ボクと愛欲のおさげ3
「さあ、謝りなさいよ。私から大事な彼を奪ったことを!」
誰もいない屋上。ルムは膝をつき、胸に手を当ててむせていた。拘束は解かれたが、締め付けられていた肺が空気を正常に取り込むにはまだ早い。目の前にはおさげの少女が仁王立ちしている。
「早く謝んなさいよ!」
おさげの少女はまだ苦しそうに胸を上下させるルムの頬を強か張った。少女はルムが喋れる状態かどうか判断できないほどに正常な精神状態ではない。
「……ボクがいったい何をしたって言うんですか? ボクはあんたの彼氏なんか知らない。誑かした? そんなつもりはないし、かえって迷惑だ」
昨日に続きこの姿が招いた人災。この姿をルムは我がことながら嫌になる。
「何それイヤミ? 迷惑と思えるほどモテますって? そんなあんたには十年以上想い続けてようやく恋が叶った私の気持ちなんかわからないでしょうね!」
なるほど確かに彼女はお世辞にも華やかですねとは言えない地味な顔立ちだ。それでも長い片想いが実ったのだから彼女に必ず魅力があったはずだ。
しかし今は嫉妬に狂い手にした異能を翳して人を傷つけようとしている姿は、彼女の本来の魅力を台無しにしている。そんな単純なことにも気付かない目の前のおさげの少女に腹が立った。
「……他人に目移りするような男を選んだのは貴方でしょう? 自分の目が節穴だったことを呪ったらどうですか? 何を自分のことを棚に上げてるんですか?」
「何ですって!」
未だしゃがみ込んでるままのルムのこめかみに向けて、少女は足を振った。ルムは訪れる痛みに堪えられるよう目を瞑り奥歯に力を入れる。
だが彼女の足はルムに届く前に何かに阻まれた。彼女の足とルムの間に、頑丈な体躯の男が立っている。彼は少女の蹴りをものともせず、ルムを守るように立ちはだかっていた。男は素早く少女の胸ぐらを掴んで投げ飛ばした。それほど力は入っていなかったが、少女はあっさりと二メートルほど吹き飛び地面へ転がる。
「ルム」
自分の名を呼んだのは金髪碧眼の大男だった。
「サンダー……」
ルムもまた彼の名を呼んだ。サンダーは膝をついて、しゃがみ込むルムにおもむろに顔を近付け額同士を突き合わせた。
「言い過ぎ。そんな意地悪なこと言うんじゃない」
サンダーの困ったような笑顔は「仕方のない子だ」と言いたげだった。彼女との言い争いを聞かれていたのか、と思いルムは気まずくなる。怒りに任せていたとはいえ自分が言い過ぎであるには違いない。
「いつの間に! どうしてここにいるの?」
「壁を登って追いかけてきただけだ」
少女はひどく動揺した様子だった。いなかったはずの人間がいるのだ。サンダーは少女の方に顔を向けると、ゆっくりと立ち上がり彼女と対面した。
「俺はこの子の顔だけに価値を感じてる訳じゃない。確かに一目見て可愛いと思った、それは否定しない。だけど俺がこの子を愛し傍にいるのは、この子の内面に魅せられたからだ。人としての当たり前の弱さを必死で隠そうとする意地っ張りなところ、己のしてきたことを誇る気高さ、それでいて優しいところ……それが俺を惹きつけるんだ」
こんな時に何てことを言っているんだ、と思いつつもルムは顔が熱くなった。サンダーがこのように自分を見ていたなんて考えてもいなかった。
「君の彼氏もそうではないのか? 君の内面に惹かれるものがあったから、君の想いが届いた。でも……今のその姿、彼氏に見せられるか?」
おさげを自由に伸縮させ操るという人間離れした芸当だけじゃない。嫉妬のあまり視野を狭め思い込みを押し通し、他者に暴力を振るう醜悪な姿。少女に焦りと動揺が見えた。
