第3話
「ねぇおっさん誰?」
パッと見、実力は俺より下。力を隠そうともしてない、いやむしろ隠せてないといったところか。
「俺を知らないとは、お前田舎もんだな。俺は傭兵ギルド『月を狙う狼』のレジナルだ」
「へぇ、じゃぁね」
面倒くさくなりそうだから帰ろうとしたら腕を掴まれてしまった。
「お、おいちょっと待てよ。先輩が指導してやろうってのに」
「見た感じ指導はいらないかな」
「なんだと、てめぇ。せっかく仕立てに出てやったのに」
なんだこのおっさん。余計なお世話の10倍掛けだな。
「俺様に逆らおうとはどうなっても知らんからな。覚えておけよ」
迷惑極まりないおっさんは、ズカズカと帰っていった。
「なんだあれ。ま、どうでもいいや」
俺は街の服屋に来ていた
さすが首都、田舎とは違うなぁ。品揃えが全然違う
「いらっしゃいませ、お客様。本日は何をお求めでしょうか」
「いや、せっかく他国の首都に来たのだから自国との違いを見ておこうかとね」
「え、いや、でしたらこれなんかどうでしょうか。最新の流行でございます」
いやぁ、やっぱり服屋なんかはこういうに限る。比較対象を出すと何とか勝とうと、自慢の逸品を出してくれるからね。
「今、こっちでは金貨1枚でのオーダーメイドがはやっていてね」
「そ、そうでございますか」
ちなみにオーダーメイドでそれなりのものを作ろうと思ったら金貨10枚位必要だ。
「いや高級品をというわけではないよ。出来るだけ暗器を仕込めるマントを作って欲しい。色は当然黒でよろしくね。満足するものができたらあっちでも宣伝しておくよ」
「は、はい承りました。2週間ほどかかります。お名前は」
「う~ん、………リン、としておいてくれ」
ここでは偽名っぽく言うのが、ポイントだ。
「分かりました、リン様ですね。2週間後のできあがりです」
「期待しているよ。街ではここが一番いいと聞いたからね。前金に銀板5枚を渡しておくよ」
「では、受け取り時、銀板5枚をお持ちください。ありがとうございました」
あぁいい買い物をした。