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蟲‐極暑と共に来たる者‐

作者: 日本武尊

十何年ぶりかに小説を書こうと思い立ち、リハビリがてら好きなクトゥルフ神話をイメージして書きました。ちなみに最初の辺りは実話ですw

※この作品に登場する神話生物はオリジナルです

「さっき変な虫を見たんだ」

 父がそう言ったのは、僕が真夏の昼下がりのリビングで、何とはなしにワイドショーを観ていた時だった。

 しかもちょうどその内容は、近頃の猛暑のお陰で例年に無い程虫が繁殖し、そのせいで一部に深刻な被害が出ていることを伝えるものだった。

 かく言う我が家の庭先にも、先日これまで目にした事も無い程の大量の毛虫やゲジゲジが発生し、その為一家総出で駆除に追われたという事は、思い出したくも無い事実だ‐思い出してしまったが…。

 僕のそんな気持ち等知る由も無く、父は続けた。

「ちょうどここの窓の外にぶら下がっていてね、何て言うか…こう…窓の上から糸でぶら下がっていて、一見すると緑色の縦に折れ曲がった小さな葉っぱの様に見えたんだ。でも、よく見てみたら全体がぬらりと光っていて、先端が微妙に丸くなった二本の触覚があった。それに体中から産毛の様な体毛が生えていたんだけど、それが風のせいか、うにょうにょと蠢いてる様に見えたんだよ。いやあ気持ち悪かった、今まであんな虫見た事ないよ」

 父はそう説明し終わると、その正体不明の虫が垂れ下がっていたと思わしき窓から、我が家の裏手に位置する、凶暴なまでの緑に覆われた山を何とはなしに見つめた。まるでそうしていれば、自分の見た奇妙な虫の正体が解るかも知れないとでも言う様に。

地方都市の住宅街、小高い山の麓に位置するこの地に僕の曽祖父が移り住んできたのは明治の終わり頃だ。

 当然、父も生まれた時から六十年以上この地で暮らし、幼少時には遊び場として、現在は週に二、三回、健康の為に頂上まで歩くのを習慣にしている程、裏山とこの土地の自然に慣れ親しんできた。そんな父が今まで一度も見た事の虫など、この近辺にいるのだろうか。まさか新種の虫では無いだろうが…。

 とは言っても、父の見た物はともかく、この近所は立地のせいで虫自体は珍しくも無い。僕自身、時計の短針が一回りしない内にそんな話は脳裏から消え失せてしまった。


 数日が経ってもうだる様な暑さは相変わらずこの小さな列島を、すっかりサウナにしてしまっている。いや、サウナの方がまだ幾分かマシかも知れない。少なくとも皆が金を払ってまで入りに来るほどの快適さはあるのだから。

 「お帰り。ああそうそう、こないだ変な虫を見たって言ったろ。それをさっきまた見つけたんだ。」

 帰宅し、挨拶がてら父の部屋を覗いた僕に父がそう話しかけて来た。

 既にとっぷりと日が暮れた闇夜の向こうから、ミィーン…ミィーン…と例年より幾分も大きな蝉の鳴き声が飛び込んでくる。

 「この窓の外にこないだみたいにぶら下がっていたんだ。まじまじと見たけど、やっぱり気持ち悪いね。昔から結構虫は好きだったけど、ちょっとあれは無理かな。触ってみようとは思えなかったよ。それでね、今ちょこっと図鑑で調べたんだけど、やっぱりあの虫の事は載っていなかったよ。余程珍しい海外の虫か、もしかして本当に未発見の新種だったかも。もしそうだったら、捕まえて研究機関にでも持っていったら有名になれたかもね。」

 そう言った父の机の上には、そこそこ値の入っただろう精緻なイラストが表面に施された、分厚い昆虫図鑑が広げられていた。

 在宅の個人デザイナーである父の自室には、こう言った資料用の図鑑がかなりある。どれ程元が取れたのかは分からないが…。

 しかし自然に近いとは言え、小さいながらも都市の住宅地であるこんな場所に、未発見の生物など例え昆虫と言えどありえないのではないか。どうせどこぞの外来種だろう。昨今よくある事だ。

「ああ違った、窓の外じゃ無いな。最初は窓の外だと思ったんだけど、よく見てみると内側にいたんだ。

一瞬硝子をすり抜けてきた様に見えたけど、目の錯覚かな。最近眼が悪くなったからね。その後すぐ居なくなっちゃったけど、もしかしたら今夜、お前が寝ている時に顔にへばりついているかもね。」

 部屋に戻ろうとした僕の後ろから、そんな事をからかう様に話しかけられ、僕は非常に不快だった。変な夢でも見たらどうしてくれるのか。だが、もし父の言った通り家の中に侵入されたのだったらそれはそれで問題だ。外見の醜悪さもさる事ながら、万が一毒を持っていたら…。

