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貧乏辺境貴族令嬢の契約結婚から始まる事件簿  作者: 雨夜 フレ
第二章 揺れる信念

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再会

次に目を覚ますとそこは、見知らぬ天井だった。

起きるのが予想以上に遅かった。


隣を見るとヴァン様は寝かせれていた。


「ああ、起きましたか?」


声の方向には領主がいた。

その顔には初めの人懐っこい笑みはなかった。

その笑みは背筋が凍るほど計算されたものに感じた。


「……初めからこうする予定でしたね?」

「ふふ」


ただ微笑むだけで答えが返ってこない。

ただ、笑みが答えだと言うかのようだ。


「おかしい点はありましたが、これを実行する為ではないですよね?」

「そうですね……まあ、半分は不正解ですかね」

「つまりこれも、必要だったと?」


手から少し汗が出る。


「いえ、必要ではなかったですよ。ただの実験のためですよ」

「実験?」

「そう、愚かな愚者の様子を見るためのね」


実験。

愚かな愚者の為の。

話が今一つ見えなかった。

まさか……!?


「気付いていたのですか、このニビアに彼らの組織の拠点があるかもと?」

「ふ、そこまでは考えていませんでしたよ?ただ、狙撃の方向がいつも同じなのは妙だと気づいただけですよ」


やはりこの人は切れる。

鼓動が早鐘のごとく脈打つ。

この人相手に油断してはいけない。


「なるほど、つまりあなたは今回のことで城内に不審な者がいる可能性に気付いた」

「ええ」


彼は満足そうににこにこしていた。

品定めをされているようで顔がこわばる。


「そして、その人物に目星をつけた」

「そう、それがあの執事ですよ」


だから、ワインセラーへの案内をあの執事に任せたのか。


「私たちは彼をワインセラーに行かすための口実だったというわけですか……」

「ふふ、そうです。悪いですが来るのは分かっていましたから、利用させていただきましたよ」


彼は同じく気づく人が出てくる可能性はあると思い視察を予知。

そうして、万全の状態で怪しまれず、接して、役目を全うしてもらう。

それが彼の予定だったわけだ。


「でも、なぜ私たちが来ると?」

「前回の領主の件は聞いています。その賢さなら気付いてくれると思ったまでですよ」

「どちらにしても、あなたは困りませんからね?」

「ええ、誰かが来てくれさえしてくれれば誰でもいいわけですからね」

「問題になるとは思わなかったのですか?」

「あなたになった時点でその危惧は消えましたよ」


この人は知っている私たちが彼の件なら協力すると。

ひとまず、浅く呼吸をする。


「で、問題の執事さんはどうしたのですか?」

「……神隠しに会いました」

「神隠し?」

「ええ、彼だけがワインセラーから姿を消しました」

「そうですか……」


神隠し。

そんなものは非現実的な伝説だ。

それはあのワインセラーの空気が教えてくれている。


「私に賭けてみませんか?」

「ふ、いいでしょう」

「うん?なんだ……」


そのタイミングでヴァン様は目を覚ます。


「さあ、ヴァン様ここからが正念場ですよ」

「お、おう?」


そうして私たちはヴァン様に事情を説明しながら執事のもとに行くことにする。


そこは古く埃とカビの匂いでいっぱいの空間だった。

そんな空間が直線に長く続いていた。

やっとそこを抜けると少し広い空間にたどり着く。

そこは明かりが見える。まるで警告されているかの如く明かりは強かった。

私の鼓動は強く脈打つ。そして、訴える。そこに彼がいると。


「……やはりですか…」

「ふ、やはり来ましたね?」

「おまえ……」


彼は冷たく笑う。


「ジュエル!」

「お久しぶりですね?」


彼はおかしそうに笑う。

その笑みがすべてが現実だと認識させられる。


「よくここが分かりましたね?」

「空気ですよ。ワイナリーは空気が澄み過ぎていた。つまり、どこかに外につながる空間があると言う事です。あとは壁の隠しボタンを押すだけでしたからね」

「ふ、あなたには簡単すぎましたね?」


彼は一息置き楽しそうに語りだす。


「今までの事件お楽しみいただけましたか?」

「ええ、それでわかった……あなた迷っているのね?」

「ふふ、まだまだ私も甘いと言うわけですね」


そん彼の顔から笑みが消え冷たい瞳になり告げる。


「ですが、私はまだあきらめていません。私の中の火は消えていませんから」

「あの、王の言葉を聞いてもか?」


すこし、彼の瞳が色を出した気がした。


「ええ、彼の言葉には少々驚きましたが、それでも、まだ足りえません」

「そうか……」


彼の火はどこまでも強い。

いつまでも消えない。そう表現するにはふさわしい。


「ですが、ここで、止めさせてもらうぞ?」


ヴァン様は剣を抜き戦闘態勢をとる。


「ふふ、神は隠れるものですよ?」

「逃がすか!」

「いいえ、これからはもう逃げはしませんよ」


その瞬間、何かをヴァン様に投げた彼。

それをヴァン様は切るが、そこから煙が発生した。


「くっ!?」


一面は視界不良になり、見えない。

そこには、ただ逃げる彼の足音だけが、響いていた。

そして、煙の隙間から彼の激しく燃える瞳だけがこちらを見ていた。





読んでいただき、ありがとうございます。

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