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クール美少女の秘密な趣味を褒めたらめちゃくちゃなつかれた件  作者: ネコクロ
第1章「クール美少女はただのかわいい女の子」
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第18話「逃げるクール美少女」

 朝登校していた僕は、いつもいるはずの女の子が通学路にいないことで少し戸惑っていた。

 彼女と知り合って以来例外なく毎日ここで僕のことを待っていたのに、今日はその姿が見えない。

 スマホで時計を確認してみてもいつも通りの時間。

 春風さんに限って想像しづらいけど、もしかして寝坊をしたのかな?


 とりあえず、僕は彼女の事を待ってみる。

 それから三十分ほど、色々な生徒が通ったものの春風さんの姿は見えなかった。


 これ以上待っていると遅刻してしまうから仕方がない。

 僕は待つことをやめて学校に向けて足を踏み出した。

 こうなるなら連絡先を交換していればよかったと思う。

 ここ最近ずっと一緒にいるのに、未だに僕たちは連絡先を交換していない。

 だから電話をかけて確認しようにも不可能なのだ。


 まぁ連絡先を交換していない理由は、ただ単に女の子相手に連絡先を聞くのが恥ずかしいからなのだけど。

 もし断られたらショックだし、嫌な顔をされてもショックを受ける。

 そう簡単に女の子に連絡先を聞けるような軽さは僕にはなかった。


 校内に入ってみると、部活終わりの生徒たちが丁度学校内に入るタイミングだったみたいだ。

 そして一人でいる僕を見てみんなヒソヒソと秘密話をする。

 何を言われているのかは聞き取れないけど、大体予想はついた。

 いつも一緒にいる春風さんがいないから、そのことに関して言われてるんだろう。

 僕は他の子たちの視線を気にするのはやめ、自分の教室へと急いだ。


 それから休み時間を迎え、昼休みを迎えたけど、結局春風さんは姿を現さなかった。

 もしかしたら休みなのかもしれない。

 そう思ったのだけど、クラスメイトたちが話している会話から聞こえたのは今日も春風さんはかわいいというような内容だった。


 つまり、彼女は学校に来ているようだ。

 風邪で休んでいるわけじゃなくてよかったと思うけど、どうして急に顔を出さなくなったのかが気になる。


 昨日、何か怒らせるようなことをしたかな?


 ………………うん、そういえば怒らせていたね。

 思いっ切り物言いたげな目を向けられたじゃないか。


 でも、あれだけでこなくなるほど怒るのかな?

 春風さんを完全に理解しているわけじゃないけど、昨日一緒に帰っていた様子とかを思い出してもそうだとは思えない。

 となると、他に理由があるのかもしれない。

 だけど、だったら何が原因なのだろう……。


 春風さんが急に僕の元にこなくなった理由がわからず、僕はモヤモヤとした気持ちを抱えながら午後の授業も受けることになった。


 そして迎えた放課後、一時間経っても春風さんの姿は見えない。


 う~ん、春風さんどうしたんだろうか。

 もうこの部室に来るつもりはないのかな?


 僕は小説を書きながら今の状況を少しつまらないと思っていた。

 というよりも、寂しいと感じてしまっている。

 ここ最近ずっと一緒にいたから、一人でいるこの広い空間が寂しく感じるんだ。


 どうしよう?

 今日は集中できていないし、もう切り上げて帰ったほうがいいかもしれない。


 うん、無理に書いてもいい話なんてできないし、今日はもう帰ろう。


 ――そう思ってパソコンを切ろうとした時、部室のドアが開けられるような音が聞こえた気がした。

 反射的に入口に目を向けてみると、ドアがほんの少しだけ小さく開かれている。

 そして、ソーッと覗き込むかのようにかわいらしい顔が隙間から見えた。


「何してるの、春風さん」


 バンッ――!


 声をかけた途端、思いっ切りドアを閉められる。

 うん、何をしているんだろうあの子は。


 とりあえず何がしたいのかわからなかったのでドアを開けてみる。

 すると、春風さんがドアの影に隠れるようにして立っていた。

 開いたドアで陰になるような位置に立っていたのは頭を使ったと思うけど、これで隠れたつもりなのかな?


「何してるの、春風さん」


 僕は先程と同じ言葉をもう一度春風さんに投げてみた。

 ちなみに、部室のドアと自分の体を使って逃げられないよう道は塞いでおいた。

 この子が何をしたいのかわからない以上今逃げられるのは困るからだ。


「普通、こういう時は慌てて部室を飛び出して追いかけるものじゃないかしら?」

「あぁ、だから見落とされるようにドアの影に隠れたんだ。ごめんね、春風さんだと走って逃げないだろうなぁって思ってたから慌てなかったよ」

「むぅ……」


 春風さんは不満そうに小さく頬を膨らませて僕の顔を見上げる。

 どうやら拗ねてしまったようだ。


 見逃して欲しかったんだろうな、とはわかるのだけど、どうして隠れようとしたのかがわからない以上見逃すわけにはいかない。


「どうして逃げたの?」

「逃げてない」


 あれを逃げてないというのは中々凄いな。

 こんなところで見栄なんて張らないでいいだろうに。


「とりあえず部室に入る?」

「んっ」


 このまま廊下で話していると注目を集めると思い提案してみると、意外にも素直に春風さんは頷いた。

 こんなにすんなり部室に入るんだったら本当になんで逃げたのか疑問でしかない。


 しかもいつもだったら僕の隣に椅子を持ってきて座るのに、なぜか今日に限っては端っこにある椅子に座ってるし。

 本当にどうしたんだろう?

 もしかして昨日のことで警戒してるのかな?


「どうしてそんなに遠くに座るの?」

「なんとなく」

「僕のことが怖い?」

「えっ? そ、そんなことはないけど……」


 うん、この反応はどうなのかな?

 言い淀んだけど、これは僕が急に変な質問をしたから戸惑っただけで、図星を突かれて動揺したというわけではないように見える。


 それに、僕が気にしていると捉えたのか、困ったように視線を彷徨わせた後少しだけ椅子を近付けてきたし。


 だけど、どうして少しだけなのか。

 もうどうせならいつも通り隣に来ればいいのに。


「隣にこないの?」

「……迷惑になるからいい」


「迷惑?」

「あまり近寄ると迷惑でしょ?」


 どういうことだろ?

 別に春風さんが傍に来て迷惑だなんて――最初の頃は少し困るとは思ってたかもしれないけど、最近は全く思っていない。

 それなのにどうして彼女は急にこんなことを気にするようになったんだろ?

 別に僕が態度に出したとかそういうことはないはずなのに。


「迷惑なわけないよ。春風さんと話すのは楽しいしさ」


 とりあえず僕は、若干拗ねたような――そして、何かに怯えているような目をした春風さんに笑顔で話し掛けてみた。

読んで頂き、ありがとうございます(*´▽`*)


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― 新着の感想 ―
[一言] なんか、野良猫をてなづけようとしている感じ… 寄りすぎると、逃げてっちゃう。 まあ、向こうの自意識過剰っぽいのが問題なんでしょうが
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