日本を狙う、恐怖のデビルキングダム〈3〉
ベールゼブブ
ルシフェル、アスタロトに並ぶ三魔王の一人。
蠅の姿をした魔王。イスラエルでは神として崇められた事もある。
大変な実力者で、或いはルシフェル以上の勢力を誇っている。何故これ程までに力を得たかといえば、彼は任務を選ばず、他の二人が手出ししたがらないような汚れ仕事でも平気で引き受けるからである。古代人が蠅を神として奉った理由はこの昆虫が齎す疫病や食物の腐敗などを恐れるからで、ベールゼブブは病気の治療や食物の管理といった衛生思想に精通し、知識や実務に秀でているからなのだ。それも大学の実験室で最新の研究に没頭するエリートではなく汚れ仕事から重労働まで引き受ける現場の実務である。
また、のらりくらりとした、それこそどこにでも飛んで行く蠅のように闊達な性格で、仲の悪いルシフェルとアスタロトの間に立って、二人をとりなしたりすることもしばしばである。
聖書において、荒野で修行するイエス・キリストを誘惑した”サタン”とは、このベールゼブブであるといわれている。もしこれが史実に基づいた神話だとすれば、修行中に行き倒れになったイエスを、ベールゼブブ教団が助けたのであろう。前述のような知識や技能で病人の介抱から食物の管理に至るまでを得意とするベールゼブブ信徒は、情熱的な若き求道者を助け、できれば教団に入信しないかと誘ったのではないか。しかし、自ら新宗教を開かんと志すイエスからすれば悪魔の誘惑に思えたに違いない。
アスタロト
魔界の大公爵。男の姿をして入るが実は金星の女神と崇められた古代神で、ルシフェルやベールゼブブ、もしかしたらサタンよりも古い時代から存在している。
ユダヤ教の”神狩り”により悪魔に追い落とされ、今もその苦悩を背負っている。
しかし、神であった時代から信者は生け贄をささげるなど魔的な一面を持っており、或いは悪魔といわれても仕方が無いかもしれない。
魔界に転落した屈辱を忘れず、その為心に常に迷いがあり、そのかげりがかえってメランコリックな美しさをかもし出す。
リリス
サタンの妻とも言われる。アスタロトの妹で、古代バビロニアの女神だった。また、アダムの最初の妻であったとも言われる。
バール
その名の由来は『東の王』と言う意味。アスタロト、リリスの兄で、人類最古の神。元々は二本の角を生やした勇壮な武神で、ユダヤ教の軍門に下ってからは蜘蛛の体に猫、蝦蟇、人間の三頭を頂く奇怪な姿に描かれるが、魔界でも最強の戦士として名を轟かせる。
アスタロトの夫でもある。古代の王朝や神々に近親婚は珍しくも無い。
ルシフェルを含め、彼ら5名を上位魔王と呼ぶ。