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貧乏辺境貴族令嬢の契約結婚から始まる事件簿  作者: マモシ
第一章 見えない脅威

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1/19

辺境の貧乏貴族令嬢リアリス

「パパ。ここ間違ってる」

「おお、すまないな。リア」


私、リアリス・フォン・アリューゼは帳簿と戦っている。

うちはド田舎辺境貴族だ。そして、帳簿を付ける役人も雇えないほど貧乏だ。


「…いつ終わるの……」

「す、すまない。五時までにはなんとかな?」


今は一時。つまり最悪、あと四時間はかかるわけだ。


「はあ」


こういう日は珍しくない。

とはいえ、私はさすがに疲れていた。

それは朝の出来事が絡んでいる。


今朝。


「リ、リアリス!!」

「どうしたのパパ?」

「お前宛に結婚の申し出が出ている!!」

「え?」


私に?

アリューゼ家は、代々辺境を任されている貧乏貴族で代々庶民と結婚している。私のママも元庶民だった。

そんなうちに結婚の申し出?


「パパ、お酒はほどほどにして」

「ち、違う!?本当なんだよ!これを見てくれ!」


パパの手には公爵家の刻印がされた手紙が握られていた。


「確かにそれは公爵家の刻印…」

「内容はなんて?」

「礼儀でたくさんいろいろ書かれていたけど、省略すると「リアリス嬢に結婚を申し込む。明日にはうちに来てくれ」とだけ書かれていたよ」

「……変ね」

「や、やっぱり!?」

「パパ考えて、うちと縁を結ぶメリットのママはもういないわ。なのになぜかしら?」

「そうだね。ティアがいたら、話は別だったんだけどね」


そうして考えていたが、手掛かりは少なくて答えは出ない。

その代わり大切なことは思い出した。

帳簿だ。


「パパ!帳簿の整理は明日やる予定だけど一人で大丈夫?」

「……た、助けてくれ!リア!」


そうして、私は違和感を放棄したまま今戦っていたのだった。

そして、格闘すること四時間後。


「やったーー!」

「終わった…」


窓からは小鳥の鳴き声が聞こえる。


「はあ、もう寝れないわね」

「ははは……」


仕方なく私は化粧で隈をごまかし公爵家に行くことになった。

そうして馬車に揺られること一時間。


「お、大きい……」


馬車を降りると、そこには大きな門があった。

そして、その奥には庭園があり、さらに奥に公爵家があった。


「ふふ、今日は命日かもね…」


私は一人死期を悟っていた。


「リアリス様。お待ちしておりました。今回のご案内を任されました、マシューと言います」


声が掛けられそちらを見ると、イケメン騎士の男性が背筋を正してお辞儀をしていた。

その顔はまさに美男だった。肌も騎士の肌とは思えぬほど綺麗だった。


「どうかしましたか?」

「いえ、ご案内お願いできますか?」

「はい。ついてきてください」


そうしてマシューの後をついていく。


「マシューは庶民から応募して受かった騎士なの?」

「はい。昔から騎士に憧れていまして」


庶民が、あの綺麗で、正しいお辞儀をした?


「そう……ところで、この屋敷には礼儀作法をできる人は何人いるのかしら?」

「えっと、執事のジュエルと旦那様だけになります」


……なるほど。そうか…


「ねえ、マシューさんは手が綺麗ね。よく見せてくれる?」

「は、はい、いいですよ」


そういって、彼は手のひらを見せてくれる。

そこには剣だこがびっしりあった。

それは、綺麗な手には不釣り合いだった。


「ちなみにジュエルさんは剣はやるのかしら?」

「いえ、ジュエルは事務の天才ではありますが、剣の腕はからっきしですね」

「そう……面白いのね。公爵家は」

「??」


マシューは困惑していた。だが、すぐ笑顔になり案内を続ける。


「こちらが応接間になります。旦那様は少ししてから来られますのでしばらくお待ちに……」


そうしてマシューは出ていこうとする。


「もういるのに、なぜ出ていくのですか?」

「はい?何を言って…」

「庶民はあんな綺麗なお辞儀は出来ませんよ?公爵様」

「……いつから気付いていた?」


彼は先程の人がよさそうな顔ではなく、面白そうな顔を出していた。


「確信したのはジュエルさんが剣をできないと知ったときですね」

「……そうか、剣だこか」

「はい、その手は騎士にしては、綺麗すぎます。そして、その手に不釣り合いな剣だこ。そして最初のお辞儀。すべてを加味すればおのずと答えは出ます」


「やはり正解だな……」

「……それはどういう意味ですか?」

「俺はお前のその切れる頭が欲しい」

「……はあ、予想はしていましたが、私は母ほど頭は切れませんよ?」

「それでも、今はないものねだりより、あるものが欲しい」

「……公爵様はいったい何をお望みなのですか?」

「事件の解明だ」

「事件?」

「ああ」


公爵様はテーブルに書類を投げる。


「これは?」

「今まで、我が家の領地で起こった、事件の報告書だ」

「これすべてがですか?」

「ああ」


その数は二桁はあった。


「うちはある有名な商会と定期的にやり取りしていた。だが、その商会の商人が配送途中で相次いで死んでいた。そしてこれとまったく同じ事件が過去にあったんだ」


過去の事件?


「つまり、今回の結婚のお申し出は事件解決のために?」

「話が早くて助かる」


彼はニヒルに笑う。その笑みはとても嫌な気配がした。














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― 新着の感想 ―
こんばんは!!コメント失礼します!! 何というか、これから起こるであろう事件と謎に巻き込まれる感じがとても好きです!! これからも頑張ってください!!応援してます!!
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