誕生日
エピソード1
誕生日
「それじゃあ、いってきま〜す」
「あんまり、博士に迷惑をかけないようにね。」
そう言って母親が見送ってくれた。
今日は十歳の誕生日だ。博士が十歳のプレゼントがあると昨日電話が来た。
博士とは、母親と昔ながらの友人で、優しい人だ。
「博士に会うのって、いつ以来だろう?」
最後に会ったのは、多分、小さい頃に母親と会いに行って以来かなぁ
そんな事を考えているといつの間にか博士の研究所に着いていた。
研究所は、ぼくの家から歩いて15分程『森』の中を歩かなきゃいけない。
森と言っても本当の森ではない。
博士が作り出したVR映像だ、決められた順に歩かなければ道に迷ってしまう。
昔、一人で会いに行こうとして迷ったことがあり、博士が仕掛けた罠に引っかかってひどい目にあった。
それ以来、迷わない様に努力していた。
その結果、迷う事無く研究所に着く事が出来た。
研究所に入ると、机の上にメモがたりそこには、
『研究所を一通り見て回ってからワシの所へ来い』
と書いてあった。
久しぶりに来たので、メモの通りに見て回る事にした。
あまり変わった様子はなかったけれど、廊下の途中である違和感を感じた。
「確かここに道が在った気がするんだよな〜」
そう思いつつも僕は、あまり気に
もせずに研究所を一通り見終え博士の元へと向かった。