気まづい一日3
「ふむ…………」
あ、なんかりゅーくん怖い感じになってる、お姉ちゃんが貶されて怒ってくれたの?
「リュシオネル様、ご理解いただけましたか、その女は近付くだけでも害悪です」
凄い言われようだね、そんなにりゅーくんの穴が、いやいや、たぶん私が目障りなんだろうけど。
「何かしたのかヴァイオレット」
「いいえ、婚約の時すら顔を会わせませんでしたから」
「そうか…………」
実際数回だよね、こっちから挨拶してもスルーされてたし、ただそこまで嫌われる理由わかんないよね。
「待たせたなヴァイオレット、相手を」
あ、ギリスは無視するんだね、まあ関わっても時間の無駄だよねただ私睨まれてるんですけど。
「リュシオネル様私がお相手します、こんな女に何ができるのですか」
まあ、私はちょっと訓練には向いてないとは思うけどさ、とりあえずどうしよう?
「お前では相手にならん」
「な……、お試しいただければ答えてみせます」
大変だねりゅーくん、ギリスがりゅーくんを狙ってジリジリ近付こうとしてるよ。
ハッ…………試して欲しいってまさか、受け身なの?そんな、りゅーくんのが欲しいだなんて、やめて、弟のりゅーくんに何させようとするの。
「わかった」
「リュシオネル様」
りゅーくんやめてばっちいから。
「おお、流石はリュシオネル様、では早速」
むう、ギリスが地味に剣をフリフリと牽制してくるから本能的に距離をとっちゃう、りゅーくん大丈夫かな、変な趣味には目覚めないでほしいんだけど。
「ヴァイオレット、大丈夫ですか?」
険悪な雰囲気にルネスが来てくれた、まあ来てくれて悪いけど止めるのは無理そうなんだよね。
「まだやるのか?」
手を打ち付けられ模擬剣を取り落としたギリスにりゅーくんは言い放つ、格好いいね。
「……リュシオネル様はお強いです、しかしまだ負けてはおりません」
いや、無手にされて何言ってるの?
「『ウィンドブリット』」
風の礫がりゅーくんに襲い掛かる、魔法使い出したね、りゅーくんは距離を取って避けギリスは模擬剣を拾い得意顔、いや、普通剣を落とされた時点で手が無いからね。
「さあ、振り出しですリュシオネル様」
嬉々としてりゅーくんの相手をしようとするギリス、あれ?まさか打ちのめされて喜んでる?
「ヴァイオレットを巡る争いですね」
ルネス、それは絶対違うからね、次言ったら着替える時好き放題しちゃうよ。
「ルネス、アレはリュシオネル様を欲しがっているのですよ」
「へ?同性ですよね?」
「ハルプと付き合うからと婚約を破棄したのですよ」
「な…………リュシオネル様とギリスが、うふ」
「ルネス?」
ちょっとルネス?何で笑ったの?
「い、いえ、ヴァイオレットにライバル出現ですね」
いや、それは無いかなー。
「ふむ、それだけか?」
「突然の魔法にも動揺されないとは、リュシオネル様はお強い」
うわ、りゅーくん不機嫌になってるよ、まあ、気持ち悪いくらいヨイショされてるもんね、てかもう妄想でいただかれてるんじゃないの?
なんかギリスのりゅーくんを見る目がいやらしいよね。
付き合いが切れてホントに良かったよ。
ギリスはそれからりゅーくんにボコボコにされた、やられながらも食い下がるゾンビみたいな姿勢にりゅーくんを求める執念を感じたね。
「ふん、時間を無駄にした、ヴァイオレット、待たせたな」
「え、ええ、よいのでしょうか?」
空気がまた気不味いよ、必要以上に目立ってるんですけど。
ギリスなんか親の敵を見るような視線を向けてくるし、やりにくいなあ。
「リュシオネル様」
「なんだ」
「リュシオネル様は実戦的な訓練がされたいのですよね?」
私はりゅーくんに近寄り耳元で聞く、ん?なんかりゅーくん耳赤くない?やっぱ疲れてる?
「あ、ああ……」
「機会をご用意しますので学園の実技で組むのは止めにしませんか?その、今日のような事になると目立ってしまいますから」
「む……」
ちょっとむくれるりゅーくん可愛い。
「……本当だろうな?」
「明日のお休みに、お迎えはどちらに参りましょうか?」
「いらん、こちらから行く」
…………今の気不味さから言っちゃったけどりゅーくんをギルドに連れてって大丈夫かな?
あと、レキはともかくクーシャがねー、許可も取って無いし、んー。
「約束だぞ」
悩んでたらそう言ってりゅーくんが行っちゃった、大丈夫だよね?
「ヴァイオレット、ヴァイオレット」
そこにルネスが興奮しながらやってくる、ニヤニヤしてすんごい顔になってるから、ちょっと鼻息荒いって。
「なんですかルネス」
「コソコソと何を囁いていたのですか?」
「目立つから訓練は別の機会を用意すると言っただけですよ」
またギリスみたいなのが絡んで来たらやだし。
「まあ、まあまあまあ、うふふふふふ…………」
ルネス?何でそんな興奮してるんですか?訓練に行くだけですよー。
「る、ルネス?」
「ヴァイオレットったら積極的なんですから、あ、戻りませんと、うふふふふふ…………」
なんかルネスは勘違いしたまま戻って行った。
そして私は一人ポツンと残され気が付く、ボッチになったね……。
その後、ルネスと一部からのニマニマした視線以外は平穏無事に過ごし一日が終わった。
その夜。
「お、お嬢様、なんで今日もなんですかー」
「クミッツが逃げたのはそんなに簡単には許されませんよ」
「ミネアさんが怖いんですよー」
「知りません」
今日のストレスはクミッツのカチカチお腹をサワサワして癒すのだった。