 部屋に戻った僕はすぐさまパソコンを立ち上げ、父の目撃した虫のヒントになる様な事が無いかをネットで調べ始めた。

 だが肝心の名前も解らなければ特徴も又聞きでは手がかりらしきものは得られない。

 虫博士だったら知ってるのかな…。

 途方に暮れた僕は、自宅から程近い裏山の入り口に、一軒だけポツンと佇む家に暮らす一見、いや実際風変わりな老人を思い出していた。常に浮浪者よりかは幾分マシ程度の薄汚れたヨレヨレの白いスーツを身に纏い、年季の入った鎖付眼鏡を掛けて、時折町内を徘徊し、近所の子供や主婦達に気味悪がられていた。噂では昔、どこかの大学で昆虫学の教授をしていたらしい。それで付いたあだ名が「虫博士」…。安直に過ぎるきらいもあるが、まああだ名と言うものは元来そういう物なのだろう。


 翌日、昼過ぎから夕方にかけてこの地方を襲った土砂降りの雨は、巨大な打ち水となってこの街の人々に久方ぶりの快適な夜を与えた。その為、いつもならば疎まれ恨めしく思われるだけの豪雨も、この時ばかりは歓迎される運びとなった。

 そのせいか町を行き交う人々の顔にもいつもより生気が満ちているようにも見えた。

 突如、携帯が陽気なメロディーを奏でた。液晶は母からの着信である事を知らせている。電話に出た僕の耳に気丈な母の数えるほどしか聞いたことのない狼狽した声が飛び込んできた。

 -父が倒れた-

 それを聞いた僕は、慌ててタクシーを捕まえ、父が収容されたと言う病院へ向かった。

 

 病院へ着いたのは午後の十時を回った頃だった。

 当然受付は閉まっていたが、その代わり今にも泣き出しそうな顔をした母が僕を迎えてくれた。

 母が言うには、夜、仕事から家に帰ったが返事は無い、出かけているのかと思い台所に向かい夕食の支度をしようとしていたが、よくよく考えれば父の車も車庫にはあったし、玄関には靴も揃えられていた事を思い出した。寝ているのか、と思い寝室のある二階に向かおうとした所、ちょうどその二階から、父の絶叫が聞こえてきたのだと言う。その声は、今まで直接聞いた悲鳴の中では最も悲痛で、極地まで届くような常軌を逸したものだったと言う。そして、急いで父の部屋へ向かうと、涎を垂らしながら床に倒れる父の姿があったと言うのだ。

 母がそこまで説明した直後、白衣を身に付けたやや若い印象を与える医師が僕らに話しかけてきた。どうやら父の診察を行ってくれたらしい。

 「息子さんですか。お父様は現在眠っておりますが、命に別状はありません。」

 既に消灯時間は過ぎ、ぼんやりとした非常灯の明かりが、ただでさえ無機質な病棟を更にそれらしく映し出していた。

 共に父の病室へ行くと医師の言葉に偽りなく、簡素なパイプベッドの上に父は横たえられ、静かな寝息を立てている。

 「沈静剤の影響で現在は眠っています。他には多少体温の低下が見られますが、それ以外には差したる異常もありません。」

鎮静剤…。僕の怪訝な表情に気付いたのか、医師は言う。

 「実は…お父様がここへ着いた直後、目を覚まされました。が、しかし、直後に大声を上げながら腕や身体をはたき始めたのです。明らかに錯乱が見て取れたので、已む無く鎮静剤を投与させていただきました。」

 錯乱…あの温厚でのんびりとした父が…。医師は思わず言葉を失った僕に構わず、今度は母の方へ向き直りこう口を開いた。

 「あの…こう言った事は大変聞きにくい事なのですが…ご主人は何らかの薬物を使用しておられませんでしたか?またはそう言った様子はありませんでしたか?」

 それを聞いた僕は一瞬耳を疑い、そして思わず笑い出しそうになってしまった。あの度が付く程真面目で、酒も煙草もやらず、暇になれば優雅にクラシックを楽しんでいる暢気な父が、あろう事かドラッグに手を出すところなど想像もできなかった。母の印象も同じで、それはまったくありえないと否定した。

 「そうですか…大変失礼致しました。」

 医師は頭を下げると、こう言葉を継いだ。心なしかその表情には困惑の色が見て取れた。

 「実はご主人は錯乱時、盛んに『虫が、虫が』と叫んでいました。それに加えて身体をはたく行為-ご存知かも知れませんが、これは麻薬やいわゆる危険ドラッグ等の禁断症状に於ける典型的な症例なのです。一応先立って血液検査も行いましたが、その結果それらの陽性反応はありませんでした、が…、あまりにもそれに似通った症状の為、念の為に質問させて頂きました。」

