結び、引き留め。
「なあ、本当にやらないといけないか?」
「ここまで来て文句を言わないでください」
「そ、それはそうだが」
「そんな王では笑われてしまいますよ?守りたいのでしょ?」
「はあ……分かった」
フランの言葉に覚悟を決めたのか、ギャレットの雰囲気変わる。
彼は歩き出しバルコニーに姿を出す。
「皆の者よく集まってくれた!」
外には民衆が集まっていた。
民衆の声が圧縮されて聞こえる。
「俺は第二王子のギャレットだ!」
民衆は困惑する。
それもそのはずだ、死んだのはそのギャレットではないのかと言う事だからだ。
「今回は事の真相を話そうと思う」
そうして、ギャレット様は事の顛末を話し始める。
困惑が渦になっていた。
その中で私たちは紛れていた。
「本当に動くのかリア?」
「ええ、彼らなら動くでしょう」
私たちは狙っている。その瞬間を。
太陽の光が影を濃くする。
地面を焼き、立ち上る熱を感じる。
その中に太陽の中の黒点のような違和感を見つける。
民衆の中フードをかぶった怪しい男性が見える。
その手元には黒光りするもの。
「いました!」
「あれか!」
旦那様は民衆をかき分け一直線に向かいその男を取り押さえる。
「大人しくしろ」
「ぐっ!?」
「これは預からしてもらいますね?」
私の手に銃があった。
それは完成品ではない未完成の銃だった。
「ギャレット様!完了です!」
私はギャレット様に伝えて念のためギャレット様に退避してもらう。
「さて、お前はジュエルの部下の残党だな?」
男は睨みつけながら告げる。
「来やすく神の名を呼ぶな!」
妄信者のそれを叫びあらぶっている。
男はじたばたするもヴァン様の力に及ばず抑えられている。
「やはりですか……王はどこですか?」
「ふ、お前らに教えることなど……」
「彼は死にました。私は実際に目にしました」
男は固まり口を開けたまま黙る。
「意味がないのですよ……もう」
そう、だからこんなずさんな計画なのだ。
彼なら、もう一枚上手に出ている。
彼はいないのだ……
「……嘘だ!嘘だ!」
まるで、朝を告げる鶏のごとく、けたたましく叫ぶ男性。
「連行してくれ」
「は!」
兵士に任せて私たちはギャレット様に合流する。
「ギャレット様、無事捕獲できました」
「おお、よかった。俺も死ななくて安心したぞ」
「ふふ、その時は私が守りましたよ?」
「バカ、フランを犠牲になどできるか」
「ふふ、嬉しいです」
何かピンク色の空気がする。
「お前ら……やったな?」
「何のこと分からんが、イエスとだけ言っておこう」
「確信犯じゃないか……」
何のことだろうか?
私の疑問には誰も答えてはくれない。
「リアはそのままがいいから、気にするな」
「ええ、奥様はそのままが可愛いです」
「そ、そう?」
褒められているのか分からないが、そっちの方がいいならいいのだろう。
「で、やはりジュエルの部下が手を引いていたのか?」
「はい、予想通りでした」
私は違和感があった。
と言うのも、そもそも、ギャレット様の脱出の手際の良さ。
なぜ、助けてくれるのか分からない彼の部下。
そこは、初め友達だったと言う事で考えなかったが、彼らがそんな目的のために動くとは到底思えない。
しかも、殺害に使われた銃。
あれもおかしい点だった。
彼ほどの人物が他の組織に銃を易々渡すとは思えない。
つまり、今、現在保有しているのは実際には元彼の部下たちだけと言うわけだ。
「彼らは王を利用していた。きっと途中まではポルタ様と父上の計画通りだった」
「だが、彼らは裏切った」
「その通りです。彼らは父上を監禁または殺害して計画を変更、ギャレット様の殺害に踏み切ったわけです」
「だが、なぜギャレット様を?」
「それが分かりません」
沈黙が蔓延する。
その答えを知っているのは……
「それは彼らがわしの決定に反対していたからじゃ」
「親父!!」
ドアからやつれた男性が入ってきた。
これがギャレット様の父上。
「と、いいますと?」
「彼らはわしがギャレットを排除するのをためらっているのを知っていた。そして、ポルタと一緒にギャレットを軟禁する計画を聞いた時も難色を示していた」
「つまり、彼らはここでも革命を起こしたかったと?」
「うむ。彼らは革命を第一としている。王にふさわしくないギャレットは排除すべくだと思ったのだろう」
「あなたは……しなかった。なぜですか?」
「実の息子を革命では殺せなかった……そういう事だよ」
「親父……」
彼は少し複雑そうにしていた。
彼なりに考えているのだろう。
それはきっとポルタ様から学んだものだ。
「親父、俺は王になる」
「お前みたいな甘い奴がか?」
「ああ、俺なりに王になる。そう決めた。守るものの為に」
眼差しはまっすぐだった。
「そうか……やってみなさい」
王はそれだけ言うと倒れた。
「親父!」
「すぐに救急室へ!」
そうして兵士に運ばれていく。
ギャレット様も付き添ってついて行った。
「家族とは不思議なものですね。確かに血は繋がっている。ですが、詳細には他人。でも家族。家族と言う言葉が繋ぎ、引き留め、結ばせる」
「ああ。それが家族だな……」
その言葉は私には明るいものでけでなく重い鎖にも感じていた。
しかし、唯一のつながりにも感じていた。
母がいなくなった今、家族と言う言葉だけが母と私のつながりだから。
「じゃあ、結婚とは何でしょうか?」
「家族になるための儀式であり。守る覚悟……そんな気がする」
彼の目に確かに何か守りたいものがあって言っている気がした。
彼の家族に私は入っているのだろうか?
もし入っていなかったら、そう考えるだけで胸は寒く冷たくなる。
窓からは光が差しテーブルの上で影が揺れている。
まるで波のように揺れ動き探している引き際を。
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