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第2話 ユージの実力

俺はFLFのメンバーと更に情報交換をした。


どうやら、無茶苦茶なレベル上げのおかげで俺のレベルが一番高く、レベル18。

次にジョンソン、バリクでレベル15。

その次がリンとカナでレベル14。

一番低いのが回復役のカスミでレベル12だ。


回復役の主な経験値入手方法は、仲間の回復なので1人でレベル上げはできないから、あまり効率がよくない。回復役のレベルが低いのは、仕方ないことだと言える。


そして俺達FLFは、互いの実力を確認するために、フィールドに出ていた。



「まずは私達の戦いを見せよう……行くぞ」


「おう!!」

「「ええ!」」

「は、はい!!」


上からジョンソン。

答えたのは、バリク、リン+カナ、最後にカスミだ。


この第1島にはゴブリンしかいないらしく、モンスターはゴブリン系統ばかりだ。

不細工すぎて見るに耐えないのだが……


まぁ、FLFの女性陣を見ていれば目の保養になるからいっか。

てか、軍なのに女性率高いよなぁ~。


俺がどうでもいいことを考えている内に戦闘を開始したようだ。相手はゴブリン・シーフ3体。


「バリク、カナ!! 前衛へ!! リンは援護しろ!! カスミ、回復の用意!!」


ジョンソンは次々と命令を下す。合理的で安全なやり方だ。アメリカ軍にでもいたのだろうか。戦い方がアメリカ軍くさい。

もちろん、アメリカ軍に回復師なんていない。俺が言いたいのは、堅実で安全な戦い方がアメリカ軍に似ているということだ。


「そして、隊長自身は狙撃か……」


前衛と後衛、回復と支援が整った、いいチームだという感想を俺は持った。無論、危なげなく、確実に、堅実にゴブリン・シーフを殲滅した。





「じゃあ、次は俺の番だな」


俺はやる気満々で言った。


「あ、あの……お一人で大丈夫ですか?」


心配そうに尋ねてくるカスミに俺は微笑む。


「今まで、殆どソロでやってきたんだから。安心しろ」


ジョンソンに言われたのは、俺個人としての能力を測りたいから、1人でやってみてくれ、ということだった。


……元から1人でやるつもりだったんだけどな……





ジョンソン達FLFのメンバーが見守る中、俺はゴブリン・ファイター5体が偶然まとまっていたので、戦闘開始した。


背後から、「無茶だ!!」とか、「バカな!?」とか何とか言ってるのが聞こえた。

うん、確かにゴブリン・ファイターは強いよ。でも、俺にとっちゃ‘この程度の相手じゃ満足できない’んだよね。






カスミside



私は、現実世界でも弱い人間だった。いろんな意味で。



まず、気が弱い。怖がり。

体が弱い。運動も苦手だったし、風邪にもよくひいた。

他人の悪意に弱い。この前、クラスメートの男の子に告白された。一応断ったけど。

その男の子は優しくて女子にはモテた。

で、私は女子にイジメられた。あの男の子の好意を受けたのもあるけど、断ったという理由もあった。

「何様のつもり?」とか「調子乗ってんじゃないわよ!?」とか言われた。だって、私は別に彼のことが好きだった訳じゃないのに……



そして、現実逃避気味にこのゲームをやってみた。だけど、この世界でも私は弱かった。周りの人は、こういうゲームをたくさんやったことがある人ばかり。判断力や勘とか経験とか、そういう面では私は圧倒的に不利だった。そういう私を拾ってくれたのが、私が今いるFLFだ。

私の面倒をちゃんと見てくれるギルド。みんな優しかった。そして、リーダーのジョンソンさんは私に役目を与えてくれた。ヒーラーという役目を。


そして、私は彼らの役にたつことができて楽しい日々が続き、今日。


新しい参加者が来た。今までは私が一番の新参者だったが、今日からは先輩になるんだ、なんて考えていた。


今、この時までは。




「えっ!?」


私は変な声を出してしまった。でも仕方ない。

だって、ユージさんが向かったのはゴブリン・ファイター。

レベル的には20超えで、私達じゃ3対1でようやく倒せるような強さだ。

それを相手に1対5だ。


「さすがに無理だ!!」


バリクさんが叫ぶ。私もそう思う。



ゴブリン・ファイターの武器は大剣。


大剣がユージさんに振り下ろされる……!!



