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04

「…これ、普通のパソコンと同じ操作ってことでいいんですか?」

「あんたもしかしてパソコン触ったことないの?」

「それは嫌ってくらいにあるんですが、俺の知ってるのとノリが違うっていうか…」

「ちょっとエイちゃん、新人くんがバカなこと言ってるんだけど。普通のパソコンと同じでいいのか?って。パソコンはパソコンでしょ?」

 女は、電話の向こうの応答が終わるのを待ってから、俺に回答した。

「同じだって、普通のパソコンと。キーボードはJIS規格準拠とか言ってる」

 普通の日本式キーボードってことか。でも、インターフェースが普通じゃない。プロンプトの表示があるのみ。たぶんCLIってことなんだろうが、LinuxコマンドもWindowsコマンドも効かない。

「ログインコマンドすら通らないんですけど、これOS何ですか?」

 女は、また電話の向こうの応答が終わるのを待ってから、俺に回答した。

「しーべーす」

「いや、CでもC++でもいいんですけど、何の言語で組まれてるかじゃなくて、このOSが何なのかって聞いてるんです。名前がわかれば調べますんで」

「OS名がしーべーす」

「聞いたことないディストリビューションですね」

 携帯で検索してみるか?

「調べても無駄だよ。ウチのオリジナルで、公開してないから」

 台パンしそうになった。

「じゃあ、電話の人に聞いてもらえますかね?とりあえずログインコマンドから」

 女は、さらに電話の向こうの応答が終わるのを待ってから、俺に回答した。今回は相手の回答にも少し時間がかかっていた。

「ダイブ・ブルー・シー。divebluesea」

 厨ニ病だな。無駄に長いし。

「申し訳ないですけど、たぶんこの調子だと全部聞くことになるんで、作業にならないですよ」

「いいから打ち込んで」

 渋々ながらも入力すると、ユーザー名とパスワードを求められたので、それも電話越しに聞いた。認証情報にあたるため、この場では秘匿しておく。一応はSEとしての、俺のルールだから。

俺がユーザー名とパスワードをダブルチェックしてる最中に、女は言った。

「ようこそ、我らが秘密基地へ」

 しーべーす。seabaseってこと?

 ダブルチェックを終えたうえでエンターキーを叩いた。そういえば、こんな感じで俺はクビになったんだっけ。

 何かしらの起動ログが走る。

 そのログが止まったと思ったら、真っ青な画面になった。

「これが御社の基地のエントランス、通称ブルーシーとかですか?」

 女は、電話の向こうに聞いてから、俺に回答した。

「ただのブルースクリーンだって。エイちゃんは、もうやられちゃったんじゃないかって言ってる。ヤツらに」

毎週 火・金・日曜日に更新予定

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