第三時限「ドッジラインと労働運動」
時代は前回から大幅に飛びまして、戦後になります。
(※戦後…第二次世界大戦後)
第二次世界大戦後、日本はGHQの支配下に置かれました。
そしてGHQによる様々な改革の中で、今回取り上げるのが『ドッジライン』
「GHQはインフレ状態の日本に『経済安定九原則』を指示します。
内容としては、予算の均衡や徴税の強化など、9項目あります」
「だから九原則なんだ?」
「はい。そしてこれを実施させるためにGHQはドッジを呼び、『ドッジ=ライン』を敷いたのです。」
「へぇ…ドッジ=ラインってどういう内容なの?」
ドッジによるドッジ=ライン、までは理解できたが、肝心なその内容を聞いていない。
「用語集には、なんて書いてありますか?」
そう返されて、手元にあった用語集から『ドッジ=ライン』を探し出す。
「あった。『赤字を出さない超均衡予算、単一為替レートの設置など…』超均衡予算?」
「簡単に言いますと『収入以上の支出をするな』と言うことです」
「『収入以上の支出をするな』…?えっと、あ、そういうことか」
だから『赤字を出さない』と書いてあるのか、と理解する。確かに、お小遣い以上の買い物はできないな。
「そして単一為替レートは 1ドル=360円 と設定されました。それまでは品目ごとに為替レートを決める『複数為替レート』だったのですが、それを一律にしたのが『単一為替レート』なのです」
「あぁ、なるほど…それまではドルと円の交換比率は品物ごとにばらばらだったのか」
「そうです。理解してきましたね。この翌年にはシャウプが来日して『シャウプ勧告』をおこないますが、今回こちらは深くはしません」
そう言って秋津島は黒板に何かを書き始めた。
ドッジ=ライン
労働運動
「今日の本題はこの二つを結びつけることです。予想は出来ますか?」
例の笑顔で聞かれるが、なかなか思い浮かばない。それでも何かつながりはあるはずだ、と思いついたのを口に出す。
「労働運動って労働者の給料がらみで起こることもあるって考えると、
どっちもお金に関係してくる話だね」
「いい視点です。では順序良く見て行きましょう。まず、ドッジ=ラインによって
市場でのお金の動きが悪くなる、と言うのはよろしいですか?」
「収入より多くは買えないからね」
「はい。その結果としてインフレは収束しますがデフレへと転じます。
それによって倒産する会社や倒産までとはいかなくても、リストラなどで
雇用者を解雇してしまう会社が増えたのです」
「と言うことは失業者が増える。彼らにも生活はあるのだから、労働運動を起こして
何とか職に就こうとしたんだね」
「はい、これでこの二つはつながりました」
そう言って黒板の図に書きくわえる。
ドッジ=ライン
インフレ収束・デフレ発生
倒産・失業増加
労働運動の活発化
「さてこの労働運動なのですが、国鉄の労働組合によるものも多く、
そのために彼らはあらぬ疑いをかけられることとなるのです」
「あらぬ疑い?」
なんだか事件の匂いがする、と思うと少し胸が高鳴る自分がいる。わくわくして秋津島の説明を待つ。
「労働運動の活発化したころ、国鉄がらみの怪事件が起こります。
事件の真相は未だに分かっていないのですが、当時は
労働運動を起こしていた人たちが犯人ではないかと疑われてしまいました。
そしてそのような疑いがかかったことにより、労働運動は押し切られたのです。
ここまでが今日ご説明する全てです」
そして黒板の説明も完成させた。
ドッジ=ライン
インフレ収束・デフレ発生
倒産・失業増加
労働運動の活発化
国鉄がらみの怪事件
労働運動に打撃
「さぁ、これを参考にまとめてみてください」
―――戦後、GHQの支配によりドッジ=ラインがしかれ、経済はインフレからデフレへと転じる。そのために起こった労働運動も、国鉄がらみの怪事件により押し切られた。
「そういうことです。それでは少し視野を広げて、
ドッジ=ラインが敷かれた時代背景を見てみましょう。
戦後すぐの日本ではGHQが『非軍事・民主化』をもとに
男女普通選挙、労働三法、財閥解体などを含めた『五大改革指令』を出します。
このころのGHQはまだ、労働組合の結成を推奨していました」
「まだ?」
「はい。その後、ロシアとアメリカの冷戦の激化により、GHQは日本の占領政策を
『経済復興・再軍備』へと転換します。そのために二・一ゼネストも中止させました」
「ちょっと待って、二・一ゼネストって何?」
「全国規模のストライキを起こそうとしたのです。
GHQとしては
「今は国内でもめている場合ではない、日本も冷戦での軍事力にしよう」
と思ってゼネストを中止したのでしょう」
「なるほど…」
「そして先に述べたドッジ=ラインは、この『経済復興優先』のために敷かれました。
では今日はこのくらいにしましょう」
申し訳ありません、ここで力尽きました…。
これ以上題材が思い浮かばないのと、まとめ方が難しいため
ここで打ち切らせていただきます<(_ _;)>
何かご指摘がありましたら、遠慮なくお願いします




