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貧乏辺境貴族令嬢の契約結婚から始まる事件簿  作者: マモシ
第一章 見えない脅威

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13/21

全ては嘘の中

「ジュエル、状況は?」

「はい、全員が首を切って死んでいました」

「そうか……」


それは今日の朝だった。

兵が朝食をもって牢屋に行くと、男たちが全員死んでいた。

そこには一切の抵抗の痕跡がなかった。

まるで自害したかのような状態だった。


そこには血の匂いが充満しておりむせ返るようだった。

手が震えるが、それに耐えながら話をする。


「あまりにも不思議な点だらけですね?」

「ああ、不審な点しかない」


抵抗の痕跡が何もない。

状況は自害をさしている。


この点を考えてもどれもおかしい。


「ヴァン様、これはやはり帝国の……」

「まだ、確定は出来ないが、その可能性は高そうだな」


口封じ。それが一番可能性が高い。

だが、なぜ捕まった段階で殺さなかった。

それが、一層不気味だった。


「フラン、なにか知ってるの?」

「いいえ」


周辺国のスパイのフランが知らないとなるといったい何が?


私は男の遺体に近寄り手を合わせる。

ヴァン様も近くに来て手を合わせる。


「真似しなくてもいいのですよ?」

「リアリスがしているのだ、俺もするさ」

「……そうですか」


少し心が温かく感じたのは昨日せいではないだろう。

その温かさをかみしめながら、男の遺体の所有物を調べる。

そうしてポケットを調べると、一つの紙切れが出てくる。

そこには「悲惨な運命が待っている者たちよ選べ。自害か、残酷な死か」と書かれていた。


「これは……」

「内部にいたのか帝国の手の物が……」


また彼らは恐怖に支配されていた。

残酷な死。それがどんなものなのかは分からない。だが、確かにそれは自分自身を殺すほどの恐怖なのだろう。


「旦那様とりあえずここから離れましょう」

「ああ」


あまりの死の匂いに耐えきれず私は外に出る。


「顔色が悪いぞ?大丈夫か?」

「はい……大丈夫です」


嘘だった。

死体。それは別に大したことではなかった。

ただ、昨日まで話していた人が死んだ。

その事実が私をむしばんでいた。


「少し休もう」

「……はい」


ヴァン様見抜いていたのだろう。

私の心の侵食具合を。


そうして庭に出て、紅茶を飲むことにした。

少し落ち着いてから話を続ける。


「だが、どうする?このままでは内通者は放っておくことになる」

「はい……ですが、逆に言えば利用できます」

「どういうことだ?」

「誤った情報を流すことも可能と言う事です」

「なるほど」

「そして、ヴァン様。おそらく、死んだ彼らも利用されていたのでしょう」

「利用?そうだな、確かに周辺国に……」

「いえ、違うのです。彼らは間違った証言者として帝国に利用されたのです」

「なに?」


そう彼らは利用された。

こちらも考えていたことだが、私たちに間違った情報を流させてた。

そうして、役目を果たした段階で殺した。

そう、考えるのが自然だ。


「だとすれば、彼らは二重に利用されていたことになるのか……」

「はい……」


それはあまりに悲惨な事実だ。

体は氷のように冷たくなっていた。

それが通常であるかの如く。


「だが、言った何が誤った情報だったのだ?」


帝国が情報は新兵器や、帝国復活などしかない。

なら何がいったいブラフなの?


「すべてが嘘なら助かったのだがな」

「ヴァン様それは無理があります」

「分かっているが、ここまで不明な点しかないのなら、そうも言いたくなる」

「まあ、それはそうですが……」


全部嘘でいいことなんて……


いや、ある。


「ヴァン様、もしかしたらあながち間違ってないかもしれません」


「どういうことだ?」


「帝国復活は嘘かもしれないのです」


「いや、だが、こうして実害が出ているのだ。嘘ではないのでは?」


「考えてください。もし、違う集団が帝国の威光を借りているならどうですか?」


そう、それなら筋が通る。

帝国は復活などしていない。


だが、それを利用して活動したい集団がいる。

そうすることで、国をも動かすことができる。


「そうなると、新兵器の話も嘘なのか?」


ヴァン様はフランを見るがフランは首を振る。


「いえ、そちらはおそらく本当の可能性が高いです」

「どうしてなのだ?」

「いくらなんでも、帝国が復活したなどとは言っても証拠がないことには信じてもらえません」

「そのために、新兵器を見せたと?」

「はい」


帝国は技術大国だった。

その威光を借りるならちょうどいいはずだ。


「となると、それを周辺国に伝えれば……」

「いえ、それは早計です。新兵器の正体が分かりませんから」

「そうだったな……だが、ならどうするつもりだ?」

「こちらも揺らします」


私は少し意地悪な笑みを作る。


「なるほど、それは面白いな?」


彼もまた意地悪な笑みを浮かべる。


そう彼らも、惑わされてもらう。

まるで、舞台上の人形のように。














読んでいただき、ありがとうございます。

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