第四話:ぶっさんの買い出しと物々交換 (1/3)
プルンが元気になってから、数日が過ぎた。
俺、仏田武ことぶっさんは、店の棚を眺めながら腕を組んでいた。開店から一ヶ月、ありがたいことに客足(?)は途絶えないが、その分、調味料の消費も馬鹿にならない。
「うーん、塩のストックが心許なくなってきたな……。それに、そろそろ新しいジャムも作りたい。この前プルンに出したベリーソースも美味かったが、もっと日持ちのする保存食も必要だ」
思考はどんどん広がっていく。
「あそこの崖っぷちに、良質な岩塩が採れる場所があるって、前に来た鬼の兄ちゃんが言ってたな。それに、南向きの斜面には、ジャムにぴったりの甘酸っぱい山の実が群生してるはずだ。……だが、どっちも一人で行くにはちょっと骨が折れるんだよなぁ」
グリフォンのように空を飛べるわけでもなし、プルンのように狭い隙間に入れるわけでもない。俺はしょせん、ただのおっさんだ。
「ま、なんとかなるか」
俺がそう呟きながら、店の前の掃除でもしようかと外に出た、その時だった。
「コッコー!」
《旦那ー!遊びに来たよー!》
ひらりと舞い降りてきたのは、すっかり常連のコカトリス、コッコ君だった。彼の周りには、数羽のウサギがぴょんぴょんと跳ねており、どうやら友達作りは順調のようだ。
そして、地面からは、
「ぼよん、ぼよん!」
《旦那さん、こんにちはー!》
と、元気いっぱいのプルンが跳ねてくる。
さらには、遥か上空から、風を切る音が聞こえたかと思うと、巨大な影が店の前に舞い降りた。
《……ふん。近くを通りかかっただけだ》
黄金の翼を畳みながら、そっぽを向いて言うのは、空の王者グリフォンだ。
(いや、どう見ても店の様子を窺ってたろ)
内心でツッコミを入れつつも、三者(三匹?)の来訪に、俺の口元は自然と緩む。
「おう、みんな、いらっしゃい。ちょうど良かった。実は、お前さんたちに少し、手伝ってほしいことがあるんだが」
俺が事情を話すと、三匹は待ってましたとばかりに胸を張った(ように見えた)。
《任せろ、コッコ! 旦那のためなら、ひとっ走りだよ!》
《ぼよん! 僕にできること、あるかな!?》
《……ふん。我の手を借りられることを、光栄に思うがいい》
三者三様の反応だが、その瞳(や体)は、やる気に満ち溢れている。
こうして、俺と不思議な仲間たちの、初めての買い出しピクニックが、幕を開けたのだった。
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