 違う。僕の脳裏に、父の見たと言う蟲の話が何処からともなく浮かび上がり、それと同時に不思議な‐第六感とでも言うべき‐感覚が直情的に僕の意識に囁きかけた。原因は父が見たと言うあの蟲だ。僕の悪い予感の通り、あの蟲は何らかの毒を持っていたに違いない。それに父は刺され、その毒によって倒れ、錯乱したのだ。

 僕は慌てて、思い出せる限りの父から聞いた蟲の特徴を伝え、その毒による中毒症状なのではないかと、しどろもどろになりながらも目の前の医師に説明した。

 それに対して医師は先程よりはっきりと困惑した様子を見せながら、僕をなだめるだけだった。

 

 その後、父の入院が決まり家に帰ったのはとっくに日付の変わった深夜だった。当たり前だが、あんな事があってすぐ寝付ける程、僕の神経は図太くは無い。ベッドに入りながらも、僕は父の異変の原因に違いない、僕自身は今だ見ぬ蟲について考えていた-否、考えざる得なかった。目を閉じた僕の脳は、あらん限りの想像力で父から伝えられた蟲の姿を再現しようと試みた。いくつものグロテスクな姿が閉じた目蓋の内側に現れては消え、またそれを繰り返した。と思いきや、父の容態は改善するのだろうか、果たして一過性の物で収まるのだろうか、後遺症の心配等は無いのだろうか、と埒の開かない考えもまた堂々巡り、かと思えば姿も定まらないあの蟲が、今まさに僕の部屋や母の居る寝室へと忍び寄っているのではないかと言う妄想と恐怖が湧き上がり、それに苛まれた。僕がやっとばかしの精神の平静を取り戻し、眠りに落ちたのは窓のカーテンから明かりが漏れ始め、鳥が囀り始めた頃だった。そして不思議と眠りに落ちる僕の頭の中に浮かび上がったのは、どこかにやついた微笑を浮かべた「虫博士」の顔だった。

 目が覚めたのは、陽が傾きかけようとしてる昼の半ばだった。だが、目覚めたはずの僕の頭の中には、依然眠りに落ちる瞬間に見たあの老人の姿が消えずに残っていた…。


 「虫博士」の家は、僕の自宅の裏山、その登山道へと繋がる山の斜面の入り口に、ぽつんと一軒だけ佇んでいた。西日に照らされた木造のそれは、ところどころに鱗や蔦が生い茂り、窓の所々に亀裂や、それを補修した跡が見て取れた。更には立地のせいか心無しに傾いている様にも見え、その様子は正に廃屋の様な、いや廃屋そのものと言って良い有様だった。そしてそれらと同じ様に年季の入った、黒ずんで亀裂の走っている表札には『那伊阿』と記されていた。

 -正気の沙汰じゃない-幾ら何でも、こんな荒れ果てた民家に住む浮浪者然とした素性も定かではない老人をわざわざ訪ねるなんて…。第一、「虫博士」が本当に昆虫学の教授かどうかすら定かではないじゃないか。あだ名を元に誰かが面白おかしく尾ひれを付けただけじゃないのか…。ごめんください、そう考えた次の瞬間、僕は自分自身のそんな思いと裏腹に、玄関に向かって大きく声を上げていた。溺れる者は藁をも掴む、と言う有名な諺の意味を僕はこの時、はっきりと実感する事になった。

 ほんの少しして、中から物音が聞こえ、それから玄関の引き戸がたがたと何度かつかえながらも開けられた。

 「どなた様ですかな。」

 戸を開けて表れたのは、紛れもなく今朝眠る前に思い浮かべた通りの、あの老人だった。


 僕が通されたのは、「虫博士」の書斎と応接間を兼ねた一室だった。

 暑い…。最初に思ったのはそれだった。クーラーの電源が入っていないのか、そもそもそんな物は端から取り付けていないのか-恐らく後者だろうが-室内の温度は外部のそれと同じかほんの僅かばかりマシ、と言った所だった。しかし、何故か窓一つ開けられている気配の無い閉めきられた屋内の湿度と、あまり手入れされていない木造家屋ならさもありなんと言う黴臭さが相まって、外部とは比べ物になら無い不快感を僕にもたらしていた。

 室内を軽く見渡すと、予想通りクーラーどころか扇風機も、それどころか電化製品と呼ばれる一切の代物がまったく見当たらなかった。

 更に家の外観に背かず、室内もまた所々に埃が溜まり、天井の隅には蜘蛛の巣さえ張っているのが見て取れた。

 しかし内装に目をやると、壁の一面には蝶類と甲虫類の標本がかけられ、窓際の卓上にも同じく幾つかの見た事も無い昆虫の標本と模型があった。部屋の奥まった場所の本棚には、極めて珍しそうな古い洋書や図鑑、そして日焼けして色あせてはいたものの、表札と同じ名前の入った学位の認定証書もまた飾られていた。そこにははっきりと「昆虫学」の文字が入っている。その本棚の上にも幾つかの標本が置いてある様だったが、ちょうど日差しの影になっており、よくは見えなかった。

