第03話 押し付けられた新天地
王族との謁見が終わり、城の衛兵について歩く
「トヤマケイゴさん、これから魔力により身を守る簡単な訓練を行います」
衛兵に案内されたのは城内の広場、訓練等する場所だろうか。
「では魔力で身を守る事をイメージしてください」
衛兵が木製の剣を構え無茶を言う。外の空気に触れて緊張もほぐれた、今なら自由に話せる。
「そんな、さっきから何なんですか?これ……。」
そう言いながら、自分なりに魔力とやらで木の剣を防ぐイメージをする。
目の前にボンヤリと見える、厚い空気の淀み?なんだコレ、まさか魔力?
「フンッ!!」
衛兵が剣を振る、目の前の何かがそれを通さない。これが……魔力だろうな。
「上手ですよ!!それがあなたの力、魔力による身の守り。」
衛兵が続けて剣を振る、必死に集中し攻撃を防ぐ。何度も繰り返す、出来ちゃってるのか?
衛兵の攻撃が止まる。
「そして、もう一つ。本質を見極める力により直ぐに魔力を扱えるようになりましたね」
もう疑う余地は無いな、今まで拒んでいた理解が脳に押し寄せる。
「有難う御座いました」
衛兵に頭を下げ礼を言う、これが俺の力か。
訓練もそこそこに城門へと案内される、大量の荷物が馬車へと積み込まれている最中だ。
「ああ!トヤマケイゴだったよな?これから道中の御者と護衛をするチャドってんだ、よろしくな!」
「外山圭吾です、よろしくお願いします。手伝いますよ、チャドさん。」
調子の良さそうな男だ、良い人選だな。この世界の事を色々尋ねるのに丁度いい。
荷物を積み込み馬車に乗り込む、かなり長い道のりだそうだ。
「んじゃ行くか!門を開けてくれー!」
馬車が走り出す、外に出て振り返りゆっくりと閉じられていく門を見ていた。
「廃墟って言ってもある程度家具は揃ってんだ、この物資で快適に暮らせるぜ」
「そうなんですね、安心しました」
かなりの量の物資だ、まさか盗賊に襲われたりはしないよな。
「チャドさんはその……護衛もされてるって事で。お強いんですね。」
「おう!オレは強いぜ!盗賊なんて睨んだだけで逃げ出すぜぇ!」
その自信がかえって俺を不安にさせる。
「アラステリア王国の事なら何でも聞いてくれ!」
「有難う御座います、チャドさん」
「そのチャドさんってのやめてくれ!チャドでいいよ!」
「あぁチャド、助かる。俺もケイゴでいいよ」
チャドと色々話す、この世界の事。この国の事。そして召喚術の事。
「王女様の召喚術でこの世界に来た奴等には、特別な能力が有るんだがなぁ…」
言いづらそうにしているのが分かる、ハッキリ言ってくれ。
「ケイゴ、お前さん身を守るのと本質を見極めるだっけ?」
「あぁ、王様にはそう言われたな。」
「エルドマンド国王陛下だ。陛下は優しくってなぁ、衛兵からの評判もいい。覚えとけよ、恥かくぜ」
「ケイゴの力、守るってのはただ魔力が扱えるってだけだな。んでもう一つは……今俺と話せてるだろ?」
「あぁ、ずっと不思議だったがな。なんで言葉が通じるのか。」
「これの事よ?この世界の文字とか道具の使い方とか分かりますってだけ。つまりなんもねぇってこった!」
こいつ……!ノンデリってヤツか。まあ今はその方がありがたいかも。
「そうかぁ、残念だな……。王妃なのかな、あの人にもハズレって言われたよ」
「あぁ……ミザリア王妃陛下だ。あぁ……んー…………いい人だよ」
分かりやすい奴だな、俺の案内人には本当に良い人選だ。
「ハズレか……、そう言われてもなぁ」
「ハッハッハ!あのなぁケイゴ、強い奴は前線に送られる。この国にとってハズレでもお前にとっちゃアタリなんだよ!」
馬車に揺られ何時間経っただろう、遠くに目的地の廃墟が見えてきた。
「なぁチャド……なんで俺が招かれたんだろうな」
チャドの表情が変わる、大切な事を伝えようとしているのが分かる。
「召喚術ってのは、元居た世界が嫌になっちまったヤツが呼ばれるって話だ。聞くつもりはねぇが……心当たりがあるだろ?」
大有りだ、妻……みさきが居ない世界。全てを無意味に感じていた、どこかに消えたかった。
「……大した事じゃないよ」
もうすぐ到着だ、新しい我が家に。
読んでいただいた全ての方に感謝します。




