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【00】 prologue


 【00】




 白い雲が浮かぶ青空の下、少女は眠たそうに瞬いた。

 頭上では、大きな木が陽の光を遮っている。木漏れ日が緑色の地面に模様を創り、少女の服も同じ様に、柔らかい光に所々照らされていた。


 暖かい光と時折吹く爽やかな風がとても心地良く、眠気を催す。

 草の生えた地面の上に座り込んでいる少女は、焦点の定まらない眼でぼうっと宙を見つめる。



「何をしようかな……」



 近くにある川の水の流れる音を聞きながら、少女はぽつりと呟いた。


 持ってきた本はもう読んでしまい、今は隣で木にもたれかかって寝ている姉の膝上に置かれている。本の他にあるのは、少女と姉の間に置かれている紙とペンとインクだけ。

 無造作に置かれた少女の手の傍には、黒い線が走った紙が乱雑に重ねられ、くしゃくしゃに丸められた紙が幾つか散らばっている。少女が紙やペンを使った証拠だ。

 

 姉の様に夢の中へと落ちていくのも良いだろう。だが、少女にはそれが時間の無駄使いに思えてならない。


 前方に見える川で遊ぶ事も考えたが、服が濡れてしまう。それに、立ち上がって川まで歩いて行くのも億劫だった。

 あまり動かずに、何かしたい。



 考えて考えて、最終的にもう一度紙に何かを書いて遊ぶ事にした少女は、右手で転がっていたペンを手に取った。


 ごろんと草の上に寝転がって、左手で紙を目の前に持ってくる。頬杖を突いて、ぼーっと黄ばんだ紙を見つめた。

 詩を綴ろうか。それとも、絵を描こうか。



「……そうだ!」



 少女は何を思いついたのか、唇の端を僅かに釣り上げた。それと同時に、ペンに付いたインクがぼたりと紙に黒い染みを作る。

 ペンを持つ手に力を込めて、紙にすらすらと何かを書いていく。それは詩ではなく、絵でもなかった。少女だけの、小さいけれど大きな物語。



 膨らんでいく空想。描かれる滑稽な童話。


 織り成す幻想は、泡沫の夢? それとも、少女には見えぬうつつ



 

 皆、集まって!


 夢物語を語りましょう。

 御伽噺を始めましょう。




 七人のアリスが繰り広げる、不思議なお話。





 ――扉の開く音が、何処かで聞こえた。

 


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