雨の一日1
「はぁ…………」
学園にてルネスが儚げにため息を吐いている、しとしとと雨が降り注ぐこの暗い天気よりも暗い顔してるね。
「ルネス、どうしました?」
「ヴァイオレット……なんとなく雨が憂鬱でして」
えー、なんとなくでそれくらいでそんな顔してるのよ?婚約者が冷たいとかもっと切実かと思ったのに。
「ルネスは感傷的ですね、雨は恵みですよ、植物に雨は必要ですし、雨が降らねばこれからの夏に干からびてしまいます」
そういや孤児院の畑ももうすぐ夏野菜が収穫だよね。
「ヴァイオレットは雨でも楽しめるのですね、羨ましい」
いや、べつに濡れるのはやだよ。てか内容無視されたね、ルネスには興味無いか、そだよね。
「あら?ヴァイオレット、リュシオネル様が見ていますよ」
ふうん、しっとりと服が貼り付いたルネスの身体に目を付けるなんて……、りゅーくんわかってるね。
「少しご挨拶に参りましょうかルネス」
「い、いえ、私なんか恐れ多いです」
ありゃ、ルネス来ないのか、まあ無視するのは身分的に失礼過ぎるからちょっと行ってこよう。
「ごきげんようリュシオネル様」
「ああ、ヴァイオレット、少し耳にしたのだが婚約を破棄したそうだな」
ん?私一方的に破棄されたんだけど?…………ああ、身分的に私が悪い事で広まっちゃうんだね、やだやだ。
「どうやら私ではお気に入りにならなかったようです、ご趣味では無かったのでしょう」
「ふむ、少し聞いてもいいか?」
「はい、先日…………」
一方的に破棄されか事を伝えたよ。
「ふん、ろくでも無いな、しばらくすれば収まるだろう気にするな」
「いえ、私としましても女装した男性がお好きな方とは二度と関わりたくございませんので気にもしておりません」
せっかくだから私もりゅーくんにバラしちゃお、りゅーくんも狙われ無いように気を付けてね。
「な、なんだと……間違いでは……」
「いえ、その場でハルプを連れ親し気にしておりましたから」
りゅーくんショックだよね、まあ噂だと結構そっちの人いるらしいけどね、学生から目覚めるとかキツいわー。
「……風聞は正確では無いのだな」
「間に人が入ると虚偽や忘却がどうしても混じるものですよ」
「ふむ、勉強になる、ヴァイオレットは何処でそのような事を学ぶ?」
りゅーくんそんなに私の事気になるの?
「ふふっ、リュシオネル様は婚約破棄されるような私に興味があるのですか?」
「む……悪いか?」
んふふ、りゅーくん正直だね、下着とか胸元に興味があるだけじゃ無いんだね。
「そうですか、あら、次の授業ですね、リュシオネル様またにしましょう」
カーンと鐘の音が響き授業の為生徒が移動する、りゅーくんも遅れないようにね。
「ヴァイオレット、リュシオネル様とどうしてあんなに親しげなんですか?」
「そうでしょうか?」
「先日何かありましたね?」
「さて?ほらルネス、授業が始まりますよ」
ルネスも好きだねこういう話し、ちょっと喋ってただけじゃん、ルネスも来てたら普通に相手してくれたと思うよ。
さて、授業授業と、今日はロベリー先生の宮廷マナーだね、ロベリー先生解りやすいから好きなんだよね。
「今日はお茶会のマナーをいたしましょう」
ロベリー先生は何人かメイドさんを引き連れやってきた、本物の紅茶を用意しているのか華やかな薫りが部屋に充満して外の雨模様を忘れさせてくれる。
「ルネス今日は楽しそうですね」
「ヴァイオレット、静かにしないとまた」
「ヴァイオレット様、興味津々なご様子ですのでお手伝いしていただきましょう」
あー、ちょっと喋っただけじゃん、なんで?マークされてるの?
「ヴァイオレット様、前にお願いします」
「はい……」
この前に呼ばれるのが恥ずかしい、ちょっと早足になっちゃうよ。
でも紅茶の薫りが強くなってちょっと気分はよくなるね、さて、私は何すんのかな?
「ヴァイオレット様もう少しゆっくりお歩き下さい、優雅に見えませんよ」
「はい、気を付けます、それでロベリー先生私は何をお手伝いするのでしょうか?」
自慢じゃん無いけどマナーとか全然わかんないんだからね、よくお姉様に怒られるんだから。
「お茶会は招く方と招かれる方がいます、ヴァイオレット様は皆様を招いてください、本日はヴァイオレット様のお茶会にございます」
…………ん?あの?ちょっと大役過ぎませんかね?あっちにいるりゅーくんとか身分的にも招き放題じゃないですかね。
「とは言いましたが全員のお相手は時間が足りませんので皆様への見本としてヴァイオレット様とルネス様で一番にお茶会を開いていただきます」
「え?」
私だけ呼ばれて安心してたルネスはキョトンとした顔になった。
ふふん、ルネスったら私だけ呼ばれたから油断してたんだね、ロベリー先生ったらしっかり見てるんだから。
「ロベリー先生まずは何をしたらいいでしょう」
観念したルネスも前に来たけどまだ説明が無い、ロベリー先生は少し考えてるみたいだね。
「少々お待ちを、畏れ入りますがリュシオネル殿下もご参加いただけませんか?」
「ふむ、構わん」
おや?りゅーくんも参加すんの?……ルネスあからさまに動揺しないでよりゅーくんの眉毛ピクッてしたよ。
「リュシオネル様無作法者ですがよろしくお願いします」
ホントに教養ゼロだかんね、そんな好奇の視線送ったって何も出ないんだから。
「ああ、学びの席だ気にする事は無い」
「ふふふ、感謝いたします」
「だが、そいつは大丈夫か?」
りゅーくんはガチガチのルネスを見ながらそう言った。
もう、ルネスったらちょっと緊張し過ぎだよ。
始まる前から私は不安になるのだった。
「ルネス、ルネス、始まりますよ、大丈夫ですか?」
「う、ヴァイオレット、わ、私、リュシオネル様にご無礼を働いたらどうしましょう」
いや、ご無礼しない様に今から練習するんでしょ、だいたい私なんか目の前で苦い顔したりスカートの中見られたりもう散々だったんだからね。
「ルネス、今は失敗する時ですよ、お茶を溢さなければ大丈夫ですよ」
「そ、そうでしょうか?」
「ヴァイオレット様、勝手に評価の基準を作らないでください、もちろんお茶を溢せば井戸の底の様な評価になりますが」
ロベリー先生の言葉でルネスはまたガチガチに緊張するのであった、まあルネスには頑張ってもらおう。




