冒険者な一日2
「ふぎゃー」
「あはは、ヴァイオレット飛びすぎ、生きてるー?」
「お嬢、ごめん」
私は前に飛び出したまではよかったと思う、レキの初撃を避け接近もできた。
そのまま勢いの無いはずの二撃目を押さえ込むはずが私は吹き飛ばされた、何を言ってるか自分でもよくわかんない。
「もー、なんであそこから私の方が力負けするんですか」
「あはははは、バカねえコイツの馬鹿力に小手先の技術なんか効かないわよ」
「お嬢、強かった」
「レキの方が強いですよ」
てか私の身体無事だよね?腕付いてる?ああ、無事だ、よかった。
「あら?ちょっと擦りむいただけね『ヒーリング』」
「どうもありがとうございますクーシャ」
クーシャが怪我を治してくれるから家族にバレないんだよね、まあ、治せるからってスパルタなのはちょっと内心ドS猫って呼んでるけど。
「万全じゃないとやりがいが無いじゃ無い」
「お手柔らかに」
ドS猫様が笑ってらっしゃる、うひぃ悪い顔だね、何考えてるんだか。
「始め、始めっ」
「一回でいいわよ、まったく」
気の抜けるレキの声でクーシャとの訓練が始まる、クーシャはリラックスした感じでレキに一言言ってるけどなんか今攻めたら危なそう、少し牽制しよう。
「『ウィンドニードル』」
足元に風の針を飛ばす、ばら蒔いたら少しは牽制に。
「勘がよくなってきたわね『シャドウハンド』」
クーシャの影から黒い手が何本も生えて伸びてくる、針は簡単に霧散しちゃったよ、てかそれ狡い、前使わなかったじゃん。
「おさわりはいけませんよ『ライトボール』」
光の玉を飛ばす単純な魔法、影だからたぶん……、うんやっぱり光で弱まるね。
弱った黒い手を切り払い私は前進する、今日は一本取っちゃうよ。
「やるじゃない『シャドウハンド』」
また影から手が……出ない、え?
「キャッ」
足を掴まれた、うわー、私の影からも出るんだ、狡いわー。
「残念だったわね」
「クーシャ、焦ってた」
「焦って無いわよ」
「もう、いやらしいですね、クーシャは」
その影の手でおさわりするんでしょう、セクハラだよ、私にも教えてよ。
「ヴァイオレットが小賢しい手を使うからでしょう、ほら」
「くふっ、あはは、く、クーシャ、やめな、ははははは」
くそう、私を擽るなー、私が擽りたいのに、あっ、お尻は防具付いてないってば。
「もう、クーシャはいやらしいんですから」
「なによ、私が本気ならヴァイオレットは穴だらけなんだからね」
むう、否定できない、私の影からとか予想できないもん、掴んだらやりたい放題だし。
「お嬢、強くなってる」
「そうでしょうか?」
「私ら以外とやったらわかるわよ」
あぁ、それはりゅーくんでやったから大丈夫、ちょっと酷かったかもね。
「それでは依頼を受けましょうか」
「そおねえ、ヴァイオレット貧乏だから稼がないと」
「ち、違います、私のお金が無いからです」
パパもお姉様も頑張ってるんだよ、さすがに孤児院買って貰うのが限界だっただけで。
寄付だけじゃ足んないんだもん、もっと服とか冬に備えて毛布とか必要なんだから。
「ハイハイ、行くわよー」
「行こう、行こう」
「もう、わかりました」
さて、頑張ろう。
依頼を受けるって言ったけど、私は日帰りしかできないから近くの森で魔物を狩るしか基本やってない。
あと、一人でも行かない、一人は危ないからね、できたらもう二、三人いたらいいんだけどなかなかね、レキやクーシャみたいに信用できる人はねー、まともな人はもう固定メンバーだし、私を小娘って近付く様な人はお断りをしたし……。
ま、レキとクーシャに混ぜてもらえるだけでも感謝だね。
「何考えてんのよヴァイオレット」
「クーシャが可愛らしいなと」
「ふん、そういう奴らは信用できないわ」
「ええ、私も」
まあこの二人に他のメンバーがいないのもクーシャがこんなだからかも知んないね。
「きた、きたっ」
「殺るわよ」
「ええ……」
現れたのはオーク、女性の敵としてのイメージが強いが肥満した巨体がその豪腕を振り回すのだからだれでも危険だと思う。
数匹から多いと百匹くらいの群れを作るから討伐が推奨されてて、死体もギルドが買ってくれる、重いからよく放置されてるけど。
街から遠く無いのにオークがいる、万が一街に入ったらと考えるだけでもゾッとしちゃうね。
「いきます」
「フォローしたげるわ」
私は迫るオークの腹にに剣を突き立てる、そのままズプリと押し込み。
「『スタンがん』っ……」
白い稲光の様な電撃をオークの内部に叩き込んだ、ほんのり豚肉が焼ける様な匂いがする。
「ふう、やりました」
「やりましたじゃないわよヴァイオレット、どんだけ突貫すんのよ」
「非力なもので」
怒られた、げせぬ。
「効かなかったら潰されてたわよ、考えなさいよヴァイオレットはまったく」
「はい……」
お説教終わんないよー、私頑張ったじゃん。
「お腹空いた」
レキがグゥとお腹を鳴らしながら一言言うまで私はクーシャに小言を言われてた。
交代で軽食を取り、私らは探索を続ける、オークは私が『キャスたー』で引っ張ってるよ、私非力って言ったよね?
「しかしヴァイオレット、さっきの魔法なら私に勝てたんじゃ無いの?」
「あれは手加減ができませんから」
「生意気ね」
「それにクーシャの綺麗な髪がチリチリになってしまいますよ」
「なっ、やめなさいよね」
「しませんよ」
手加減がいらない相手には使うけど酷い有り様になるからね、まあ何故か得意な魔法になっちゃってるけど。
それから小型の魔物が何体か襲って来た、レキは簡単に両断し、クーシャは訓練には使わなかったダガーで首を跳ねた、二人共容赦無いね。
討伐した魔物はドンドン私が運ぶオークに積まれる狼が、兎が、芋虫や蜂まで……虫は嫌なんだけどなー。
「そろそろ帰るわよ」
「うん」
「……ええ」
「ヴァイオレットがいると楽ね」
そりゃどうも、よく荷物は引いてるけどさー、もうちょいなんか気遣いとか無いのかな?無いね、レキとか欠伸してるし。
まあ、大半の報酬くれるからいいんだけど、さて、換金換金、報酬いくらかな?




