真田への密書
1600年、関ヶ原の戦いに勝利した徳川家康は、一気に力をのばし、豊臣を追い詰める。
淀殿は家康に危機感を抱くが、ついに家康は豊臣の本拠地、大阪城に攻め入った。
淀殿は関ヶ原の浪人たちを集めるが、多勢に無勢だった。
「母上、どうしましょう?このままでは負けてしまい・・・」
「お黙りっ!!」
淀殿は秀頼を叱りつけた。
「母上・・・」
「大将たるもの負けるなどということは考えてはいけません。まあ、勝つ見込みがないことは確かですが。」
「なら、どうすれば勝てるのですか?」
「真田に出陣を要請するのです。関ヶ原の戦いで秀忠率いる大軍を、1万にも満たぬ兵で追い返したのじゃ。真田に、密書を送り、味方につければもう我らの勝ちは揺るぎなしじゃ。」
淀殿は真田の力を完全に信じていた。
しかし・・・
「何、断るだと!?なにゆえじゃ!」
「徳川には兄がついているので、もう争いごとには参加したくないということだそうです。」
「知るか!秀吉様が作ったこの城を、徳川に渡すなど嫌じゃっ!今一度、真田に密書を送れ!」
淀殿は焦っていた。この上なく焦っていた。
(これ以上、大切な人々が去ってゆくのは嫌じゃ)
そして、何度も密書を送り続けた結果・・・
「そうか、引き受けてくれるのか。」
淀殿は全身に汗をかいていた。
「母上、戦のことは我らに任せてください。必ずや、勝ってみせます。」
「頼むぞ、秀頼。」
真田は大阪城に入城し、秀頼に頭を下げた。
(これで、秀頼の身は安心ね)
淀殿は安心した。