表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

気体


 ふわふわと、体をとりまくそれを

 何度押しのけても、あっちからこっちから


 ある誰かが言った

 それがあるうちは苦しいけど、ないよりはとても幸せなことなのだと


 別のある誰かが言った

 時にそれは自分の意思を越えて、だからこそ違う形になれるんだと


 まだそれがなんのことなのかわからない

 いつの間にか曇り空に捉われて、足場もわからないほどのそれが体中を覆っている

 時に柔らかく首を絞めたかとおもえば、口の中に入り込んだそれはやがて心臓までへと到達して、さんざかき乱した夜のあと、朝起きた時にはもうどこかうつろう


 それの正体が何なのかは、それをどう受け取るのかで形が変わっていくのだろう

 

 その目にはどう見える?

 邪魔だと思うかもしれない、苦しいと思うことも多いだろう

 喜び跳ね上がって背中を後を押すこともあるけどその時は転ばないように

 歓迎して受け入れればそれは大いに力になるだろうけど、だからといって足場を見失うほどは抱えてはいけない


 熱はあるけど質量はないし、物理的でもない感情的ななにか

 一歩踏み出せば足元にはふわふわとしたものだけで、その先の道を踏み外さずに進んでいくことはとても難しい

 引き返したい思いに駆られ、後ろを振りかえることだって何度もあるはずだ


 苦しくなったら休めばいい、気付かないふりをしたらいい



 だってそれは単なる気体

 目に映らない、指に触れることもない、それ自体に感情もない

 ただ足が重い時には少しばかりの推進力をくれる、そんな便利なやつだ



 さて、その目にはどう映る?

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