幕間:プルンのぷるぷる記念日
僕の名前はプルン。スライムの子供だ。
でも、最近の僕は、名前みたいに「ぷるん」としていられなかった。
体が、なんだか水みたいにゆるゆるになっちゃって、いつも地面にだらしなく広がっていた。みんなみたいに、ぼよんって跳ねて、森の中を駆け回りたいのに、それができない。仲間たちが楽しそうに鬼ごっこをしているのを、木の根元でじっと見ているだけ。寂しくて、悔しくて、体がもっと溶けちゃいそうだった。
そんな時、森の仲間が噂しているのを聞いたんだ。森の奥に、不思議な料理屋があるって。
怖かった。でも、独りぼっちはもっと嫌だった。僕は、最後の力を振り絞って、そのお店に向かった。やっとたどり着いたけど、ドアを開ける力も残ってなくて、気づいたらドアの隙間からお店の中に染み込んでいた。情けなくて、また泣きたくなった。
お店の旦那さんは、僕を見ても驚かなかった。それどころか、僕の悩みを優しく聞いてくれた。「浜辺のクラゲみたいだな」って言われた時はびっくりしたけど、僕の気持ちを分かってくれたんだって、なんだか嬉しくなった。
そして、旦那さんが作ってくれたのは、キラキラ光る宝石みたいなデザートだった。
《特製、ぷるぷる復活ベリーゼリーだ》
僕がそれを体に取り込むと、信じられないことが起きた。
ゆるゆるだった僕の体に、芯が一本通ったみたいに力が戻ってきたんだ。だんだん体がまとまって、失くしていた綺麗な丸い形に戻っていく。
そして――
「ぼよんっ!」
跳ねられた。
僕の足が、ちゃんと地面を蹴って、体を空中に持ち上げてくれた。嬉しくて、楽しくて、何度も何度も跳ね回った。旦那さんは、そんな僕を優しい顔で見ていた。
お土産にもらった「サプリメント」は、僕の宝物だ。これを大事に体にしまって、僕は元気にお店を飛び出した。
森に帰ると、ちょうど仲間たちが集まっていた。
みんな、元気になった僕を見て、すごく驚いてた。
「プルン! 元に戻ったの!?」
「すごい、ぷるぷるしてる!」
僕は、みんなの前で、今までで一番高くジャンプしてみせた。
「ぼよーーーーんっ!」
みんながわっと歓声をあげる。
「もう鬼ごっこできる?」「一緒に遊ぼう!」って、僕の周りに集まってきてくれた。
僕は、嬉しくて何度も頷いた。
もう独りぼっちじゃない。
あのキラキラしたゼリーの味と、旦那さんの優しい顔を思い出す。
あの日、あの場所は、僕にとって、ただの食堂じゃなくて、魔法のお店になった。そして、今日という日は、僕の「ぷるぷる記念日」だ。
今度は、みんなを連れてあのお店に行こう。そして、世界一おいしい、あの宝石みたいなデザートを、みんなにも食べてもらうんだ。
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