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クール美少女の秘密な趣味を褒めたらめちゃくちゃなつかれた件  作者: ネコクロ
第1章「クール美少女はただのかわいい女の子」
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第9話「開き直ったクール美少女は凄い」

 まぁただ、このままここで話していると悪目立ちするだけなので部室で話したほうがいい。

 メモ帳のことをこの場で話すわけにいかないし、春風さんがどうしてまだ部室に来たがったのかは部室で聞けばいいからね。


「ごめん、鞄取ってくるから少しだけ待っててくれるかな?」

「うん、待ってる」


 やっぱり素っ気ないな、そう思ったけど言葉にはしない。

 みんながいるところではこの態度がデフォだとわかっているからだ。

 僕はみんなから集まる視線を横目に、急いで教科書やノートを鞄に入れて春風さんの元に戻った。

 それから僕たち二人は連なって文芸部の部室へと向かう。


 すれ違う人たちからは春風さんと一緒に歩いてるせいで注目を浴びてしまうけど、春風さんはいつもこんな中で生活をしてるのか。

 そりゃあ周りを冷たく突き放したくなるのも仕方ないかもしれない。

 僕も少し似たような経験をしてきたから周りから注目を浴びるのがよくないことを知ってる。


 とはいえ、春風さんの場合は僕の比ではないのだけど。


 毎日いったいどれだけの苦労をしてるのかな……。

 少しだけ、隣を歩く華奢な女の子のことが心配になった。


 部室へと向かう中、僕は隣を歩く春風さんの気持ちを勝手に想像してしまっていた。

 そんな僕のことには気付いていないのか、春風さんはずっと無言で隣を歩いている。


 だけど、気まずい雰囲気は部室内に入るとすぐになくなった。

 なんせ、春風さんの態度が昨日同様に急変したからだ。


 春風さんは部室に入ると昨日と同じように空き椅子を僕の椅子の横に並べた。

 そしてチラッと僕に視線を向けてきた後、何かを取り出そうとしているのか鞄の中を探ってるように見える。

 何をしてるのかな、と思いつついつもの席に座ると、『あった……!』と春風さんが嬉しそうな声を出した。


 いったい何を取り出したのか――そう思って視線を向けると、僕は思わず絶句してしまう。


「これ、見てもらおうと思って持ってきた」


 そう言って春風さんが僕に見せてきたのは、まさかのペンタブレットだった。


 何を学校に持って来てるんだ、この子は。


 当然ペンタブレットなんて学校に持ってきていいわけがなく、先生に見つかれば即没収の物だ。

 まさか学校に持ってきたら駄目だってことを知らなかった?


 ――いやいや、そんなわけあるか。

 普通に考えて持ってきたら駄目だなんてこと子供でもわかる。

 それなのにどうして学校にペンタブレットを持ってきてるんだ。


「あの、なんでペンタブレットを持ってきたの……?」

「昨日見てもらってたのってメモ帳に描いてたから色とか塗ってなかったでしょ? ちゃんと仕上げた物を見て欲しかったの」


 春風さんはそう言うとペンタブレットの画面をスクロールしてイラストを見せてくる。

 それは、昨日見た物に色が付いたのではなく、初めて見るイラストだったことから過去絵だったんだと思う。

 だけど、彼女が見せたかったという気持ちがわかるほどに仕上げられたイラストは凄い。


 昨日の下書きとも言える段階のイラストでも凄かったけど、色が付き、光沢や影がついたものは本当に絵なのかと思うほどに立体感があって見入ってしまった。


 後、エロさも段違いに増している。


 この子、僕が男だとわかって投げやりになってるというか、吹っ切れてしまったんだね。

 もう知られているものは仕方ないという思い切りの良さが見えた。


「凄いね……プロのイラストレーターさんみたいだ……」

「ふふ」


 語彙のない褒め言葉だったけど、自然に出た言葉に対して春風さんは昨日のように細かく聞いてくるのではなく、とても嬉しそうに笑みを浮かべて僕の顔を見てきた。

 やっぱり春風さんは美少女だと思わされるくらいに綺麗で素敵な笑顔だ。


「春風さんは本当にこういうイラストが好きなんだね」

「むっ、それは心外」

「えっ?」

「私が好きなのはエッチなイラストを描くことじゃなくて、それを描いてチヤホヤしてもらうことなの」


 うん、この子は何を言ってるのかな?

 あれだけ昨日熱く語っておいて、どの口が言ってるのか凄く問いただしたい。

 ましてやチヤホヤしてもらうことって、この子はエロイラストに興味津々というのを誰にも言えなかったんじゃないのかな?

 口から出まかせを言ってるとしたらちょっと雑過ぎると思うよ。


「あっ、何その疑った目は? 本当のことよ?」

「そっかぁ」

「うっ、信じてないのがありありと伝わってくる」


 春風さんの言葉を笑顔で流すと、とても物言いたげな目を向けられてしまった。

 ジト目というのはこういうのを言うんだと思う。


「ちゃんと信じてるよ」


 春風さんが趣味全開でエロイラストを描いてるんだって事をね。


 まぁ最後の言葉はちゃんと呑み込んだけど。

 そんなことを言ってしまったら春風さんが悲しんでしまうだろうからね。


 まぁそれはそうと、描かれているイラストは全部エロイラストなんだけど……。

 さすがに普通のイラストもあるよね、と思って見ていただけにこれは驚きを隠せない。

 SNSで見かけるエロイラストを描くイラストレーターさんたちでさえ、普通のかわいい女の子を描いたりもするのにこの子の徹底ぶりはなんなのだろう?


 聞いてもいいのかな?

 でも、聞くことによって気にするかもしれないし……。


 僕はチラッと春風さんの顔を覗き見る。

 すると春風さんがジッと僕の顔を見つめていて、思いがけず視線が重なってしまう。

 だけど春風さんは僕から視線を逸らすことはなく、ジッと見つめられて照れ臭くなった僕のほうが視線を逸らした。

 この事からわかるように、昨日見せた恥ずかしいという感情は既に春風さんの中にはないようで、これなら聞いてみても問題はない気がする。


「えっと、どうして春風さんはエ――こういうイラストばかり描いてるの?」


 ちょっと直接的な表現は恥ずかしかったので言い直した。


「えっちなイラストしか描けないから」

「えっ? そんなはずは……だって、こんなにも女の子たちをかわいく描けてるんだよ?」


 エロイラストはどれも女の子がかわいく体のバランスもいい。

 これで普通のイラストが描けないなんて到底思えなかった。


「エロが関わってないとうまく想像ができないの。想像する事ができなければ描けないし、何より普通のイラストだとモチベーションが上がらない」

「そ、そんなことがあるの?」

「うん、ある。だから私はSNSでもアマのエロイラストレーターとして活動をしてる」


 そう言って春風さんが見せてきたのは、フォロワー六万人と書かれたアカウント。

 その事実に僕は驚きを隠せない。

読んで頂き、ありがとうございます!(*´▽`*)


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― 新着の感想 ―
[一言] エロマンガ先生かって。 体験を伴わない想像には限界があるから、色々体験させてあげるのだあ。 しかし、小説のノートはいずこ。
[一言] えっちなイラストしか描けないw あの島の名前でもあるイラストレーターでも、えっちイラスト好きでも普通の絵も描けるよw 思ったんですが、「エッチ」よりも「えっち」の方がかわいくありません?
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