だがたったひとつの大事なものを奪われそうになった恐怖と、それを守らなければという切羽詰まった思いは少女のまだ幼稚な心を蝕んでいる。
「あんたさえいなければよかったのに!」
少女の伸ばしたおさげはサンダーの脇をすり抜け、その後ろのルムに襲いかかる。ルムの両手首にそれはがっちりと巻き付き、彼女を上へ引き上げた。
宙吊りになったルムの体を少女はおさげを激しく動かし振り回し、柵の外をめがけて放り投げた。
地面が遠い。
「ひゃ……っ!」
「ルム!」
サンダーは柵に足をかけて同じように柵の外へ跳んだ。まだ惰性で宙に浮いているルムに手を伸ばし、掴んだ体を引き寄せた。
同時にまたサンダーの体を風が纏う。
***
「ルム!」
「ボス!」
ようやく屋上に辿り着いたユーとトロは、屋上の柵の向こうへ姿を消すルムとサンダーを一瞬見ただけだった。
「誰!」
その場に一人残っていた少女が振り返る。鬼の形相で、もはや年相応のあどけなさなど感じられない。少女はおさげを勢いよく伸ばした。
「うわぁぁぁっ!」
その先端は二人が立つ傍の出入り口のドアに先端が突き刺さった。
「あいつ、俺らまで攻撃してきやがる! ついにトチ狂ったのか?」
「ルム達、大丈夫かな?」
「でも、ボスに何かあったらアイツ絶対許さねぇ……」
トロの言葉にユーが頷く。
だが今の二人に少女に逆襲するチャンスはない。二人が少女から目を離さないよう、後ずさりしながら出入り口へ駆け込む機会を窺う。今のは偶然外れたが、少女が本気で自分達を攻撃したら一溜まりもない。
その時。
『グゥオオオオォォォ!』
自分達よりもはるかに低い位置で雷が轟いた。空から降り注ぐのではなく、地を這う雷鳴。もちろんその正体は二人にはわかっていた。
「生きてる!」
三人分の同じ言葉が屋上に響いた。その言葉にユーとトロは歓喜を込めていたが、少女の同じ言葉には憎しみが感じられた。
***
「サンダー……」
ルムは怪物の青い体に包まれるように抱えられていた。体に痛みはない。死んではいなかった。怪物の肩越しに上を見てみると、対面の建物の壁に深い爪痕が残っている。直接降りたのではなく、そこで一度壁にしがみついたのだろう。
同時に、自分達がたった今まで居た建物の屋上から人影が降ってきた。長い紐状のものを命綱のように使い、地上に舞い降りる。考えるまでもなく、人影の正体はおさげの少女だった。
「あんたもしつこいわね。さっさとくたばんなさいよ」
「しつこいのはそっちでしょう」
恐怖を与えられたのに拘わらずルムは減らず口を叩いた。その手はしっかりと怪物の肌に触れている。怪物はルムを離すと、自らは一歩前に出てルムをかばうように立った。
「どきなさいよ!」
少女は目の前の怪物さえただの障害としか認識しなくなった。もはや正気ではない。少女はおさげを伸ばし、怪物へと攻撃する。
しかし怪物は今度こそおさげに脇をすり抜けられることもなく、正確におさげの攻撃をいなしている。
「げっ! あのアマもう下に着いてたのか!」
背後からトロの声がした。振り向くと息を切らせたユーとトロがそこにいた。ルムはユーが『念導銃』を抱えていることに気付いた。
「それ渡してください! サンダーの援護をします!」
「うん!」
ユーは力強く頷き、ルムに『念導銃』を渡した。ルムは『念導銃』を抱え駆け出した。大きく回り込み、ルムは少女の背後を取った。少女は右のおさげで怪物の左腕を拘束して、引っ張り合いの力比べをしている。
──石を!