 どうやら昆虫博士と言うのは間違いなさそうだな。そう僕が一人ごちていると、件の老人が盆の上にコーヒーを載せてやって来た。

 「こんなものしかありませんが、ま、宜しければ…」

 そう言いながら老人はコーヒーカップをテーブルの上に置く。が、角が欠け碌に洗っていなかったか、内側に茶渋が染み付いているのを目にすると、とてもでは無いがそれを飲む気は起こらなかった。

 そんな僕の様子に対して関心を向ける事もなく、老人は僕の向かいにゆったりと座るやこう切り出した。

 「初めまして。わしはこういう…おっと、そうそう、名刺を切らせておったんじゃ。なにぶん、ここに移り住んでからと言うもの来客など一切なくてな。まあ表札やらそこの証書やらを見てもらえば分かると思うが、那伊阿(ないあ)と読む。変わった名前じゃろ。」

 老人-「虫博士」改め那伊阿博士は笑いながらそう言った。

 ここに来て僕は初めてこの老博士をじっくり観察する事ができた。白髪混じりのボサボサの髪に、白地のせいか余計に汚れが極まって見えるシャツと、同じく所々泥や埃に汚れた茶色のスラックスと言う上下、それらに増して特徴的な金縁と同色の鎖の付いた眼鏡-片方に小さな亀裂が入ってる、が加わったが-は時折町で見かける時の印象そのままだった。

 だが、それ以上によく見ると従来の不気味なイメージと異なり、七十近い歳相応ながらも極めてスッキリとした端整な顔立ちをしている事にもまた気付いた。モデル出身の某人気俳優が同じ歳になった頃にはこうなるのかも知れない。はっきり言えば、今から役者のオーディションを受けても通りそうな程だが、余りにもみすぼらしい外観でせっかくのその美形をまるっきり覆い隠し、まったく逆の印象を与えてしまっている。世の中には、自分の外観を少しでも良く見せる為に着飾る人間は多いが、その逆は珍しい。

 「不思議かな。」

 博士は唐突にそう言うと、コーヒーを軽く一口啜りながら続けた。

 「君は今こう思ってるじゃろう。何で博士号を取った様な教授が、こんな貧相な生活をしているのか…と。はは、確かに教授職と言うのは一般的に大金持ち、とまでは行かないまでもかなり良い生活が保障されている身分だと思われておる。少なくとも、退職してからもそこそこ裕福な暮らしが出来る程度には、とな。そしてそのイメージは概ね正しい。」

 博士はそこまで言うと、カップを置いて続けた。

 「では何故、君の目の前にいるこの老人はこんなあばら家で襤褸を着て生活しているのかと言うと…、別に女やギャンブルに注ぎ込んだからじゃない、犯人はあいつらじゃよ。」

 そう言いながら博士は壁や棚に収められた昆虫標本を顎で指し示した。

 「わしは昔から昆虫、それも秘境と呼ばれる様な場所に棲息しておる珍しい昆虫を集めて研究する事に、個人的な熱意を傾けておる。その為にヒマラヤから、ボルネオ、アマゾン奥地に何度も通った。極稀に新種を発見出来る事もある。その時の胸の高鳴りと言ったら…。その魅力の為に定年まで待てずに勤めていた大学も辞めた。そして気付いたらこの有様じゃよ。」

 博士は自嘲気味に笑いながらそう語ると、続いて、昆虫に纏わる様々なエピソードを話してくれた。

 ボルネオで三週間に渡る密林生活の末発見、捕獲した新種のアゲハ蝶。中米コスタリカで同じく密林生活の末捕獲した、世に数体しか無い幻の蝶。更には、捕獲にこそ至らなかったものの、ヒマラヤの奥地に住まう少数民族が、神として崇める一見甲殻類の様な姿をした昆虫や、イギリス南部の森林に住まう、鳩ほどの大きさの羽虫に付いても、生き生きととても楽しそうに話した。

 その様な話がしばらく続き人心地ついたのか、次の瞬間打って変わった真剣な眼差しで僕を見つめて言った。

 「さて、君はこんな昆虫狂の老人に何用があって訪ねて来たのかね。単なる酔狂でわざわざやって来るとも思えん。大方わしが元大学教授だと言う噂を聞いたんじゃろ。それも昆虫の専門家だと聞いてな。と言う事は訪ねて来た理由もそれに関係しておるんじゃろう。折角ここまで来たんじゃ、話してみるといい。」


 「ふむ、一見すると葉っぱの様に見える虫、か…。」

 僕がこれまでの出来事を話し終えた頃には、日も大分傾き、部屋の窓から夕日が差し込んでいた。そのせいかどうかは分からないが、昼に訪ねた時に感じた不快感も心なしか和らいでいる様に感じる。

