判官びいき
先日、2025年に開催予定の大阪万博のロゴマークが決定した。不規則な大きさと形の円が数珠状に繋がり、所々に目玉が付いているそのロゴマークは、「いのちの輝き」を表現しているという。
私はこのロゴマークを見ても特に嫌悪感を示さなかった。フォルムそのものは普通に海洋生物にいそうである。少し冷たい水域の海底に生えていて、小さなエビやハゼが隠れ家にしている姿が目に浮かぶ。目玉が付いているデザインも「けものフレンズ」のセルリアンのようで可愛らしい。ずば抜けて優れたデザインではないものの、取り立てて話題にするようなものではないと思ったのだ。
ところが世間の反応は違った。「気持ち悪い」という意見が圧倒的に多く、人体実験のなれの果てだとか、寄生生物みたいだとか、散々な言われようであった。さらに一昔前の成人向けゲームなど、普段はお目にかからないワードがトレンドに上がるなどのお祭り騒ぎとなった。
私は基本的に逆張り気質である。そのため、あんまりな扱いを受けているいのちの輝きくんに対する同情心と、弄っている連中への怒りがムクムクとわき上がってきた。以下の言動はこじつけと私怨にとらわれた滅茶苦茶な文章なので、話半分に聞いて下さい。
まず、大して気持ち悪くもないものを大げさに誇張してイジる、という行為はイジメのそれである。小学校の頃、少し匂いが気になるというだけの同級生に対して「〇〇に触れると〇〇菌が伝染るぞ!」と言っていた輩がいたが、いのちの輝きくんに対する扱いもそれと同じなのではないだろうか。ツイッターユーザーは元あるいは現役のいじめられっ子が多そうだが、立場が変われば平気でイジメを行う側に立ってしまうのだ。
そしてトレンドに沢山上がったアングラなワードを見て、「これこそがツイッターだ!」とはしゃいでいるユーザーもおぞましかった。輝きくんより何百倍もおぞましい。異端なワードが上がる異端なサービス、それを利用している俺も異端だ!という所だろうか。やっていることが平凡なイジメだから異端もクソもないだろうに。異端というより痛々しいぞ。
さらに私が絶望したのは、こうしたイジリをツイッター運営がまとめていたことである。しかもサブタイトルに「ツイッターならでは」と載せて、だ。担任教師がイジメを見て見ぬフリすることはよくあることだが、イジメに加担するのはかなり珍しいだろう。しかもこの場合は、「わが校のウリは生徒達の笑顔です!」のノリで「わが校のウリはイジメです!」と大々的に発表しているに等しい。漫画に出てくるどんなヤンキー校でも、ここまでヒドいのはそうそういないだろう。事実は小説よりも、漫画よりも奇なり。
と、散々怒りを吐き出してきたが、良心的なユーザーが可愛いファンアートを描いてくれたりしている。世の中悪いひとばかりではないのだ。輝きくんの未来に幸あれ。