少女の右耳にぶら下がる赤い耳飾りを吹き飛ばすべく銃を向けた。同時に少女が振り向いた。左のおさげは空いている。まずい。
──自分と、サンダーを守るためだ。仕方ない。彼女を……
ルムの銃口は彼女の首筋のあたりにずれた。このままだと石ではなく彼女の頭ごと吹き飛ばすことになる。
それでも構わなかった。引き金に掛かる指に力が入った。
『グワゥッ!』
怪物は左腕に巻き付くおさげをさらに右手で掴み、思い切り振った。
「きゃあぁーっ!」
怪物にスイングされ少女の体は地面と平行になり猛スピードで宙を薙いだ後、地面に叩きつけられバウンドした。ほぼ同時にルムが放った弾は地面を深く抉ったのみだった。
「サンダー! どうして邪魔を?」
『ガァッ!』
怪物が吼えた。それがなぜかサンダーに叱られているような気にさせた。
少女は地面に叩きつけられてもなお起き上がろうとしていた。上半身を起こし顔を上げた瞬間、空いていた左のおさげが怪物に向かって飛んだ。
『ギャウッ』
怪物の悲痛な声が響いた。怪物の右の脇腹におさげの先端が食い込んでいる。じわりと赤い液体が滲み出し、おさげを伝って地面に滴る。
「サンダー!」
ルムは大声で彼の名前を呼んだ。
だが怪物はそれを抜こうとする気配はない。右のおさげは怪物の左腕に、左のおさげは怪物の脇腹に刺さっている。
──そうか。
ルムは『念導銃』を、店主に教わったように冷静に構えた。少女の意識は完全に怪物に向いている。彼女が動かすのはおさげのみ、体は動かさない。
──サンダーが体を張って、彼女のおさげの動きを止めている。
外すわけにはいかない。外せば彼の命が縮んでしまう。それは嫌だ。
昂ぶる感情を抑え、ルムは銃口を再び彼女の耳飾りへ向ける。
ルムは引き金を引いた。ガァンという火を噴く音が鼓膜を破らんばかりに震わす。
「ギャーッ!」
少女の耳たぶが吹き飛び、悲鳴が響く。彼女の耳を彩っていた赤い石が地面に落ち、不規則に弾んで転がった。わずかに狙いは外れたが、結果的に石は彼女から離れ、彼女も絶命することはなかった。
おさげは怪物の体から離れ、おそらく元々の長さに縮んでいく。
「サンダー!」
『グウォォォッ!』
ルムの呼びかけに応え怪物は石に飛びつき、掌底でそれを叩き潰した。赤い破片が飛び散るのが見えた。
ルムはふうと溜息を吐き銃を肩に担ぐと、耳を押さえて地面をのたうち回る少女に言った。
「命があるだけマシだと思ってください。【魔女】の呪いの力で同胞を襲うなんて言語道断ですよ」
「アンナ!」
背後から声がした。少女と同い年くらいの少年が駆け寄ってきた。驚き、何が起きているのかわからないといった間抜けな表情だった。
しかし少年は少女の周囲に飛び散る血と、ルムの持っている銃に気付いた。少年の目に怒りの炎が宿る。
「……あんたがやったのか?」
「【魔女】の呪いから解放するために仕方なかったんです」
何だ、彼氏に想われてるじゃないか。ルムはそう思った。実際は呪いから解放されるわけではない。だけど「そうだと思い込ませる」ことは可能だ。
「そこの女、動くな!」
さらに警備兵の声が聞こえた。警備兵は、町中で人に向けて発砲した女・ルムに銃を向けていた。
「武器を捨てろ!」
警備兵のリーダーが叫んだ。
しかし次の瞬間、轟音がした。トラックが猛スピードでこちらへ突っ込んでくる。
「うわぁぁぁぁぁ!」
背後からの車の突撃に対応できず、警備兵達は散り散りに避けた。トラックは急ブレーキを掛け、後ろのタイヤをスリップさせながら止まった。運転席から怒声が飛ぶ。
