表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/212

第81話 1911(ナインティーンイレブン)

挿絵(By みてみん)

「それでは私の銃を……」


 カウラの言葉が聞こえて誠が振り返ると、カウラの左脇腹に下がる武骨な銃に手を伸ばした。


「あのー……カウラさん。それ……『ガバメント』ですね」


 誠は珍しく見覚えのある銃をそう呼んだ。


「『コルト・ガバメント』はこの銃の販売を最初に始めたコルト社の商品名だ。正式には19(ないんてぃーん)11(いれぶん)と呼ぶ」


 カウラはそう言ってホルスターから銃を引き抜いた。


19(ないんてぃーん)11(いれぶん)。単純な構造で優れた銃だったからこいつもコピーが一杯で回ったからな。まあこいつのはメーカー不明のスライドとアメリカ海兵隊のお古のレール付きフレームで作ったニコイチ、サンコイチモデルだからな」


 かなめはそう言って呆れたような表情で銃を構えるカウラを見上げた。


「こいつの使っている45ACP弾はストッピングパワーに優れている。室内戦闘で刃物を振り回している相手や薬物でトリップしているターゲットにもその打撃力で反撃を阻止することができる」


 カウラはそう言って一発だけターゲットに発砲した。


「ストッピングパワーなんて40S&(すみすあんど)(うぇっそん)弾で十分だって言うの……まあ確かに薬でラリってる相手ならアメリアの9パラじゃあ貫通するだけで反撃されるのは事実だけどさ」


「かなめちゃん……私は一撃で額をぶち抜くから大丈夫よ」


 そう言ってアメリアは珍銃P7M13を抜く。かなめは呆れたようにその様子をうかがっていた。


 かなめとアメリアの雑談を聞きながら誠はカウラが安全装置をかけてそのまま銃をホルスターに収める様を見守っていた。


「なんで連射しないんですか?カウラさん」


 先ほどまでの銃自慢の二人に比べてのあっさりとしたカウラの反応に戸惑いながら、誠はカウラにそう尋ねた。


「西園寺じゃあるまいし弾を無駄にしたくない。うちの予算は少ないんだ」


 カウラはそう言って借りてきた猫のようなおとなしさの誠に笑いかけた。その表情はいつもよりも冷たく、まるで機械のような印象を誠に与えた。


「カウラちゃんは私達『ラスト・バタリオン』の中でも後期生産型だから……銃を持つとテンションが変わるのよ……それにしてもカウラちゃんたら妙に冷静に落ち着いちゃって。まあ戦場では落ち着きが何より大切だから」


 アメリアのフォローに誠は静かにうなづきながら誠はカウラを冷ややかな目で見つめていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