が、ユージさんには当たらずに地面に叩きつけられた。私は何が起こったのか分からなかった。だってユージさんはその場から動いていないからだ。

何が起こったのか、みんなもわからなかったみたいだけど、ジョンソンさんだけはわかったようで、目を大きく見開いていた。


「あいつ……大剣の腹を銃床でぶん殴って軌道変更したのか……!!」


その言葉に誰もが驚いた。だって大剣が振り下ろされる速度は、相当速かった。


あれを剣の腹をめがけて銃床で殴って軌道変更するなんて……



「あいつ……とんでもない奴かもしれない」


初めてできた年上の後輩は、とんでもない人だったらしい。



ジョンソンさんは‘かもしれん’とか言ってたけど、もう既にとんでもないことは実証済みだ。



すると、ユージさんは行動を起こした。

顔面に二丁拳銃を向け、連射。レベルが高いのでHPはあまり減らない。ヘッドショットでもあのダメージしか通らないなんて……


すると、ユージさんはゴブリン・ファイターに足をかけた。

ゴブリンはよろめく。

そこにユージさんは体当たりを加える。体術を持っていると聞いたので、ゴブリン・ファイターに若干ダメージが入る。そのダメージでゴブリン・ファイターのHPがイエローになる。


そして、ユージさんはゴブリン・ファイターを踏みつけ、あろうことか二丁拳銃を腰にしまった。

何をする気かと思いきや、背中にかけてある2つの銃のうちの1つを取り出し……って、


「なんだありゃ!?」


バリクさんが叫んだ。普通、武器は自分の手に持っているもの以外は使えないのだ。だが、ユージさんは確認できただけでも二丁の拳銃と背中にクロスするようにかけた2つのライフルらしき銃を持っている。しかも、たった今、武器を変えた。

普通なら有り得ないことだ。


「何かのエクストラスキルか……?」


ジョンソンさんは冷静に呟いた。

よくそんな冷静に……。

私達女性陣は、唖然として声も出ないというのに……。



ユージさんが持っていたのはアサルトライフルだったようだ。しかも高性能の。

何かのモンスタードロップアイテムだと考えられる。



そういや、フィールドボス2体が何者かに倒されていたというニュースを聞いたことがある。


確信できる。ユージさんが真犯人だと。

ちなみに、フィールドボスは1ヶ月もの間、死体を晒すらしい。まだ1ヶ月たっていないので、真偽は不明だけど……



……邪魔だと思うけどなぁ……。





ユージさんはアサルトライフルをゴブリン・ファイターの顔面に押し付けて、フルオート射撃をした。




カナside



バカげてる。あたしはそう思った。


新しく入ってきたユージとかいう奴は、どうかしてる。


システム外の能力で、本来なら勝てるはずがない相手を圧倒したのだから。

ゴブリン・ファイター5体をノーダメージ……とまではいかなかったが、1度のダメージで済ませたのは驚嘆に値すると思う。ただ、彼の言うとおり、本当に紙装甲だった。

軽く掠めただけでHPを3割もっていかれているのだ。

隊長の、ユージとカスミのなんちゃら、とかは、正しい判断だったようだ。



ただ、あたしはなんとなく、ユージのことに少し興味をもった。







ユージside



少ししくじったが、まぁ、上々の結果だ。


いつか、この紙装甲をどうにかしないとなぁ……。


とかなんとか思っている間に、FLFのみんなが戻ってきた。


「お前、すげーよ!」


バリクが大きな声を上げて言う。


「すごいです……」


ちょっと憧れの目を向けてくるカスミ。……少し照れる。


リンやカナも少し離れて、だが賞賛の目を向けてくる。



……だが、俺にとってはどうでもいい。


ガシッ!!



背後から襲ってきたジョンソンの手首を掴むことが俺の最優先課題だったからだ……





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