「ボス、早く乗ってくだせぇ! すぐ出発しますぜ!」
運転していたのはゲンだった。
『ガゥッ!』
怪物はトラックに駆け寄ると、近くにいたルムとユーを持ち上げ荷台にぽいっと放り込んだ。テイラーとトロは自分で荷台によじ登ると、先に乗り込んでいた別の仲間が彼らを引っ張り上げた。最後に怪物がひょいと飛び込む。トラックは急発進し、ドリフトしながら町の外を目指した。
***
「サンダー!」
「ルム」
ルムは人の姿に戻ったサンダーに近寄り、おさげに刺された右脇腹を見た。そこはすでに傷跡のように治りかけている。
「怪物だと頑丈な上に治りも早いみたいだな」
サンダーは笑いかけた。
だがすぐに彼は少し険しい顔に変わった。
「ルム、あの女の子を撃つつもりじゃなかったか?」
「……撃つつもりでした」
あの一瞬、本気で彼女を殺すつもりだった。それをサンダーに見抜かれていた。
サンダーはルムを抱き寄せた。彼は上半身にまだ何も着ていない。ルムは頬に直接彼の体温と鼓動を感じた。
「お前は騎士だろう? 討つ相手は人間じゃなくて【魔女】のはずだ。人間を手に掛けないでくれ」
彼はルムを力強く抱き締めた。
サンダーの言いたいことは十分に伝わる。でもどうしたら自分の言いたいことは伝わるのだろうか。
ルムは無言で抱きしめられるまま、考えだけが堂々巡りをしていた。
***
怪物出現騒動で未だざわめいている町を、建物の屋上から眺めている人影がある。黒いドレスの裾を靡かせ、妖艶な笑みを湛えている。
「ほほ、久方ぶりに会うたが、立派に成長した。さすがに年端のゆかぬ乙女が相手では手応えがなかったであろか」
しかし誰もが彼女の姿に気付かない。見えない。
「鳥籠の鳥のように、もっともっと良い声で鳴いておくれ。妾の愛し君よ」
誰に向けるでもなく独り言ちると、彼女の輪郭はぼやけ、やがて黒い靄となって空に溶けた。
***
ルムはベッドの上にちょこんと正座をしていた。
「ルム? どうした、眠かったら先に寝てても構わないぞ?」
すっかり夜は更け、部屋の大きな明かりは消灯していた。今部屋を照らしているのはサンダーの机の小さな明かりだけ。
「……貴方は、ボクの『死んでほしくない』って言葉を本当に信じていますか?」
「何を突然」
サンダーは読みかけの本を閉じ机の上に置くと、椅子に座ったままベッドの上のルムに向き合った。
「信じてる。何があっても生きるつもりだ」
「じゃあ何であんな危なっかしい戦い方をするんですか! それどころかボクのことで敵をかばうような真似して。……死んじゃうかと思ったんですよ」
「怖かったのか?」
ルムは口を噤んだ。怖いと認め難い。騎士である自分は怖れてはいけない。
それ以上に、サンダーを失うのが怖いと思ったことが本人には伝わってほしくない。まだ自分はそこまで彼に入れ込んでいないと思いたかった。
それでも彼を生かすためなら他の命を奪ってもいいと思った。それほどに今は彼を失くしたくない。
「これから先はもっと大変かもしれない。だけどな、傷を負っても、体の一部を失おうと、ルムが『死ぬな』と言えば俺は生きて戻るさ。それよりも」
サンダーは椅子から立ち上がり、ルムのいるベッドに腰を掛けた。そして真剣な表情をして言った。
「お前は人を殺さないでくれ」
「さっき聞きました」
「でも何度だって言う。【魔女】を討ち人を守る騎士のお前が、人を手に掛けないでほしい」
──何でそんなに、ボクが騎士だということにこの人が拘るのだろう?
