表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気まぐれ食堂ねこまんま〜動物好きおっさんの異世界飯テロ日誌〜  作者: はぶさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/300

幕間:頑固アナグマと甘い衝撃

俺様の名前は、まだない。

この崖の洞窟に住み着いてから、ずっと一人だ。俺様の仕事は、この洞窟にあるキラキラしたしょっぱい石……「岩塩」を守ること。これは俺様の宝だ。誰にも渡すもんか。


毎日、洞窟の入り口でゴロゴロしながら、縄張りに侵入者がいないか見張るのが日課だ。今日も平和だ……と思っていた、その時だった。


ガサガサと、やかましい音。

見ると、でかい翼のグリフォンに、変なコカトリス、それに青くてぷるぷるしたやつ(スライム)を引き連れた、二本足の生きぶっさんが、俺様の縄張りにいやがった。しかも、俺様の大事な宝物を、ごっそり持っていこうとしてやがる!


「グギィィィィッ!(俺様の塩を、勝手に持ち出すんじゃねえ!)」


俺様は、ありったけの声で威嚇した。爪を立て、いつでも飛びかかれるように身構える。でかい鳥が翼を広げてきたが、知ったことか。この縄張りでは、俺様が一番強いんだ。


すると、二本足のやつが、鳥の翼の後ろからひょっこり顔を出した。そして、何か小さな、キラキラしたものを俺様の前に放り投げた。


なんだ、これは。毒か? 罠か?

ふん、と鼻を鳴らして無視しようとした。だが、なんだこの匂いは。今まで嗅いだことのない、脳みそがとろけるような、甘くて、うっとりする香り……。


俺様は、警戒しながらも、その小さな塊に近づいた。そして、ほんの少しだけ、舌先で舐めてみた。


その瞬間、俺様の世界はひっくり返った。


「んんんんまいっ!(なんだこの甘露は!)」


口の中に、果物の甘酸っぱさと、蜜の濃厚な甘さが爆発するように広がった。しょっぱい宝物も美味いが、これは、それとは全然違う、幸せの味だ!


気づけば、俺様は夢中でその塊を平らげていた。さっきまでの怒りなんて、どこかへ吹き飛んでしまった。俺様は、目をキラキラさせながら、二本足のやつを見つめていた。もっとくれ、と。


二本足のやつは、ニヤリと笑うと、「その岩塩と交換しないか?」と言ってきた。しかも、これからも時々、この甘い塊を持ってきてくれるという。

断る理由なんて、あるわけがない。俺様は、ちぎれんばかりに首を縦に振った。


やつらが帰った後、俺様はもらった蜜漬けを大事に舐めながら、洞窟の入り口に座っていた。

宝物の岩塩は少し減ったけど、代わりに、もっとすごい宝物を知ってしまった。


……次の「交換日」は、いつだろうか。


俺様は、生まれて初めて、明日が来るのが待ち遠しいと思った。二本足のやつが、またあの甘い宝物を持ってきてくれる日を、今か今かと待ちわびている。


ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございます!皆さんの感想や、フォロー・お気に入り登録が、何よりの励みになります。これからも、この物語を一緒に楽しんでいただけたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