一輪の花は今日も可憐に咲きほこる
その一輪の花は今日も咲いている。
その一輪の花は血飛沫を浴びて今日も咲いている。
ここはライオード王国とシーティージ帝国国境付近のとある荒野だ。
ここでは毎日が地獄だ。
人は死に、血飛沫が舞うこの戦場に救いなんてない。
せめてもの救いはその死を見届けるものがあることである。
「右旋回ぃーーー!急げーー!」
今日も大隊長の指示が飛び、また血飛沫が舞う。
兵士の命なんて最初からないようなものだ。
なぜなら使い捨てだから。
英雄なんてこの戦場にはいない。
あるのはただ荒れ果てた荒野にジリジリと焼き付ける日の光と、
飛び交う指示と
響く絶命の音だけだ。
荒れ果てた荒野にぽつんと咲く一輪の花にまた血飛沫が飛んだ。
馬で踏み均された凸凹の大地に咲く花の周りは血飛沫だけで綺麗なままだ。
この地獄はいつになると終わるのか。
そんなことばかりを考える兵たちも本当は分かっていた。
この戦争が終わらないことに。
ただ酷い戦場が残るだけ…
あとは一輪の花が咲いている…
ただ美しいその花は戦場に合うようなものではなかった。
赤黒い花のグラデーションは仲間の色と敵の色が
混ざり、混沌とした花はとても美しい花だった。
そして、明日も
明後日も明明後日も
この一輪の花は咲く
可憐に
美しく
どうだったでしょうか?
ちょっと伏線とか入れて連載してみたいと思ったけどこれはこれでアリではと短編小説として書きました。
というか、このあと思いつかない…