熊スタンピード
スタンピードという語が頭に浮かんだ。
毎日毎日毎日、ヒグマがツキノワグマが、と今年は出没のニュースが多い。北海道では7月に道南の福島町で新聞配達員がヒグマにやられ、先月は道央の三笠の民家にヒグマが侵入し(掃除機で追っ払われた)、数年前に警察官の指示で発砲したのに猟銃免許を取り消されたことでお馴染みの砂川では同じ小学校周辺や高速道路上でヒグマに威嚇される始末。先日は札幌市西区山の手の住宅地(山から数百メートルは離れているはず)にヒグマが出没した。本州でも、秋田県はツキノワグマの王国になっているっぽい。
なんでこんなに熊が出没するのか。ニュースバリューになる、という面も否定できないが、絶対数が増えていて、山に餌がなくて降りてきている、というのが答えかもしれない。クマにとって人は天敵ではない(北海道で猟銃免許を持っている人は7千人弱、うち熊撃ち名人クラスは2・3人)からね、恐れるものは何もない。
9月頭、新聞を見てびっくりした。北海道内のヒグマ出没情報6件、うち3件は親子連れで子グマ2頭、2頭、1頭だった。複数の子グマを連れた母グマ(当然、警戒心の塊のはずだ)が人里まで出没している、つまり山に餌がない、ということだ。昨年はブナや他の木の実が豊作で2頭(または3頭)と複数の子供を産んだ母グマだが、今年は猛暑で木の実や他の植物も不作、警戒心を空腹が上回って人里まで降りてきているのだろう。
「人間の開発でクマの居住域が狭められている」という意見もあるが、現在北海道でヒグマが出没している地域の多くは人口が急減している。北海道の人口は570万人をピークに今は530万人くらい、札幌市は増加傾向でそろそろ200万人に達しようとしているが人口が増えているのは中心部のマンション群のみ、周辺地域では山林の手入れは十分にできず、離農で畑も減り、一部は住宅地に転換しているかもしれないがごく一部のみ、高齢化で人通りがない。外飼いの犬もいない。野生の王国になりつつある。多分秋田のツキノワグマ出没地域も似たような状況なのだろう。
ヒグマの実数はどうなっているか。1991年(統計を取り始めた年)がたぶん底で5514頭、それが2023年末には11661頭とほぼ倍増している(推計値)。積丹・恵庭群(後志・胆振・石狩の大部分を含み、札幌市西部南部に出没する群)は200頭弱から870頭へ4.3倍となっている。ただし、これではどれくらいの密度でヒグマがいるかは分かりづらいので、面積をヒグマの頭数で割った数値を示す(概算であり、公式な数字は見つけられなかった)。
北海道全体;7.16平方キロ/頭
積丹恵庭群;11.57平方キロ/頭(札幌の南〜西)
天塩留萌群;3.43平方キロ/頭(札幌の北東、数年前に東区丘珠に出没した)
日高夕張群;3.60平方キロ/頭(札幌の東、砂川もコイツ)
渡島半島群;3.10平方キロ/頭(福島町で新聞配達員を殺ったヤツ)
道東道北群;19.05平方キロ/頭
東京の山手線内(63〜65平方キロ)に北海道全体の数字なら9頭、渡島半島群の数字なら20頭のヒグマが彷徨いていることになる。大阪環状線内なら4頭、9頭。もうちょっとセンセーショナルに書くと、
山手線内のエリアに「ポン刀持った無敵の人」が20人彷徨いている。
こうすると福島町や砂川市の状況がイメージしやすくなるかもしれない。
東京は無問題なのか。
多分あまり報道されていないけど、TOKYOクマップを見ると、八王子ジャンクション以西、日の出町以西にツキノワグマ出没情報がある。ツキノワグマの行動半径はオス70平方キロメートル、メス40平方キロメートルとされているので(ヒグマより狭いな)、1日10キロくらいは簡単に移動する。数年前に札幌市東区丘珠の商業地・住宅地に出没したヒグマは、北東の当別の山から川づたいに20キロ移動してきたとされる。八王子ジャンクションから東に20キロだと都心環状線まで到達しちゃうかなあ。まあ、多摩川水系沿いに町田とか川崎方面に出没する可能性の方が高いと言える。
鹿スタンビードは実質的にもう起こっているし、熊もそれに近くなっている。今年は冬籠り前に十分な食料を得られないヒグマが降雪後も出没する、かもしれない。
ツキノワグマさんもそうだよね。




