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心と科学  作者: 酒井順
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第17話 妄想の理

 前話の理論を「妄想の基準点理論」としたいと思ったが、単に「基準点理論」と呼ぶことにした。この理論はある意味において「ビッグバン理論」と肩を並べるものである。ある意味とは、両者共に宇宙の姿の全てを解明できていないことと、現実の生活にほとんど影響を及ぼさないということである。しかし、両者の違いは歴然としている。信仰者の数が圧倒的に違うのだ。


 ビッグバン理論はいくらか現実の生活に影響を与えているかもしれない。しかし「基準点理論」の影響は、この文章群の幾人かの読者様にだけ与えられる。つまり、読者様に少しの苦痛を与える。それは読者様に我慢してもらいたい。


 さて「基準点理論」により宇宙の全体像は分かった。部分はどうなのであろうか。部分はそれを含有する全体の部分に属する。そしてその全体の部分もその全体の部分に属する。最終的には宇宙の全体に属するが、その過程においていくつもの部分に属する。


 部分は自己の外周を形成し、宇宙全体の法則を適用させる。このとき、部分は小さいため斥力も小さく感じられる。重力は物質間に働く。斥力は空間と物質の間に働く。そのため物質の存在する狭い範囲では重力が大きく、斥力が小さく働いているように見える。宇宙全体をみれば、重力の総和より斥力の総和が少し大きいのであろう。そうでなければ、宇宙は安定へと向かわない。


 それぞれの部分は独立しているとは限らない。部分はいくつもの部分と重なり合い共有部分を持つ。むしろ独立する部分を考えることが難しい。独立した部分同士はお互いに関係する手段を持たないことになる。この世界で完全に独立した部分は部分ではなく、もはや違う世界となる。ブラックホールでさえ独立していないのだ。ブラックホールといえば、ビックバン理論を基盤としたブラックホールの姿にいささか違和感を覚えるのだが、ここでそれを書けば、脱線してしまうのでいつかの機会にまわしたいと思う。


 僕を部分と考えてみる。僕は、いくつもの社会に属し、地球にも宇宙にも属している。そしてその全てから影響を受けている。ここで「心」は当面除外したいと思う。「心」を含めて考えると煩雑になるだけだからだ。


 僕は全体の部分として、属する全体に影響を与える。それが宇宙の法則なのだからそれでよいと思う。


 ここで考えが続かなくなったので、次の機会にまわしたい。


「心」は脳回路の起点か接続点に過ぎないのではないかと考える。感覚ニューロンは存在する。「心」を感じるニューロンは存在するのだ。起点となったニューロンは脳回路で考えたり、思ったりする。回路の終点にくれば「心」が接続点として別なニューロンを働かす。脳は必ずしも論理的に働くわけではない。「心」による起動と五感で脳回路は働くからだ。


 この文章のようにあっちを考えたり、こっちを思ったりする。このようにして「心」は脳を育てるのだ。「心」によって使われなくなった起点ニューロンや回路は消滅していく。そして、新しい起点と回路が産まれる。回路は脳に存在するから、人の思考を変えることは難しい。「心」ができるのは回路のスイッチをON/OFFしたり、新しい回路を作ったりすることだけだ。新しい回路は経験により作られると思うが「心」がその回路にどこまで関与できるのか現段階ではわからない。


 ここでわからないことがもう1つある。精神疾患は「心の病」なのだろうか「脳の病」なのだろうか。これは主観をもってしてもわからない。


 妄想も貫けば1つの「理」となる。僕の「理」の信仰者は僕一人だけである。いつまでたっても一人だけかもしれないが、僕は僕の心が平穏になり、多くの人のようにまた走ってみたいだけである。


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