 「君のお父さんが見たと言う虫は、木の葉と見間違えたと言う事から考えて少なくとも擬態機能を持つ者と見て間違い無いじゃろう。」

 少し考える素振りを見せた後、博士は自分の見解を述べ始めた。

 「木の葉に擬態する昆虫は実は結構な数が居る。だが多くは枯葉に見せ掛ける。父親が見たと言う緑葉に見える様に擬態する昆虫だと、有名所はクツワムシとコノハムシじゃ。この内クツワムシは関東以南に多く棲息しておるが、人間から見れば見た目はバッタそのもので、とても見間違える物じゃない。実際に君が父親から聞いた特徴ともかけ離れておる。どちらかと言うと近いのはもう一種類のコノハムシじゃが…こいつが主に暮らしておるのは東南アジア。近年の事情から考えると、君の家の外に居たとしても不思議ではないかもしれん、が…。」

 それでも何か博士は納得が行かないと言う様な様子を見せた。

 「この虫も君から聞いた特徴とは一致しない点が非常に多い。こいつは胴体こそ木の葉じゃが、頭部と四本の脚が非常に特徴的でな。蜘蛛や蓑虫の様な糸など出さないし、体毛の類も一切生えておらん。更に言えば、こいつに限った事じゃないが、木の葉に擬態する昆虫で毒を持つ種類は確認されていないんじゃ。そも擬態と言うのは、その殆どが外敵から身を守る為の手段じゃからな。」

 それでは何も分からないと言うことじゃないか…。博士の言葉は、専門家ならば何か分かるかも知れない、と言う僕の希望をあっさりと打ち砕いた。

 「君の気持ちは痛い程良く分かる。力になれなくてすまない。じゃが、わざわざこんな変わり者の家に訪ねて来てくれたと言うのに、はいさよならではわしもやり切れん。わしの浅学故に見逃している事もあるかも知れんから、君の言うその虫の事に付いて出来る限り調べてみる事にしよう。」

 隠し切れない程落胆の表情を見せる僕に、博士は居た堪れなくなった様子でそう声を掛けてくれた。僕はそれに対して小さな声で礼を返すのが精一杯だった…。


 博士宅を出ると既に日は殆ど落ち、空の彼方からのほんの僅かばかりの明かりと、ぽつぽつと並ぶ電灯の光のみが周囲を照らしていた。

 家路に就こうとした僕の眼は、ふと、目の前の寿命が近いのか明滅を繰り返す電灯の真下に佇む不審な人影を捉えた。構わず通り過ぎようとすると、その人影は急にその下から表れるや、僕の行く手を阻むかの様に立ち塞がった。

 「おい、あんたあの老人の家に居ただろう。一体何だって近所でも評判のイカれた爺の家をわざわざ訪ねたんだ。言って置くが、あいつと関わると碌な事にはならんぞ。」

 反射的に身構えた僕にそう声を掛けて来たのは、町では見掛けた憶えの無い、四十前後の薄っすらと無精髭を生やしたサラリーマン風の男だった。

 「どなたですか。」

 何故いきなり表れた、不審者然とした見ず知らずの男にその様な事を言われなければいけないのか分からなかった僕は、ほんの少し苛ついた声とあからさまに憮然とした態度を持ってそう聞き返した。

 「おっと、そうだったな。いきなりこんな所でこんな事を言うなんて、言われてみりゃ何かの不審者と変わらん。俺はこういうものだ。」

 そう言うと男は、手馴れた様子で素早く胸ポケットから名刺を取り出すと、僕が何かをする間もなく、半ば強引にそれを手渡して来た。その名刺にはフリーライターの肩書きと『首里(しゅり) 螺判(らばん)』と言う名前が記されてあった。

 「変わったフルネームだろ。苗字に増して一見では絶対に読めない名前ときてる。こういう名前を最近なんて言うんだったかな…。そう、キラキラネームだ。俺の名前はその走りって奴だな。ったく、苗字からして変わってるって言うのに名前ぐらいはメジャー所でいいって言うんだ。」

 そう言いながら男はマナー違反等お構いなしと言った様子で煙草に火を付けた。

 「職業はそこに書かれている通り、フリーライターだ。そんでもって、お前さんがさっき訪ねていたあの老人は、前々から追ってる俺の取材対象。お前さん、何でわざわざあいつの家を訪ねた。何か事情があるのか。」

 いきなりそう聞かれて面食らうと同時に、こんな黄昏時の往来で非常識かつ無神経な態度を取るこの男に対する嫌悪感もがどこからともなくふつふつと湧き上がってきた。そしてそれは、共に芽生えていた僅かばかしの好奇心を押さえ込むに充分だった。男の言葉を無視して、僕が足早にその場を去ろうとすると、男はお構い無しに、去り行く僕の背中に対して声を掛けてきた。

