表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

超短編集(怖)

魔法の本の噂

作者: M


うしみつ時に鏡の前に魔法陣を描き、

わか鶏の生肉を生贄にして、

さかさまに呪文を唱える。



「・魔・・法の本」


うちの本棚の裏に落ちていた本。

わたしはその本を拾い上げた時、

さむ気を感じたのを覚えている。


うそだと思っていた。

わたしは冗談のつもりで、

さいしょのページの呪文を試した。


うしろの席に座っている子。

わたしが気になっていたその子から

さりげない誕生日プレゼント。


うれしくなってしまったわたしは、

わた埃まみれの魔法の本のページをめくって

さらに別の呪文を試してみる。


うらみを晴らす魔法。

わたしを虐めるあいつらに

ささやかな仕返し。


うるわしい髪が自慢だったあいつは、

わかめみたいなガビガビの髪になった。

さんざん虐められたから、気分が晴れた。


うた声が自慢だったそいつは、

わめくヤギみたいな声になってしまった。

さめざめと泣くその子を見るのは愉快だった。


うまくいった魔法の本。

わずかな疑念もなくなって

さいごのページに書いてある儀式を試す。


うしみつ時に鏡の前に魔法陣を描き、

わか鶏の生肉を生贄にして

さかさまに呪文を唱える。


うえから聞こえる、この世のものではない声。

わたしが見上げると、そこで悪魔が笑ってた。

さそわれるままに、手を伸ばす。


 うつし世に

 わかれの言葉

 さようなら



「悪魔召喚法の本」


うわさでは、本を見つけた子はもうこの町にいないらしい。

わかっているのは、悪魔と何かの契約をしたってことだけ。

さびれた町に伝わる、不思議な本の噂話。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