表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気まぐれ食堂ねこまんま〜動物好きおっさんの異世界飯テロ日誌〜  作者: はぶさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/300

第十四話:デュラハンと飢餓ホルモン (2/3)

「ホルモン信号がダメなら、もっと原始的な感覚に訴えかけるしかねえな。よし、任せとけ。お前さんたちの体に、無理やりにでも『食欲』を思い出させる、最高の料理を作ってやる」


俺は厨房に立つと、まず、店の奥から一番分厚く、重い鉄板を引っ張り出してきた。そして、それを石窯の中に入れ、カンカンに熱し始める。


「おい、店主。一体、何をする気だ? 料理に、そんな大げさな鉄の塊が必要なのか?」

小脇に抱えられた生首が、訝しげに尋ねる。


「ああ。今日の主役は、味じゃねえ。音と匂い、そして見た目だ。お前さんたちの、腹の底に眠ってる、野生の本能を叩き起こす」


俺はそう説明しながら、大きな冷蔵庫から、先日グリフォンが置いていってくれた、極上の鹿肉の塊を取り出した。美しい赤身に、きめ細かいサシが入った、最高の部位だ。俺はそれを、指三本分はあろうかという、贅沢な厚さに切り分ける。


「いいかい、嬢ちゃんたち。今からやるのは、料理であり、一種のショーだ。よく見とけよ」


俺は、熱した鉄板を石窯から取り出し、デュラハンの騎士が座るカウンターの目の前に、ドンッ!と置いた。鉄板からは、空間が歪むほどの熱気が立ち上っている。


そして、俺は、切り分けた鹿肉の塊を、その鉄板の上に、叩きつけるように置いた。


ジュワァァァァァァァァァッッ!!!


その瞬間、店中に、鼓膜を直接揺さぶるような、圧倒的な音が響き渡った。肉の表面が、一瞬にして焼き固められ、香ばしい煙が、もうもうと立ち上る。


「うおっ!?」

生首が、驚きの声を上げる。騎士(体)の方も、その音と熱気に、ビクッと肩を震わせた。


俺は、休む間もなく、その肉の横に、たっぷりのニンニクのスライスと、バターの塊を乗せる。バターが溶け、ニンニクの香りが立ち上り、肉の焼ける匂いと混じり合って、もはや暴力的なまでの、食欲をそそる香りが、店中に満ちていく。


「どうだい? この音、この匂い。腹は減ってなくとも、体が、脳が、勝手に反応しちまうだろ?」


俺はニヤリと笑いながら、肉の表面に、岩塩と粗挽きの黒胡椒を振りかける。そして、仕上げに、醤油を数滴、鉄板の上に垂らした。


ジュッ!


醤油の焦げる、日本人なら誰も抗うことのできない、禁断の香りが、とどめを刺すように、二人の鼻腔を突き抜ける。


生首は、ゴクリと、音を立てて喉を鳴らした。

そして、驚くべきことに、今まで無反応だった騎士(体)の方が、鎧に覆われた腹部を、きゅっと、かすかに震わせたのだ。


それは、何の前触れもなく、腹の虫が鳴いた音だった。


ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございます!皆さんの感想や、フォロー・お気に入り登録が、何よりの励みになります。これからも、この物語を一緒に楽しんでいただけたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