雨の一日4
本日の授業も終わり帰り道を私は一人テクテクと歩く、いまだにしとしと雨が降るが、風の魔法を纏い傘要らず、私の回りだけ雨が避けてる感じだね、そのせいで私にぶつかったら跳ね返ると思う。
さて、それはいいんだけどこの前のみたいに気配が一つ私を追い掛けてくる、無意識にりゅーくんかと思っちゃうのはダメだね、警戒しないと、人気が無い場所まで誘導しよう、返り討ちだね、ふんすふんす。
裏路地的な突き当たりで待ち伏せ気配の主を出迎える…………。
「……あの、リュシオネル様何をしているのですか?」
りゅーくん何してんの?もしかして襲いに来たの?できたらもうちょいムーディーにお願いしたいんですが。
「ぐ、偶然だな」
「ご用でしたらお呼びいただければよろしいでしょうに」
「ヴァイオレットの邪魔をしたくは無いのでな」
いや、後ろをこっそり付いてきたら警戒してこうなるからね、待ち伏せしてたんだから。
「それで、リュシオネル様ご用は」
「差し当たりヴァイオレットが現状纏う雨避けが気になるな」
ん?あー、りゅーくん雨に濡れてんじゃん風邪ひいちゃうよ、もう傘くらい用意しなよ。
「リュシオネル様、お傘は?」
「あるぞ」
「どうしてお使いにならないのですか」
もう、結構濡れちゃってるし、どうすんのよもー。
「ヴァイオレットの真似をしていたんだが上手くいかん」
私か、私のせいですか、てかりゅーくん考えてやってよ。
「…………その……濡れたお身体は冷えませんか?」
「ふむ、少し」
あー、もう連れて帰るしか無いかな、りゅーくん連れてって誘拐とか言われないよね?
今日は確かお父様とお姉様は遅かったはずだから、うー、仕方無い。
「リュシオネル様、我が家で乾かしていかれませんか?」
「む……いいのか?」
「お風邪になられたら私が責を問われてしまいます」
なんかルネスとかロベリー先生がマークしてる気がするから基本的に平常運転で行かなきゃ、後日りゅーくんが風邪とかだと疑われちゃうよ。
なんとか説得してりゅーくんを連れ我が家へ、最初の関門は門番のタギーだね。
「お帰りなさいませお嬢」
「ご苦労様タギー」
「なんでお嬢は伸ばすんで?それよりそちらの方は?」
だよねー、警戒心マシマシだよねー、まあタギーは誤魔化してもしょうがないから味方に付けよう。
「こちらはリュシオネル・ルーナ様、第二王子殿下です、失礼は私もろともに首が跳びますよ」
「おい」
「ひ、ひぃどうかご慈悲を」
「何故かお濡れになられていたリュシオネル様をお見掛けしたので休んでいただくのです、わかりますね」
「へ、へい、どうぞお通りを、この事は墓の下まで持ち込みます」
タギーノリがいいよね、いい感じな演技だよ、ちょっと半泣きなのも完璧だね。
「さあ、リュシオネル様参りましょう」
「強引だな」
「真実を言っただけですわ」
絶対に顔を会わせる相手なんだから仕方無いよ、大丈夫大丈夫、一番の問題はねー。
「お帰りなさいませヴァイオレットお嬢様」
「ええ、ミネア戻りました、お父様とお姉様はまだかしら」
「はい、本日は夜半を過ぎるでしょうから、ご紹介は後日にいたしましょう」
おお、ミネアがりゅーくん睨んでる、うひぃ怖くて辺りが凍っちゃいそうだよ、てか王子殿下だからミネアやめて。
「み、ミネア?」
「お嬢様、見定めておりますのでしばし」
「リュシオネル様は雨に濡れておりますからお風呂を用意しなさい」
冷えちゃうからね、てかそろそろりゅーくんを許したげてよ、黙りになっちゃったじゃん。
「ヴァイオレットお嬢様の為にご用意しております」
「そうですかではリュシオネル様ご案内します」
「お嬢様私にお任せを」
「よいのですミネア、ミネアは何か温かい飲み物を準備しておいて」
「……畏まりました」
…………さ、さて、ミネアも行ったし、りゅーくん大丈夫かな?怒ってない?
「りゅ、リュシオネル様……」
「キモが冷えた心地だ、あんな視線を浴びせる者がいるのだな」
「申し訳ございません、なにとぞ」
「なかなか新鮮な経験ができた」
ああ、りゅーくん懐が深いよ、いい子でよかった、あと今日からミネア抱き枕はやめにしよう、さすがにお客様相手にあの反応は無いからね。
「しかしカレイド邸は使用人と会話をするのだな」
「はい、その方がよろしいと思いませんか?」
「どうだろうな、万人には受け入れられないだろう」
まあ、普通使用人は家具だもんね、ミネアもなかなか喋ってくんなかったし。
りゅーくんはこんな関係どう思うかなー?とか思ってたらお風呂に着いた、クミッツが待機してるね。
「お、お帰りなさいませお嬢様、そちらは……」
さて、クミッツはどうしよう、王子殿下ってバラしたら逃げちゃいそうだし、普通にお願いしてみる?
「クミッツ、こちらはリュシオネル様です、雨に濡れられていましたのでお連れしました、お世話を頼めますか?」
「リュシオネル様ですか、リュシオネル様?何処かで聞いた覚えが……」
え?クミッツ知ってんの?まさかねー、クミッツが王子殿下の顔はもとより名前なんか知ってるわけ……。
「た、確か第二王子様、ひ、ひぃ、し、失礼しました、誰にも言いませんからー」
クミッツは逃げて行った、えー、どうしろっていうのよ。
まあ、私がやるしかないよね、ちょうど簡素な服だし、まあ仕方無いか、ちょっとりゅーくんが裸になるだけだよ。
「りゅ、リュシオネル様どうぞ」
「あ、ああ……」
「お召し物はこちらに」
りゅーくんが服を脱ぐ衣擦れに私は顔が赤くなるのだった。