 「いいか、無理に聞こうとはしない。だが、はっきりと言っておく。さっきも言ったが、どんな事情であれ、金輪際あの爺さんに関わるな。興味本位なら勿論、切羽詰った事情なら尚更だ。余計に事を悪化させるだけだ。」


 その後、家に帰り着いた僕は、先に帰宅した母との会話もそこそこにぐったりと寝床に潜り込んだ事を憶えている。

 その夜の僕は、問題が解決せず、又しそうにも無いと言う事実に打ちのめされていたし、帰路に遭遇した、不審な自称フリーライターから言われた不可解な言葉の意味にも悩まされていた。それに加えて、精神的な疲労のみならず、あの湿気と、それによって普段より更に極まったであろう黴臭さに覆われたあの部屋で図らずも長時間過ごした影響か、肉体的にも困憊していた。それらが相俟ったせいか、前日の不眠とは打って変わって、心地良いまどろみに身を委ねることができたのは皮肉としか言いようが無かった。

 

 深夜の電話は悪い知らせ…誰が言ったか、この言葉は正鵠を得ている。少なくとも僕と僕の母にとっては、だが…。

 ピピピピピピピッ…ピピピピピピピッ…ピピピピピピピッ…。

 僕の意識を覚醒させたのは、眠りに落ちてから幾分か経った夜明けに近い未明、独特な機械音による決して愉快では無い、卓上電話の呼び出し音によるものだった。

 前日からの疲労でなお中々起ききれなかった僕の耳に、母の眠る寝室の引き戸が開き、続いて電話のあるリビングの扉が開く音が続けざまに聞こえた。どうも母の方が寝覚めは良いようだな…。僕がそんな暢気な考えに支配されながら、再び眠りに付こうとしたその時、普段より幾らか大きな声量でそれを抑えようとしながらも果たせず、上擦ったトーンで狼狽した母の声が何らかのやり取りをしているのが聞こえてきた。それによって、今さっきまでの暢気な気持ちが雲散し、何やら途轍も無く嫌な予感が僕の精神の内側に湧き上がってきた。

 「…はい…はい…分かりました…すぐに…。」通話が終わったと思いきや、母が足音を響き渡らせて僕の部屋のドアを乱暴に開け放った。そして母は、まるで半ば錯乱気味に僕に告げた。

 …父が亡くなった、と…。

 

 病院へ着いた頃には、既に夜は明けていた。

 対応してくれたのは、先日の入院時と同じ医師だった。彼は、僕と取り乱す母に対して儀礼的なお悔やみの弁を述べた。

 病室へ通されて見た父の姿は、一見すると普段と変わらず、入院時と同じ様に眠っているとしか思えない、静かな顔をしていた。

 冷たい-僕に現実を突き付けたのは、思わず父に触れた自身の手に伝わるその氷の様な感覚だった。

 だが-機と気付く。幾ら死人でも、亡くなってからほぼ間も開かずこれ程までにその体から温もりと言う物が消え失せる物なのだろうか…。それ以前に、この氷の様(・・・)な冷たさは何だ…。明らかに室温を下回っているではないか…。そんな僕の疑問を察したかの様に、医師が死因に付いて口を開いた。

 -体温低下に拠る多臓器不全-その名の通り、体温が下がりそれによって内臓が機能し無くなる、所謂凍死に近い。だが、二十四時間に渡って空調管理が徹底されてる病院でその様な事が起こるだろうか。

 ここ数日こそ深夜から明け方に掛けては肌寒い風が吹き、人知れずひっそりと秋の装いが近づいているとは言え…だ。

 どうやら母の思いも同じだったらしい。そんな僕らの疑問を察したのか、医師は若干慌てた様な口調で、消灯前の検診では平熱よりやや低めだったものの、正常の範囲内だった事、それから現在に至るまで室内温度も適温に管理されていたと言う事を説明し始めた。恐らく医師は、今回の不幸は自分達病院側の責任ではないと言う事を言外に伝えようとしていたのだろう。

 しかしそんな説明に納得できないのか、母は医師の言葉を遮り、この様な事になった原因は何かを問い詰め始めた。そんな母の剣幕に医師は動揺しながらも、原因は不明です、と答えるのみだった…。

 

 その後の僕の記憶は不思議と定かではない。

 断片的に思い出すのは、母の運転する車の助手席の窓から流れる見知った町の風景、我が家の玄関、自室の扉、そして恐らく親戚にであろう、涙ながらに電話で話す母の声…。

 自室へ帰り付いた僕は、しばらくすると何故かは分からないが居ても立っても居られず衝動的に、何処へともなくふらりと外へ出かけた。恐らく母の泣き声と蝉の鳴き声だけ聞こえる何も無い空間でジッとしている事に耐えられなくなってしまったのだろう。