「ボクが何者であろうが、貴方には関係ないでしょう?」
「そうかもしれない。だけどお前は自分が騎士であることに拘りを持ち、誇りに思っている。俺がお前の誇りも含めて守りたいと思って何か可笑しいことがあるか?」
「それで大怪我したり死んだりしたら本末転倒ですよ」
「死なないように頑張るだけだ。お前を守れるなら、どんな傷だって大したことない」
ああ、擦れ違う。
この人の望みと自分の望みは交わらない。
伝わらない。伝わらない。伝わらない。
「……いいですね。貴方みたいに強い人は。弱い人の意見を無視して自分の望みを貫けるんだから」
「強い? 俺が?」
「呪いを、怪物の姿を受け入れられるなんて、強くなければ出来ません! 怪物の体が自分の体そのものだと思えるだなんて……。ボクは、この体でさえボクのものだなんて今も思えません……」
昨日のサンダーの話を聞いて、この人は自分と違うとまざまざと見せつけられた。自分のしたいことを貫けるのは全てを受け入れられる強い人だということか、と思った。そして心の弱い者は、我慢するのみ。
突然サンダーはルムを抱き寄せた。ルムはサンダーの胸に顔を埋める形になっている。
「昨日……悪餓鬼のところから逃げ出した際に、俺が怪物の姿にも拘わらずルムは飛びついてきたな。こんなふうに、顔を胸に押しつけて」
温かな体温と鼓動を感じる。
「そのとき怪物の体であるにも拘わらず、お前の体温や息づかいを肌から感じることができた。愛しい人の感触を感じることができた。だからこれは俺の体だと」
サンダーはルムを抱き締めたまま彼女の頭を撫でた。ルムもあの時同じ想いだった。目の前にいるのは怪物の姿であったのにも拘わらず、サンダーそのものとしか感じていなかった。
「俺は強い訳じゃない。お前に言われるまで故郷を救いにいく気のないチキンだった。俺が強くなったとすれば、お前のおかげだ」
ルムは顔を上げ、サンダーの表情を見ながら首を横に振った。自分が彼を強くしたなんて考えられない。
だがサンダーはルムを見て微笑んだ。
「呪いのかかった体だって悪いだけのものじゃない。俺が言うんだ、信憑性はあるだろう? ……証明してやる」
サンダーはルムをきつく抱き締め、出会ってから三度目のキスをした。口を吸われる感覚にルムは混乱する。そのまま柔らかく押し倒され、ベッドの上で重なった。
「ぼ……ボクはまだ貴方を受け入れてませんよ……」
体が火照るような感じがして、息が乱れる。体の末端から痺れる感じがして、身動きが取れなくなる。
「わかってる。でもお前のその体は苦痛だけじゃなく喜びも感じられる。それをわかってほしい」
サンダーはルムが最も戸惑っていた部分を見透かしているかのようだった。『これが自分の体である気はしないのに、受けた苦痛はすべて自分に降りかかる』という思いを。
彼はルムを本当に愛おしそうにもう一度抱き締め、大きな手で体を撫でた。昨日の悪餓鬼とは違い、蹂躙するつもりは微塵も感じられない。敬意を込めて優しく触れてくる。サンダーの与えてくれる快感にルムは身を任せた。
***
ベッドの上で顔を紅潮させたまま寝息を立てるルムに欲情してないわけではない。
──まさか愛撫だけで果てるとは。
サンダーは眠りに落ちているルムの頭を優しく撫でた。
自分は慣れているが、この子にとってはこれが女の姿になってから初めての行為なのかもしれない。擦れた女を相手にするわけじゃない。大事にしなければ。
サンダーの胸の内にそんな想いが芽生える。
同時に、この子は自分のことを気遣い始めたとわかった。
自分が傷つくことを怖れている。
彼女の気遣いや心配を蔑ろにしてはいけない。
彼女だけでなく、自分の身も大事にしなくては。
「おやすみ、ルム」
サンダーは眠るルムの額に軽く口づけし、部屋を出て行った。




