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クール美少女の秘密な趣味を褒めたらめちゃくちゃなつかれた件  作者: ネコクロ
第2章「譲れないもの」

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59/62

第59話「お嬢様の正体」

新作

『負けヒロインの相手をしていたらいつの間にか付き合っていると勘違いされていたらしい』

を公開致しました!


男性にも女性にも楽しんで頂けることを目指したアオハル物になります!


後書きの下のタイトル名をクリックして頂けると作品に飛べますので、

楽しんで頂けますと幸いです(≧▽≦)

「笹川さんは今、そのチャンスを潰そうとされておられるのですよ? 本当にこのままでよろしいのですか?」


 僕の表情を見て何かを察したのか、不知火さんは一歩近づいてきて上目遣いで僕の顔を見上げてきた。

 優しい声で聞かれ、僕は自分が間違っているんじゃないかと思ってしまう。


 しかし、すぐに鈴花ちゃんの顔が脳裏に浮かび、僕は深呼吸をして自分の気持ちを落ち着かせた。


「どうして、不知火さんはそこまで僕に書籍化をさせたいのですか?」


 そして僕は、今一番気になっていることを聞く。

 わざわざ彼女がどうしてここまでして僕を書籍化させたいのか、その答えが未だに見えてこない。


 ただのおせっかい――というわけではないのだろう。


 不知火財閥のお嬢様ほどの人がそんなことをしている暇なんてないだろうし、わざわざ僕を探し出してまで声をかけてくるはずがない。

 何かしらの目的があって会いに来たのは目に見えているし、僕が書籍化すれば彼女に何かしらの利があると考えるべきだ。

 それがいったいなんなのかを僕は教えてほしかった。


「先程も申しましたが、とても素晴らしい才能を持たれた御方が、その才能を活かすチャンスをみすみす逃そうとなさっていらっしゃる。それを見逃すのはあまりにももったいないと思ったからですよ」

「それは建前ですよね? 本当は、何が狙いなのですか?」


 僕がそう聞くと、不知火さんの後ろに控えるかぐやちゃんが驚いたような表情をした。

 それに反して、不知火さんは楽しそうに頬を緩ませる。


 この二人の反応の違いはなんなのだろう?


「ふふ、そうですね。建前というほどではございませんが、確かにそれだけで私が笹川さんの元を訪れるかと聞かれますと、答えはNOです」

「では、どうして?」

「もちろん、笹川さんの睨んでいらっしゃる通り、他に目的があったからです。正直申し上げますと、《クラスメイトの素っ気ない銀髪美少女は、ただ甘え方が下手なかわいい女の子でした》の書籍化にも興味がございません」


 なんという手の平返し。

 あれほど書籍化を促しておきながら、彼女は僕たちが同人即売会に出した小説が書籍化しようがしまいがどうでもいいらしい。

 だったら、本当に何が目的なのか。


「私が本当に望んでいるのは、笹川さんに書き下ろしで小説を出版して頂くことです。来ていますよね、そのお話も?」


 不知火さんはニコッとかわいらしく笑うが、その目は笑っていなかった。

 試すような――そして、全てを見透かしているような自信に溢れている目で僕の顔を見つめてきている。


 やはりこの子には情報が筒抜けのようだ。

 いったいどういうコネがあるのか――それも、話していればわかるのだろう。


「どうして書き下ろしを出版することを望んでいらっしゃるんですか?」

「笹川さんにお声掛けをした編集者さんにあなたのことを紹介したのは、私だからですよ」


「えっ……?」


「私、こう見えても漫画家兼、イラストレーターなのです」

「えっ、えぇ!?」


 思わぬ暴露に僕は思わず大声をあげてしまう。

 お嬢様がラノベや漫画を読んでいることですら意外だったのに、まさか漫画家だなんて思わなかった。


 しかし、思い返してみれば不知火さんが僕の本を買いに来ていた時、かぐやちゃんが大量の本を捌いていたとか言っていた。

 あれは不知火さんが大量の本を買ってしまい、それの整理をかぐやちゃんが頑張ってやっていたというわけではなく、不知火さんが作った本をかぐやちゃんが売っていたということだったのか。


「ふふ、そんなに意外でしたか?」

「そりゃあ意外ですよ。お嬢様、見た目だけは清楚お嬢様ですからね」


「……かぐや、見た目だけとはどういうことでしょうか?」

「いえ、風か何かを聞き間違えたのではないでしょうか? かぐやは何も言っておりませんよ?」


 僕が驚いていると、何やらかぐやちゃんがまた不知火さんに余計なことを言ったみたいだ。

 それに対して不知火さんが反応すると、かぐやちゃんは素知らぬふりをして小首を傾げている。

 わざと聞こえるような声で言っているくせに、不知火さんが反応をしたら知らないふりをするなんて本当にこの子は凄い子だ。


「今日のおやつ、抜きにしますよ?」

「ごめんなさいお嬢様。笹川様のお恥ずかしい写真をまた入手致しますので、おやつ抜きは許してください」

「こらこらこらこら!」


 なぜか急に売られた僕は慌ててかぐやちゃんを止めに入る。

 というか、僕のコスプレ写真を不知火さんに提供したのはかぐやちゃんだったのか。

 あの場にいなかったはずのかぐやちゃんが入手できたってことは、もしかして僕のコスプレ写真はネットに流れているのか……?


 どうしよう、そうなると本当にまずいんだけど。


 僕の女装コスプレと、クール美少女で知られる鈴花ちゃんのコスプレ姿。

 そんなのを学校の人たちに見られたら僕はもう学校に来たくなくなる。

 鈴花ちゃんもああ見えて繊細な子だから、学校に来たくないと言い出すかもしれない。

 もしネットで流れているのならどうにかして消したいところだけど……。


「ふむ、笹川さんのお恥ずかしい画像……いいでしょう、それで先程の件は水に流して差し上げます」

「不知火さんも何話を進めているのですか! 恥ずかしい画像なんて駄目に決まってるでしょ!」


 僕が考えこんでいる間に不知火さんが頷いてしまったので、僕は慌てて再度止めに入った。


 この子、僕の弱味を握れるからって平然と取引材料にするところが恐ろしい。

 そして何より油断ならないのはかぐやちゃんだ。

 自分が困ったら平然と僕を売るところをみるに、今後容赦なく僕のことを犠牲にしそうだ。


「冗談ですよ、笹川さん。そのようなことは致しません」


 とても素敵な笑顔でそう言う不知火さんなのだけど、僕はこの笑顔に騙されては駄目だと自分に言い聞かせるのだった。

1巻素敵な感想をいっぱいもらえて嬉しいです!

これからもどうぞよろしくお願いいたします!


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