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武装警察隊ダグフェロン 地球に侵略された星の『特殊な部隊』はハラスメントがまかり通る地獄だった  作者: 橋本 直
第四十二章 国士の『意地』と誠の『力』

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第185話 敗北が決まった者の覚悟の一撃

「四時方向、距離540に重力波!探知!特徴から05式狙撃型!西園寺かなめ機と推定されます!」


 巡洋艦『那珂』ブリッジで通信士が叫んだ。


「迎撃ミサイルと対艦ミサイルを時限信管に設定して発射!すぐに主砲も発射準備にかかれ!精密射撃をしなければ『ビッグブラザー』も事故と言うことで済ませるはずだ!『東和共和国』軍人にも休戦ライン上で事故死した人間はいる!」


 自信満々に近藤はそう言った。


「しかし、相手は『最強』クバルカ・ラン中佐。そして、先ほどの詭弁(きべん)が……もし事実なら……」


 『那珂』艦長は不安げに近藤に目を向けた。


「なあに、我々にはもう失うものなど何もないんだ。窮鼠(きゅうそ)猫を噛む。『人中の呂布』と並び称された『偉大なる中佐殿』と刺し違えるならそれも結構!」


 そう言って笑う近藤の目の前の環境のモニターにパイロットの画面が映し出される。


『近藤さん』


 彼等は近藤の説得に応じなかった第六艦隊の貴族主義に染まらなかったパイロット達だった。


『近藤中佐。あなたは間違っている。貴方方貴族主義者はたとえ、自分の主張が通じなくても、それを伝える努力をするべきだった。今回の決起は無謀に過ぎる話だった』


「何をいまさら!我々に慈悲でもくれるのか?無力な脱落者がよく言う!」


 近藤はそうあざけるように笑った。ブリッジに集う同志達も、自分達に最後の説得を試みるかつての同僚達に冷笑を浴びせた。


『クバルカ中佐は自分を『不老不死』だと言った。そして、その上司の嵯峨惟基憲兵少将の見た目もその年に比べて若すぎる。つまり、あの『甲武国陸軍随一の奇人』は死なないということだ』


「だからどうした!我々の志をその程度の能力で止められると思うか!」


 叫ぶ近藤にパイロット達の顔には憐みの表情が浮かぶ。


『我々は巻き添えを食いたくはない。故国のために死ぬのは恐れないが、あなた方貴族主義者のエゴで死ぬのはごめんだ。格納庫のハッチを開けてくれ。近藤さん』


 パイロットの代表の言葉に近藤は大きくため息をつく。


「悪名高い検非違使別当(けびいしのべっとう)の西園寺かなめが死ぬところを見ずに去るとは……武人の風上にも置けんな……。ハッチを開放して奴等を解放しろ……逃げたければ勝手にしろ」


 近藤はそう言うと彼等を監視している担当者に通信を入れる担当者に視線を投げた。


「全ミサイル発射!続けて主砲発射準備態勢完了!目標、重力波異常観測地点!」


 火器管制官の叫びに近藤は大きく右手を握りしめる。


「おしまいだ……西園寺かなめ……死出の導き……よろしく頼むよ」


 すでに『処刑』を覚悟した彼等に恐れるものは何もなかった。




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