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婚約破棄された一日1

 春も過ぎ去り夏が迫る今日この頃、珍しくしとしと降り続いていた雨が今日に限っては快晴だ、何かいいことありそう。


 そんな中婚約者に呼び出され学園の中庭で私は……。


「貴様との婚約は解消する、消えろ」

 なんか言われてるね…………、私との婚約解消をドヤ顔でのたまう彼はギリス。


 王位継承権第十八番目くらいの侯爵家の長男、親の都合で去年辺りに婚約したきりほとんど顔も見てない間がらだった、ちなみに私は伯爵令嬢ね。


「承りました、失礼致しますギリス様」

 やばっ家名忘れちゃったよ、バレて無い?あ、なんか連れの女性とイチャイチャしてるや、バレ無いうちににーげよっと。


「ご機嫌よう」


 私は無事に逃走できた。


 ふと気になったのは彼とイチャイチャしていた女性、何処かで見た記憶があるんだよね、…………あ確かハルプだ、ハルプ・ドラゴラム、あれ?確か線の細い男性だったよね。


 ……、…………、………………、私は知らない私は知りませんよー。


 そんな些細な事より私は忙しい、孤児院を兼ねる教会を手伝い子供らと遊ばなきゃならない、一回遊んだだけなのに帰りには泣きながらまた来てと懇願してくるんだから。


 遊ぶとなったら胸は揉んでくるはお尻に指を入れようとするわで卑猥な子供らだけどきちんと仕付けなきゃならないね。



 しかし、一回自宅に帰り服を着替える、同性愛者ギリスに呼び出されたのでカチッとした服を脱ぎ簡素な使用人に近い服に着替える。


「ヴァイオレットお嬢様何かよいことがあったのですか?ご機嫌ですね」

 メイドのミネアが聞いてくる、顔に出てたのかな?


「ええ、ギリスがハルプとお付き合いしたいと私の婚約を解消しまして、肩の荷がおりましたから」

 正直婚約とかめんどかったからねー、私はなんか愛玩動物みたいな侯爵様の嫁とか向いてないしー。


「それはそれは」

「あら、ミネアは肯定的ね」

「はい、首を跳ねる手間が省けましたから」



 …………聞き間違いかな?聞き間違いだよね、いつもニコニコで守衛や執事からも人気のミネアの口から首を跳ねるとかそんな言葉出ないよね?


「ミネア?」

「ヴァイオレットお嬢様は今日も孤児院へ?」

「ええ、泣いて懇願されましたから」

 何かこれ以上聞かしてくれなそうだね、前々からミネアは何かあるとは思ってたけど、まあいいか。


「旦那様には私からお伝えしておきます」

「ええ、ミネア任せるわ」

 私は着替えを終えて一人教会へ向かう、街の住人にはすっかり顔を覚えられ、教会へ行くなら差し入れにといろいろ渡される。


 パンやお菓子はまだいいんだけど古い野菜とかどうなのよ、私女の子だよ、重いって、おい肉屋、その腸詰めと燻製まで私に持たせるつもりかそうか、そうなのか、くそうありがとよ。


 さすがに限界だから魔法に頼る『キャスたー』の魔法、対象を地面から数センチ浮かせて重さを無くす。


 これで軽くなったね、ってちょっと、古い小麦粉とか在庫処分に押し付けないでよ重いよ、ありがとよ。


 かさばってしょうがないから荷車を借りた、荷車を引くお嬢様ってどうなの?


 魔法の力で楽々荷車を引くお嬢様、…………魔法の力ってすげー。


 とかどうでもいい事を考えてたら教会兼孤児院のカレイド教会に着いた、目敏く私に気が付いた少年少女がきゃいきゃいと騒ぎ立てる。



 石とレンガのボロボロな教会、パパにおねだりして買ったのは懐かしい思い出だね、買ってくれないとここを立ち退き要求してる貴族の家を焼き払うって言ったのが大きかったかな、そんなことしないのにね……証拠が残るから、やるなら全部消しちゃうし。


「ご機嫌ようシスターハーゼ、シスターマルテス」

「ようこそヴァイオレットお嬢様」

「シスターハーゼ、お忍びですから普通接してください」

「は、はいヴァイオレットさん」

 シスターハーゼは小柄な女性で非常に可愛らしい、その小動物の様な愛らしさから私は内心ハーゼちゃんと呼びたいなと思ってる、シスターマルテスは普通の女性なのだがシスターハーゼを見る目に何故か私と同じ物を感じるね。


「たくさん差し入れを頂きましたの、寄付させてくださる?」

「いつもありがとうございます」

「あとは、何か困った事があるなら教えてくださいね」

 シスターハーゼとお話しをしていると孤児院の子供が物陰やシスターハーゼの後ろからピョコピョコと顔を出す。


 微笑ましい光景におねだりして良かったと改めて思った。


「こら、お話し中ですよ」

「ふふふ、よいではないですか、子供は伸び伸びと育つとよい大人になれますよ」

 私の様にね、ドヤァ。


「あしょぼ……」

 シスターハーゼの後ろにいた女の子がいつの間にか私のスカートを引っ張る、はあ可愛いな、お姉様しかいないから私も妹欲しい、パパにおねだりしてみようかな?


「それでは遊びましょう」

 私は女の子の手を引いて子供の輪に入る。




「こら、いけませんよ」

 やんちゃ坊主が後ろから隙ありと私の胸を揉みしだく、最近触り方がいやらしくなってきたので将来が心配だ。


「もう許しませんよ、こうです」

「あはははは、やめろー」

 やんちゃ坊主を捕まえて擽る、ほらほらここがええんやろ、お姉さんにイタズラしたら擽り地獄を与えちゃうぞ。


「キャッ」

 擽りに夢中になっていたらスカートを捲られる、こらっ頭でグリグリしない、入らないから。


「あなたにもお仕置きが必要ですね」

「逃げろー」

「お待ちなさい」

 私は逃げる少年少女らを追い回し一人残らず擽った、ふんすふんす、お怒りなんだからね。


「ヴァイオレットさんお疲れ様でした」

「ふふふ、元気を分けて貰いましたわ」

「あの、粗末なものしかご用意できませんが昼食はどうでしょう、召し上がられますか?」

「あら、シスターハーゼのお料理は楽しみの一つですよ」

 正直ハーゼちゃん引き取りたい、家のミネアと交換したいくらいだよね。


 野菜や燻製肉の入ったスープとさっき貰った硬いパンが私と子供らの前に並ぶ、この硬いのにスープを浸したのが美味しいんだよね、家だとお行儀が悪いってさせてもらえないし。


「ふふ、美味しいですね」

「おいし」

 さっきの女の子が私の服を汚しながら食事をする、ああ、可愛い、もしあんな望まない結婚なんかしたらこんな生活は送れなかっただろうね、ゾッとするよ、ハルプには感謝しないと。




「帰っちゃやだー」

 帰宅の時間、泣かれた、この罪悪感は慣れないね、もうみんな引き取って暮らしたいんだけどねー、さすがに稼ぎがね、もっとお金があればいいんだけどままならないね。


「ほらほらヴァイオレットさんのお帰りですからいい子にしましょう」

「シスターハーゼまたお邪魔いたします、皆もよい子にしているのですよ」

 返事と泣き声に見送られ私は帰路に着いた。



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