多かったものの、性格が非常に温厚だったので滅多に地中内から出てくることはなかった】
「古代はこんなに強そうで大きな生物がたくさんいたのか」
「すごいですね、タロ先輩」
「あぁ……そして屈強な生き物でも滅んでしまうんだな」
「神秘的です……」
俺達は滅びた種を夢想し、次々と古代生物たちの姿を暴いていく。
『太古の賢狼【化石】【両手足】』
【賢狼の両手足。彼らは仲間意識が強く、集団性を重んじていた。全長4メートルを超える巨体でありながら、高い敏捷力を持つ。また、賢狼たちの連携力は格上の生物すらも脅威を抱き逃げ惑う。彼らは生態系の頂点に近い存在であり、『歯車の古巣』にいた科学者たちは【機甲獣】を作る際に、この種のデータを参考にした】
「なるほど……【甲殻獣】はこれらの化石から生物データを抽出し、参考とされて創り出されたものらしい」
「すごい技術力ですね」
「いつか、錬金術で復活させたいな……」
化石は大きな物ばかりでない。
正体不明な形をした骨ばかりの中で、俺は見知った構造の物を見つけてそれを掘り起こしてみる。
『炎帝の鬼神スルト【化石】【右腕・頭部】』
【焔ノ鬼人族の【神属性】種。魔刀を生成する英雄剣豪であり、灼熱の業火をその身に宿す最強の武人】
「きた! 【神属性】持ち!」
「そんな小さな化石がですか!?」
笑顔でジュンヤくんに化石をお披露目してあげると、彼は腰を抜かすようにして数歩下がってしまう。
「って、それ骸骨じゃないですか!? でも、あれ? 頭蓋骨に二本の角?」
「お兄ちゃん、不気味……」
「エルちゃん、タロはクラン・クランじゃいつもこんな感じだよ」
「不気味だけど、見てておもしろいよなぁ」
「……でも、使える? 骨、何に?」
エルの一言で俺達は化石掘りを断念せざるを得なかった。
確かに化石は、今のところ何の役にも立たなそうだったからだ。
「エル。こういった素材が何に活用できるか研究するのも楽しいんだぞ?」
「わたし、戦う。お兄ちゃん、お願い」
ぐ……兄は妹の頼みには弱い……。
というか姉よ、こうもエルを戦闘狂に仕立てあげるとは……貴女は一体、何を義妹に教えたんだ?
そんな風にして姉への疑惑を抱いていると、なんと本人からフレンドメッセージの通知がきた。
「ひいっ」
まさか俺の内心を読んで? とビクビクしつつも応答してみる。
『あ、姉?』
『太郎、すこし頼みがあるのだけれど』
姉が俺を頼るのは珍しいな。
『さっき『水門回廊アクアリウム街』に問題があるって言ってたでしょう?』
『うん』
『被害が広がって、街の名前が変わってしまったの。下手をすると現実改変に影響がでる事態になるかもしれないわ』
『……街の名前が変わった……? 被害って何の?』
『【感染都市サナトリウム】になってしまったの。被害はNPCの間で流行っている病よ』
『病って、どんなの?』
『狂犬病と食人病ね』
『それってウィルスか何か?』
『おそらくね。しかも問題はそれだけじゃないの』
『なに?』
『実は【水門回廊アクアリウム街】の支配者の正体が【吸血鬼】だって情報が、前からあってね。傭兵たちは支配権を巡って、この地の支配者ヴラド伯爵の首を取ろうと躍起になってたの』
『ヴラド伯爵……一応は俺と同じで、イグニトール王家に仕えてるはず……』
となると他人事ではない。『水門回廊アクアリウム街』はうちの領地とは隣接してないため、あまり気になっていなかったけど……あそこが落ちたら、次の次あたりは俺かもしれない。
『あそこは神兵よりも弱い憲兵隊が街の治安を守っていたのだけど……私達『首狩る酔狂共』は特定の傭兵に街の支配権が握られるのを防ぐため、PvPを仕掛けては傭兵同士での争いを激化させてたのよ』
なるほど……競争相手が増えれば、それだけ支配権を手にするまで時間がかかるわけだ。
『そこにウィルス感染よ。統治機構の混乱に乗じて、活発に支配権を狙う傭兵たちが増えたの』
『感染したNPCたちはどうなってるの?』
『狂犬病にかかった者は【人狼】に、食人病は【食人魔】に』
……吸血鬼に人狼、そして食人魔か。
『感染したNPCたちは理性を失うように、NPCや傭兵たちに襲いかかっているわ。感染区域は封鎖したものの、今もその感染地帯は拡大しつつあるの』
狼に理性……?
『太郎もこの事態の収拾に手を貸してほしいの』
これってもしかして……。
さっき採取した【錆びぬ賢狼の血】からワクチンが作れるのでは?
◇
ちなみに帰り道は巨大ロボット同士の大迫力な戦闘が見れた。
「巨大ロボ、操縦。これ、日本の文化!」
エルが嬉々としてそう叫び、【巨石機甲人】を操ったのは圧巻だった。
機械モンスターだと接続しやすいそうだ。
夢中になって卵型コントローラーをいじくり回し、【機甲獣】を戦わせる姿は、まさにゲーセンで格闘ゲームに熱中している女子そのものだ。
「無茶苦茶だね」
「あぁ……似た者兄妹だな」
夕輝と晃夜が呆れた眼差しでエルを見た後に、なぜか俺の方を向く。
「なんだよ、二人とも」
「えーっとさ、シンさんもやばいけど」
「早い話、タロの家族は規格外だ」
二人の苦笑は、巨大ロボの派手な激突音でかき消された。
新作始めました!
『古代帝国【日本】を知る最強の錬星術士~ペテン師と馬鹿にされ竜の巣に捨てられるも、究極カードスキル《デュエリスト》に目覚めたので神罰少女を錬成します。ん? 星遺物が暴走して国が滅ぶから戻れ? だが断る~』
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