 今思い返しても、何処へ行くとも無く家を出た後の僕の記憶は、まったくおぼろげの無いものだった。その時の僕の様子は、傍から見ればまるで夢遊病者のそれだったろう。実際、僕自身その時の記憶を振り返っても、思い出せるのは、玄関の扉を開けた瞬間に体にべったりと纏わりつくスチームの如き熱気と、立ち昇る陽炎の揺らめきだけだ。巨大な入道雲は遥か遠く、僕の頭上からは殺気じみた太陽の光が燦燦と降り注いでいたが、僕の目から見たそれはまるで厚手の硝子窓を通した様に現実感が無く、目にする光景全てが概してはっきりとした質感が掴めない白昼夢の中を歩んでいるかの如くだった。ただ足の向くままにたまたま近くの公園に入ると、ちょうど木陰になっているベンチに座り込んだ。そのまま茹だった熱波に纏わり付かれながら何を考えるでも無く、ただ父の死を悲しんでいた。


 気が付くと僕は何故か「虫博士」宅の前に立っていた。既に日はすっかり落ちている。にも関わらず、眼前の薄っすらと月明かりに照らされた「虫博士」の家からは一切の明かりも漏れ出ておらず、不気味な暗闇に覆われていた。夕刻に見た時はまだ人家の気配があったが、今現在のそれは完全に廃屋そのものだった。

 何故僕は今ここに居るのか…、一切明かりの灯っていないこの様子では、博士は不在かそれとも就寝しているかのどちらかだろうに、僕はそんな疑問も抱かずまるで何かに誘われるかの様にふらふらとその家の門を潜った。

 まるで当然の様に玄関に鍵はかかっておらず、昨日博士がそうしたのと同様、何度かつっかえながら戸を引き開けると、そのまま雲間から漏れ出る月明かりに導かれるように、埃塗れの廊下を進み昨日通された博士の書斎の戸を開けた。扉の横の壁を弄るとスイッチらしきものがあったので押してみたが室内には何の変化も無い。電球、いや恐らく電気自体が通っていないのだろう。料金不払いか、それとも端から契約していないのか…。

 窓から見える月明かりに薄ぼんやりと浮かび上がる室内にはおよそ生活感の一切が感じられず、静寂に満ちていた。

 今更ながら、僕の心に「虫博士」が那伊阿教授その人なのかと言う疑念が沸きあがってきた。昨日合ったあの老人は、勝手にこの家に住み着いているだけではないのか。この家の表札や内装、学術証書からこの家が昆虫学者の那伊阿教授と何らかの関係がある、恐らくは自宅だったと言うのは確かだろうが、「虫博士」自体はその教授に成り済ましているどこか頭のおかしな浮浪者なのではないか。思い返せば、虫に関する知識は中々に豊富だったが、それはこの部屋にある専門書を手慰みがてら読み込めば身に付く程度の物ではないか…。

 そう考えていると、どこかの窓が開いていたのか、一筋の涼しげな風が吹き抜けてきた、と同時に僕の背後の本棚から何かが床に落ちた音が聞こえた。振り返ると、どうやら本棚の上にあった標本箱の一つが風に煽られて落ちたらしい。

 何とは無しに僕がそれに目をやると同時に‐今から考えると、まるで演劇やドラマの様にありえない、出来過ぎた話しだが‐雲の間から強烈な月明かりがまるでスポットライトの様に、標本箱とその中味をピンポイントで照らし出した。そして‐僕は思わず絶句した。その箱に入っているそれ(・・)は‐一見すると緑葉の様に見えるその蟲は‐その特徴から、間違い無く父が語ったあの蟲だった。

 しかし何故だ。あの老人はそんな蟲など知らないと言っていたのに、何故その蟲の標本がここにあるんだ。

 その時、極めて不思議な事に、数メートル程距てられた場所から月明かり程度の光源だけで、僅か二十センチ四方にも満たない標本箱の中のそれ(・・)を、僕は至近から顕微鏡で覗き込んでいるかの様に細部まで観察する事が出来た。それはまるで、肉体的な視覚で視認すると言うよりは、頭の中に直接その姿を映し出しているかの様に見える奇妙な感覚だった。

 それ(・・)の姿は、恐らく父が目撃した物より大型なのだろう、その大きさは成人の手のひら程もあった。その全身は聞いた通りの、粘り気のありそうな体液でぬめぬめとした湿り気を帯びており、それに所々月光が反射し、毒々しくそれでいて一見妖艶にも見える輝きを放っていた。更に、左右対称の胴の中心には、まるで女性器を思わせるグロテスクな口腔らしきものがあり、父に聞いた通りの二本の触覚と、全身に隈なく生えている無数の産毛の様な体毛が同時に確認できた。いや違う‐あれは体毛ではない(・・・・・・・・・)、一見すると体毛の様に見えるそれらは一本一本が(・・・・・)極小の触手だった(・・・・・・・・)。そして、当然無風の筈のその箱の中でそれ(・・)はまるで生きているかの様にその無数の触手を艶かしく蠢かしていた。その何とも名状し難い醜悪な姿は、僕の決して長いとは言えない人生の中とは言え、まったく見た事も、それ所か想像すらした事無く、それ故に今まで生じた事の無い慄然たる恐怖を喚起させるに充分だった。

