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貧乏辺境貴族令嬢の契約結婚から始まる事件簿  作者: マモシ
第一章 見えない脅威

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9/20

戦争の理由 後編

私たちは一度休憩を挟むために庭に出ていた。

そこには公爵家自家製の家庭菜園があった。


「ほう、公爵家はこんなこともしているのか?」

「リアリスの提案なのですよ。私に少しでも健康的な生活をしてくださいと、ふふ」


ドヤ顔だ。

たた、悲しいことに半分は嘘だ。

本当はただ、貧乏性のため広い庭を使用して、何かできないかと悩んだ結果だ。


「ヴァンは愛されているな」

「当たり前です」


契約結婚に愛などあるものかと、言うところだった。

紅茶を一口飲みそれを飲み込んで本題に戻す。


「さて、先程の続きですが、戦争を続ける意味があると私は考えています」

「ああ、そういう話だったが、意味とは?」

「それは、今の段階では分かりません。ただ、それはなによりも優先的なことなのは確かです」


そう、戦争を繰り返すには莫大な資金、人員がいる。闇雲にできるものではない。

ただ、現に隣国はそうしている。

つまり、優先順位が戦争が圧倒的に上と言う事。


「優先か?やはり、金か?」

「はい、おそらくはそうでしょう」

「だが、隣国は財源はあるはずだが?」

「と言いますと?」

「あまり知られていないが、隣国は貴重な鉱石の産地だ。なので金銭面は理由としては弱い」

「そうですか……」


となると、他の戦争の勝利時の報酬が目当てになる。

戦争勝利時の戦利品となると人、土地、技術などだろうか?

あまりにも多岐にわたるため確定できない。


「王子、隣国には他国は入れないと言う事でしたね?」

「ああ、厳重に身元確認が行われていてな、少しでも不明な点などがあると入れてはくれない」

「では、今回の鉄の輸入のデータはどうやって?」

「ああ、それは商人からの話を聞いてデータ化したものだ」

「商品は内部に入れるのですか?」

「いや、専門の人間が来て買っていくらしい」

「ちなみにそのデータは我が国だけですか?」

「そうだ、他の国では輸入をあまりしていない」


なぜ我が国だけに?

それでは、戦争をしようとしているのがバレバレではないだろうか。

いや……まさか。


「もしかしたら、我が国以外では買えないのではないですか?」

「ふふ、よくわかったな。他国は隣国に対して輸入の制限をかけている」

「やはりですか……ちなみに一番、制限が重いのはなんですか?」

「食料だ」


なるほど……仮定が一つ。


「ちなみに他にも天候のデータなどはありますか?」

「天候?あるにはあるが、その周辺と言うだけで明確ではないぞ?」

「大丈夫です、その地域の天候の特徴が分かればかまいません」

「なら、これでいいのか?」


そうして、王子は書類を渡してくる。

そこにはほとんど晴れだけで雨がほとんど降らないそんな内容のデータがあった。


「これは……」

「何か分かったのか?リアリス」

「ええ、おそらくですが、ただ、もう一つ確証が欲しいです。王子、隣国の作物の輸出量など分かりますか?」

「ああ、たしか、たしか穀物・雑穀が中心で少ない輸出量だったな」


確定一つ。


「戦争の理由が分かりました」

「ほう、話してくれ」


私は庭の野菜を指さして言う。


「隣国は土地が欲しかったのです」

「……ああ、そういう事か」

「リアリスつまり、それは……」

「はい、おそらく隣国では土地がやせておりしかも天候的にも育てられるものが限られており食料が足りてなかった」

「輸入も制限されており我が国だけの輸入にも限界があると」

「はい、おそらく。ですので戦争がやめられなかった。輸入もいずれ鉱脈が尽きれば終わる。それを危惧して、他国の土地を手に入れて自給したかったんだと思います」


だが、腑に落ちない。

このことは、考えれば、データを見れば予測がつく。

では、なぜ他国は輸入を制限する?


誰が得をする?

戦争が起こると誰が、いったい何を得する?

土地、お金、鉱脈、すべて加味して考える。

そうして一つの仮定にたどり着く。


「まさか……」

「奥方は気付いたみたいだね?」

「ええ」

「どういうことだ?」

「ヴァン様今回、いや、今の状況は作られたものです」

「なに!?またビンセントか!?」


ヴァン様が王子の胸ぐらを掴む。


「い、いや、僕じゃないよ?」

「本当だろうな?」

「ヴァン様、今回は違うみたいです」

「そうか」


私の言葉で素直に王子の胸ぐらを離す。


「奥方の言う事は素直に聞くのだね?」

「当たり前だ」

「はあ」


とんだ狂犬だ。


「ヴァン様、今回の首謀者は複数の団体、国です」

「複数の国?つまり周辺国のことなのか?」

「はい、その通りです」

「だが、なぜ……まさか!?」

「おそらくヴァン様が考えている通りです」


ヴァン様は頭を抱えていた。

私も正直そうなるとこだった。


「ばかな、多国が一つの国をめぐって輸入制限をかけて戦争をするように仕向けていたというわけか?」

「そのようだね」

「そんな愚かな話があるのか?」

「君が考えるより、上の連中は利権やら財に目がくらむんだよ」

「はあ、あきれてものが言えぬな」


まさに愚かとはこのようなことなのだろう。

そこで私は提案する。


「そこで提案です。我が国から食糧援助の打診してはいかがですか?」


王子は一瞬驚くがすぐに冷静な政界の顔をする。


「うちにメリットは?」

「分かりません、せいぜい鉱石を優先して売るようにしてもらうぐらいでしょうか」

「それでは、割に合わない」


彼の目は一国の王子の目だ。

王子の言う事は至極真っ当だ。

だが、譲れない。


「たしかに、割に合わない。ですが、忘れています。最大のメリットを」

「なにかな?」

「戦争の方が高くつきます」


私の強い声に王子は唖然としていた。


「ふはははは!」


王子はなにがおかしいのか笑いだす。


「本当に其方は面白いな?」

「で、どうなのですか?」

「いいだろう。だが、一つ聞きたい」

「何ですか?」


王子の目は先程までと変わって一人間としての目だった気がする。


「それは偽物の平和ににならないかな?」


それは、何かとても重要な質問な気がした。

だから、今答えられる私の、すべてで答える。


「王子、完璧はあり得ません。たとえ、不格好で不完全でもそれが人間と言う生き物です。ですから、それが本物なのでしょう。ですが、今は不完全でも未来は分かりません。ですから、今は最善を選ぶだけです。それが私たちにできる生き方です」

「……そうか」


王子の顔には悔しさが見えた。

ただ、その顔には決して影はなかった。

それはきっと未来につながる苦悩だ。


「一度、実家へ戻ります」


「実家?」


「はい。母の手帳を取りに。そこには各国の詳細なデータが記されています。今回の件、念のため裏を取りたいのです」


王子は一瞬だけ、興味深そうに目を細めた。


「……それは、価値のある品だ」


ええ、分かっています。


だからこそ――


私は自分で取りに行く。









読んでいただき、ありがとうございます。

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