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待合室

キーワード「待合室」

ほぼ会話しかありません。

「バス、行っちゃったよ?」


「――あぁ」


「次のバスで行くの?」


「――あぁ」


「……好きな色は?」


「――あぁ」


「はぁ。こりゃダメかな。えいっ」


「いって――何すんだよ」


「だって隆史、聞いてないんだもん」


「うるせぇな。そのお団子頭、引っこ抜くぞ」


「やーよ。ほんっと、私にだけ強気なんだから」


「うるせーな」


「はぁ。全く。次のバスでちゃんと追いかけなよ? まだ間に合うでしょ?」


「――あぁ」


「何でこの話題になると急に『あぁ』とか恰好付けるの? ダサいよ?」


「――本当にうるせぇ」


「そんなツンツンの茶髪にして不良ぶってみても、中身は昔と変わらないまんまだね」


「――昔の事はいいだろ」


「可愛く無いね」


千恵里ちえりに言われたくねーよ」


「何おう? 私はこれでも、今年の高校生ミスコン最終選考までいったんだぞ」


「そりゃ知ってるけど、可愛くねー」


「ま、隆史が可愛いから良いか」


「俺は可愛くねーよ」


「うぷぷ。お姉さんからすれば可愛いの」


「同い年だろうが」


「私の方が誕生日早いし」


「二日だけだろうがよ」


「それでも学年は一個上なんですぅ」


「言ってろバーカ」


「……バカは隆史でしょ」


「あ?」


「何でも無い。ねぇ隆史」


「あんだよ」


水穂みずほちゃん、待ってるだろうから……ちゃんと行ってあげるんだよ?」


「……分かってるよ」


「ワザとバス逃したくせに」


「うるせーな」


「そんな風に臆病な事してると、水穂ちゃん、あっちで男作っちゃうかもよ?」


「……うるせぇな」


「ちゃんと気持ち、伝えるんだよ?」


「……分かってるよ」


「なら良いんだけど」


「なぁ千恵里」


「何?」


「お前のお節介、感謝してるよ」


「……急にどうしたの? 調子狂うなぁ」


「別に。ただ思った事を言っただけだ」


「そう……」


「……」


「……」


「俺さ、絶対告白してくる」


「おぉ。その意気だよ、隆史」


「だからさ――いや……何でもねぇ」


「ふふふ。大丈夫だよ。ちゃんと待ってるから、砕け散ってきなよ」


「する前から不安を煽るんじゃねぇよ」


「あはっ。ごめんごめん――でも、大丈夫だよ。隆史ならさ」


「――おう」


「一年間、楽しかったね。隆史と水穂ちゃんと、時々私。学校帰りのカラオケとか、買い物とか、他愛無い事だったけどさ」


「おう。ってか、時々じゃなくて殆ど毎回居たじゃねぇか、千恵里さんよ」


「あははっ。そうだっけ? おっかしぃな、空気読んでたはずなんだけどなぁ」


「ったく。今年は受験なんだから、遊んでんじゃねーぞ?」


「分かってるよ。水穂ちゃんも居なくなっちゃうんだし――あ、ごめん」


「――いや、良いよ。確かに水穂は転校しちまうけど、大学は同じ所を受けるつもりらしいからな」


「志望校変わるかも――ってまた……ごめん」


「いちいち謝んな、バカ」


「うん、ごめん」


「はぁ……それに、変わんねぇよ。アイツ、一度決めたら曲げねぇからな」


「――そうだね。そうだったね」


「だから、俺も曲げねぇし、気持ちだけは必ず伝えてくる」


「――うん」


「お、バス来たみたいだ。行ってくる」


「――隆史!」


「あ? 何だよ?」


「その――必ず水穂ちゃんの気持ち、捕まえて来いよっ!」


「バーカ。言われるまでも無ぇよ」


「……」


「じゃあな」


「――うん」



 はぁ……私、これで良かったのかな? うん、良かったんだよね

 ――失敗しちゃえばって少し思っちゃった私は、最低だよね


「――ひっく。うく」


 頑張れ隆史……頑張れ私……

 隆史の告白が、上手くいきますように……

 隆史とまた、笑顔で向き合えますように……

会話だけでやるのって難しいですね。

でも、楽しかったです。

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