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貧乏辺境貴族令嬢の契約結婚から始まる事件簿  作者: 雨夜 フレ
第三章 愛の確認

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暗雲の中で見える

その日は激しい雨だった。

重く暗い雲が立ち込めていた。

雨は傘を打ち付け酷く傘は揺れていた。


「兄貴……」


ギャレット様は傘もささずに墓石の前に立っていた。


「何でだよ……」

「ギャレット様……」


フランが近くに行き傘をさす。

傘から雨が滴り落ちる音が響く。


「俺は、何もできなかった……」

「……」


フランはただギャレット様の隣に寄り添う。

そして、強く握られた彼の手を握る。

それは確かな温かさのあるものだった。


「ヴァン様……どうして、こうも簡単に大切なものは消えるのでしょうか……」

「……ティア殿か?」


返事をしない代わりに母のことを話す。


「……母はとてもやさしくて強い人でした。そんな人が簡単に病で亡くなりました」

「現実はいつだってそうさ……俺の母もそうだった」


その顔には普段見えない彼の表情があった。

憂い、悲しみ、無力さ、すべてが詰め込まれた顔だった。


「……ヴァン様はいなくなりませんか?」


ふと、急に心配になった。

胸が締め付けられ考えたくもなかったが脳裏によぎったのだ。

彼が殺されたり病で死んでしまう。それを見ているだけの無力な私が。


「君が願う限り生きよう。約束だ」


そう言って彼は手を握る。


「約束です……」

「ああ……」


激しい雨の中私たちは彼の葬儀を終えた。

そして、今私たちはハウゼンの王城の個室にいた。


「今回の事件はおそらくこの城の人間がかかわっています」

「……ああ、俺もそう思う」


ギャレット様も分かっているようだ。


「おそらく、父が関わっている」

「ええ、ポルタ様の最後の言葉がそれを物語っています」


だから父は…

あの言葉は何か意味がある。


「だが、前王は死んでいるのでは?」

「私も、考えました。ですが、ギャレット様どうですか?」


彼を見ながら告げる。


「……おそらく、親父は生きている…」

「どういうことですか?」

「実は俺も親父が死んだ瞬間は見ていない。報告で食事の時に突然倒れたと聞かされただけなんだ」

「なるほど、つまり、ギャレット様はポルタ様と父上が一緒になって死を偽装していたと考えていると?」

「ああ、少し兄貴が死んで考えたんだ。親父も兄貴も俺のことを疎んでいた」


外の雨の音がやけに強く感じる。


「親父はある時期から俺を排除したがっていた。だが、兄貴は俺を嫌ってはいても決して排除しようとはしなかった」


……世界は変わらない。簡単には。


そう実感させる言葉だった。


「……なるほど」


仮定が一つ。できた。


「今の段階で分かっていることは父上が関係していること。そして、ポルタ様はもしかしたら、ギャレット様をかばっていたかもしれないと言う事です」


「どういうことだ?」

「ギャレット様言いましたよね?父上は自分を排除したがっていた。ですが、あの状況はどうでしょうか?排除と言えば聞こえはいいですが、軟禁状態の間違えでは?」

「たしかに、簡単に逃げられた……しかも、追っても都合よく兄貴一人だけ誰かつけてきていても良かったはず……」


そう、あまりにも都合がいいのだ。


「ポルタ様はもしかしたら父上と何か取引をしたのかもしれません」

「取引……俺を軟禁状態にするのがか?」

「はい、もしかしたら、父上はギャレット様を文字通り排除。殺す気だったのかもしれません」

「まさか!……それを止めるために兄貴は……」

「ええ、その可能性はあります。ただ、今の段階では憶測にすぎません。ですが、そう考えれば筋は通ります」


今の状態ではただの理屈だ。

これではなにをいっても意味がない。


「他に何かおかしな点はありませんでしたか?」

「ジュエルとかかわりだしてから親父は少し変わったかもしれない……」


また彼の影がちらつく。

執念深い彼が脳裏によぎる。


「どんな風にですか?」

「やけに世界の革命を気にしていた。それからだ、銃などと言う武器を親父から聞かされたのは」


彼の足は震えていた。


「あの時の親父はおかしかった。まるで人が変わったように語りだして言った「この国は革命を求めている。俺の手で革命を果たすのだ」と」

「……革命」


その言葉は最近まで近くにあった。

そして今も、心の中で息をしている。


「その時、俺は親父とケンカした。それからだ、親父が俺と排除しようとしていたのは。だが、俺は実の息子。親父も一線は越えなかった」


「それが、今回は越えてしまった……」


だが、おかしい。

そんなに自らの革命にこだわっていた人が人の手によって殺そうとするなんて。


「まだ、裏がありそうですね…」

「ああ、考える限りおかしな点しかない。だが、どうする?このままでは相手の思うつぼだ」

「ええ、ですので、すこし、罠を張ります」

「罠?」

「はい。ギャレット様覚悟してください」


私はギャレット様を指さして告げる。


「は?ど、どういうことだ?」

「あなたには王になってもらいます」

「まじでか?」

「まじです」


ここからはこちらのターンだ。














読んでいただき、ありがとうございます。

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