第一章・晃彦
一ヶ月前、私は彼を亡くした。
それは、とてもよく晴れた日で、晃彦が死んだなんてとても信じられなかった。
それほど、綺麗すぎる空だった。
眩しかった。
バイクで友達の家に向かう途中だった晃彦は、大型トラックと運悪く衝突。病院に着く頃には、もう死んでいた。
晃彦は 救急車の中で 息を ひきとった。
相手のトラックの運転手は、運良くかすり傷程度ですんで無事だった。
まるで、晃彦の運まで使ってしまったような奇跡・・・。
別に私は、その人を責めようなんてつもりはない。
あれは事故だったのだ。
責める必要なんてどこにもない。
それに、その人だってせっかく死なずにすんだのに責められてはツライ。
なんせ奥さんも、子供もいる身なのだ。
生きてなきゃいけない人だった。
でも、晃彦が死ななきゃいけない理由なんて何処にもなかった。
確かに彼はいつも勝手で、ひとり自由で周りを困らせてたし、
私だって振り回されてばっかりだったし・・。
顔は“普通の下”って感じだし、私が好きなさわやか系じゃないし、
背は高いけど猫背だし、私より年上なのに、いたずら好きでちっとも大人じゃないし・・・
でも、私はたまらなくあの笑顔が好きで、私の頭をなでるあの手が好きで、
照れると耳たぶ触る癖だとか、顔に似合わず猫好きなとこだとか、そんなもの全部がなんか愛しくて、彼の全てを愛していた。
「愛してる」なんて一度も言えなかったけど、誰よりも私にとって晃彦は大切な存在だった。
この世で必要な人だった。
何で?何で?何で?何で?何で?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?
どうして死んじゃったの 晃彦。
晃彦が死んでしばらくは自分でも何をしてたのか分からない。ただ、時が過ぎてこれが夢だということを知りたかった。悪い夢なんだと誰かが言ってくれるのをずっと待ってた。現実だなんて認めたくなかった。早くこの夢から覚めたかった。晃彦がいないという事実を認めたくなかった。
早く朝になって・・。毎晩そう思った。夜は孤独を余計に感じてしまう。隣に晃彦がいないことが耐えられない。
早く朝が来ればいいのに・・・
そうやって、眠れない夜が続いた。
読んでくださってありがとうございます!感想、批判などありましたらぜひメッセージをどうぞ!m(_ _)m