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千姫の思い
幸村は大阪城の廊下を歩いていた。
前方から、秀頼の正室、千姫がやってきた。
「おはようございます。」
「・・・幸村。」
「何でございましょう?」
「私の祖父は、それほど悪いお人ですか?」
「・・・がまん強い、かしこい方だと存じますが。」
「うそをつくなっ!大阪城にいる皆が思っている。徳川は逆賊、と。」
「・・・」
「そなたもそうであろう。安心せい、恨みはせぬ。」
「確かに、家康殿のやり方には不満を感じております。」
「ふっ、やっぱり。私の祖父は間違っている。あなたたちの言うように。」
「ただ。」
「・・・ただ?」
「千姫様は戦とは無縁、何も罪はございませぬ。」
「・・・武運を祈る。」
「はっ。」
千姫は自分の部屋に戻った。