日本を狙う、恐怖のデビルキングダム〈1〉
悪魔たちは全員、大魔王サタンに忠誠を誓った眷属である。
デビルキングダムは様々な出自を持った精霊や妖怪、もののけ、堕天使、時には神なども集う多民族国家で、それぞれ事情を抱え、心ならずも魔界に身を寄せた者も少なくない。彼らを纏める為には強大な力を持った支配者が必要なのだ。
魔宝玉
彼らは出陣するに当って大魔王の力の結晶である『魔宝玉』の力を受けて出撃する。
この魔宝玉とは、サタンの魔力を凝縮した結晶体で、悪魔に絶大な力を与えるが、基本的に一回につき一人づつしか使うことができない。
別に魔宝玉が無くとも戦えないわけではないのだが、人間相手ならいざ知らず、矢張りそれだけでは強大な戦闘力を持つ戦闘鬼の相手は務まらないので選に漏れた悪魔はサポートに回ることとなる。
これで、一度に全員で掛かればいいのに1話につき一人づつしか主人公と戦わない、という批判に堂々と対抗できるというわけだ。
悪魔たちの実体
悪魔が実体化するには、器として人間の体が必要となる。
大まかな手順としてはいわゆる悪魔との契約を交わし、魂を売り渡した後に体を悪魔に譲り渡す。
通常は魂を売った時点で取引満了なのだが、場合によってはその後、抜け殻となった肉体を要求するケースもある。それは、悪魔が実体を欲するときである。
魂を売り渡した後、肉体に入り込み、時間をかけて同化し、悪魔は実体化を果たす。
戦いに敗れると実体は消滅し、エネルギー体だけで仮の実体を作り上げることも可能だが、当然のことながら極めて力は低下している。
いわゆる再生怪人としての登場で、簡単にやられる宿命を背負っているのだ。
悪魔が人間の肉体を手に入れ、完全に姿や能力を同化するまで最低でも二十年、下手をすれば三十年から五十年以上掛かる事すらある。
悪魔の手口
悪魔の手口は実に巧妙で、そのやり方も手が込んでいる。たとえば、他人に対する無用な競争心や見栄を煽り、更にそれを正当化するためありとあらゆる詭弁をまくし立て、過去の歴史ですら自分たちの想像した”独創的”なストーリーを作り上げる。あたかも強制連行の神話を髣髴とさせる支離滅裂な自意識である。
このような、準備を万端整えた後に悪魔は人間を操り、最後には心身ともに乗っ取ってしまうのだ。
魂を売り渡す契約を交わすのは、その後である。