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第36回

この物語は、フィクションです。登場する団体や個人は、実在しません。

   また、登場する団体や個人は、実在の物と関係ありません。

この作品の著作権は、相良 凌が保有しており、このサイトの利用者に、何らの権利も与えるものでは、ありません。(要するに、読むだけにして!ということです)


第1回から、お読みになりたい方は、後書きより下にある〔闇探偵西園寺美園 第2シリーズ第1集【小説家になろうサイト内】〕と書いてあるリンクからアクセスできます(無料(通信費等除く)で、ご覧いただけます)。


  闇探偵 西園寺 美園2(36)  相良 凌      


   3 解けゆく謎(14)


「もちろん、小夜子さんとの契約がありますから、小夜子さんに全て渡します。その中から、契約上の取り分だけを頂きます!」

 西園寺は、きっぱりと答えた。

「真面目ね・・・」

 溜息混じりに、佳代は、言った。

 次の瞬間、

「この、阿婆擦れ女! 渡しなさいよ!」

 低いテーブルを越え、富士田奈々子の持っている封筒を力ずくで奪おうとした佳代。

 富士田奈々子の抵抗もむなしく、彼女の持っていた封筒は、佳代の手に渡った。

 佳代は、

「弁護士さん、この遺言書に何が書いてあるのか見てください」

 と、言って湯月に、その封筒を渡した。

「拝見します・・・」

 と、言って佳代の手から、封筒を受け取ると、中から書類を出し、読み始めた湯月。

 湯月は、読み終えると、

「小夜子さん! この有栖川只仁さんの署名と印鑑、ご本人のものですか?」

 と、小夜子に書類を渡して聞いた。小夜子が応じる。

「署名は、当主、有栖川只人のもので間違いありません。印鑑は、只仁が、市役所で印鑑登録したものに相違ありません」

「だとすれば、これは間違いなく、法律上有効な遺言書です。有栖川只仁氏は、血縁に関係なく、彼が隠した陶器製の容器に入ってる貸金庫のカードキーを見つけたものに、遺産を全て渡すとなっています・・・」

 と、言った。

 ☆

 その日の夜。西園寺と湯月が帰ったあと、年季の入った個室で、荷物をまとめている人がいた。

 富士田奈々子である。

 その後、彼女は、メイド服を脱いで、私服のワンピースに着替えると、小夜子の部屋へ向かった。

 小夜子の部屋のドア。富士田奈々子は、その前に着くと、

「トントン!」

 と、ドアをノックし、

「失礼します」

 と、言う富士田奈々子。

「はいどうぞ」

 と、応じる小夜子。

 小夜子は、彼女が何をしに来たのか分かった。



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