 それと同時に僕の中で言い知れぬ怖気と共にある疑念が噴き出した。何故、(・・・)遥か昔に標本(・・・・・・)にされた筈(・・・・・)のあれが(・・・・)まるで生きているか(・・・・・・・・・・)様に体液を纏わり付か(・・・・・・・・・・)せているのだ(・・・・・・)…。

 その時、不思議な事に標本箱の中でピンに貫かれているそれ(・・)の姿が、こちらに向かって浮かび上がって来ている様に見えた‐否、実際に浮かび上がって来ている。箱の底部に固定されていたそれ(・・)は数秒経た現在、既に表面の硝子にびったりとくっ付いている。何時の間にかそれ(・・)の中心に刺されていたピンもそれ(・・)の影に隠れて見えなくなっていた。更にあろう事か、それ(・・)は張り付いた硝子をすり抜けるかの様に箱の外側へと浸透して来ているではないか。以前父の部屋で僕が聞いた事は間違いでは無かったのだ。それは実際、最初(・・・・・・・・)は窓の外に居たのだ(・・・・・・・・・)

 そこまで理解した瞬間、人生で今まで一度も感じなかった程の、全身を刺し貫かれるような恐怖が襲い掛かって来た。それは僕の脳の最も古く奥深い場所から来る、遠い祖先の残してきたであろう根源的かつ本能的な、どの様な丈夫であれ決して抗えぬ類の代物であった。

 そして同時に僕は悟った。博士は、擬態は主に外敵から身を守る為の物だと言ったが、それ(・・)は違う。それ(・・)が一見して木の葉の様に見えるのは、防衛の為では無くその逆、油断させて捕食する為の物なのだ!

 僕は次の瞬間、悲鳴を上げ脱兎の如く駆け出した。暗闇の中、幾度も躓きそうになりながらも、その度に踏み止まり、足を縺れさせながら、無我夢中で夜道を走った。


 どの様に家に帰り付いたかは殆ど憶えていない。ただ、家に帰るやそのまま自室のベッドに飛び込んだ事だけは記憶に残っている。そして僕は今、シーツにその身をすっぽりと包まれながらこれを書いている。

 既に夏も終わりに近付いているのか、蝉の鳴き声に混じって微かに響く蟋蟀(こおろぎ)の声が淑やかに秋の訪れを告げている。温度が下がってきているからだろうか、先程から寒気が止まらない。違う。外の気温のせいでは無い。未だ恐怖が抜けきらぬのか、まるで芯から凍り付いているかの様に身体の奥の奥から震えが湧き出して来る。

 ふと朝方、医師が言った言葉を思い出す。体温低下に拠る多臓器不全…。そもそも何故父は適温に保たれている筈の病室内でそんな死に方をしたのだ。父が倒れ、そしてあの様になった原因はあの蟲のせいではないのか…。そして今まさに僕の身体を蝕むこの寒気は…。

 ベッドのすぐ横の壁から、かさ…かさ…と蟲が這いずり回る様な音が聞こえる。驚いてシーツを跳ね飛ばすと、ああ…何て事だ…目の前の壁にあの蟲が居る…!悲鳴を上げながら反射的にシーツでそれ(・・)を叩き落と…せない…。それ(・・)はしっかりと微動だにせず壁に張り付いたままだ。ああ…そうだ…これ(・・)壁に張り付いている(・・・・・・・・・)のではない(・・・・・)。蟲は…蟲は…僕の目の中に…!(・・・・・・・・)

如何でしたか。時間に余裕があれば、何でもいいので感想を貰えると嬉しいです。

 ところでこの作品、オリ神話生物が出てきますが、本来のクトゥルフ神話的に絶対あり得ない設定がありました。読者の皆さんはお気づきになられましたでしょうか。


希望があれば続編と言うかシリーズ化して見ようと思います。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 虫の登場する作品特有の全身が痒くなるような不快感と、クトゥルフ神話的な「理解すること」の恐怖が両立されていて良い作品でした。オリ神話生物の描写も、程よく気持ち悪くて好みです。 [気になる点…
[良い点] 虫の描写が気持ち悪くて良いですね。結構ぞくぞくするものがあります。 [気になる点] 登場人物達の行動に矛盾が色々とありますね。個人的には、ここをこうしたらもっと良くなるのにと思うところが多…
[良い点] 気持ち悪くサブイボが止まりません(誉め言葉) コウガイビルを初めて見たような感覚がたまりません!
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