戦闘イベント突入
初戦闘です。
突然聞こえた爆発音に身をすくめながらも恐る恐る音のした方へ振り向く巴、するとそこには大人1人入れそうなぐらい大きな穴とモグラがいた。ただし色々とおかしい。まずデカイ。モグラというのは大きい種類でも20センチ弱ほどの体長しかないはずだが目の前のそいつは明らかに大型犬ぐらいのサイズがある。次にそいつは人間が目の前にいるにも関わらず逃げるわけでもなくそのギラギラした目を自分に向けている。そう言えばモグラは日光で死ぬと言うのはデマで正確には仲間との争いで追い出されたモグラが地上で餓死するんだよなぁということはコイツはいまハラが減っているってことなのか~と思い至ったところで今自分が目の前のモグラに獲物にされていることに気づく。(おいおいおいおいふざけんなっ!もう詰んでるっていったじゃん!なんでここから戦闘イベントに突入するんだよ!)正直言ってちょっと泣きたい巴だったがここでモグラの餌になるつもりもない。どうしようと思案を巡らせようとするとモグラの方からに襲いかかってきた。「キシャアアアアァァァァ!!」獣声を上げ後ろ脚を目一杯伸ばし鋭い牙と爪で飛びかかろうとする様はサイズも相まってか豹か虎を思わせる。「うっおおおおおお!」巴はその飛びかかりを間一髪横に転がってかわす。(危なかった、でもタイミングは分かった。)巴は心中で安堵しながらもこの場を切り抜けるための思考を続けていた。(こっちは空腹で体力的に限界。逃げても十中八九追いつかれる。)そしてひとつの結論をだす。(チャンスは一度。やれるか?いややらなきゃ死ぬだけだ!!)「キシャアアアアァァァ!!」獲物の思わぬ抵抗に目を怒りに滾らせながらさっきと同じ飛びかかりを繰り出してくるモグラ。(馬鹿の一つ覚えみたいに同じ攻撃できたな。)巴は思考を冷静にし今度は逃げずに待ち構え、
『ガンッ!!!』と20冊以上の教科書が入った学生鞄をモグラの顔面に思いっきり叩き込んだ。
ザンッ! ガンッ!とまるで水切り石のごとく吹っ飛ぶモグラ。
「キャウウウウゥゥゥーーーン!!」教科書がパンパンに詰められもはや鈍器と化したカバンをボクシングのカウンターよろしく顔面に叩き込まれたモグラはさっきまでとうって変わって情けない声をあげ顔面を抑えてのたうち回る。それを見逃すほど巴は甘くない。(後顧の憂いを断つためにもここでトドメを刺す。)仮にここで巴が逃げたりあるいは攻撃を緩めれば当然モグラが反撃してくる可能性もある。その場合地中から不意打ちをくらったり集団で来る可能性もあるのだ。これは喧嘩やスポーツの試合ではなく命の取り合いなのだ。巴はまだ顔面を抑えて鳴いているモグラに馬乗りになると顔面にカバンを何度も振り下ろした。
ガンッ!! ゴンッ!! ドガッ!! バギッ!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
硬いものが肉を殴打する音が響く。無論モグラも無抵抗で殴られているわけではなかった。マウントポジションを取られながらも硬い土中をも掘り進めることもできる鋭い爪で反撃してくる。肩と腹、首筋と顔にナイフで切られたかの様な痛みと裂傷が走る。しかし巴は痛みなど感じてないかのように攻撃の手を緩めない。(ラッキーパンチは二度も起きない。ここで殺らなければこっちが殺られる!)
ドチャッ!! グチャッ!! ビチャッ!! ネチャッ!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やがて肉を殴打する音に水音が交じり感触に粘り気がついたころモグラは動かなくなった。